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みんな異世界が好き  作者: らーきー
2/12

異世界転移と黒い影

さて、俺は何をしよう。

そうそう、俺は「能力者」というアレが好きなんだ。

能力者っていいよね、個性を出せてて。


毎日毎日残業残業。

俺の人生は、いったいどうなっているんだろう。

徹夜なんかやってしまった日には、いっそのこと死んでしまったほうが楽なのではないかと思う。

今の仕事をやるよりかは、刑務所なんかで暮らしたほうが、よっぽど幸せなんじゃないかとも本気で思うことも珍しくない。


俺はアラサーのリーマンで、独身だ。

趣味は・・・人に言えるような趣味は無いな。釣りとかゴルフとか?そんなの知らない。

家に帰ってやることといえば、時間があれば食べて風呂入って、そして無料のウェブ漫画を読んでから寝る、そんなところだ。

まあ、実家暮らしだから、マシなほうなのかもしれない。


そうやって、嫌な現実から目を背けている。

現実逃避をしたがっている。

だからこそ、フィクションが産業として成り立っているのだ。


そんなあるとき、俺は一人の男に出会った。

場所は、ショッピングモールの近くの交差点。

彼の名はナロウ。一見して黒いトレンチコートを着た普通のイケメンなのだが、身長180センチを超える俺よりもさらに20センチは背が高かった。


「君にこれをあげるよ」


そういって彼は、野球のボールほどの大きさをした透明な玉を、俺にくれた。


「これは何ですか?」

「これはね、世界ワールド

「ワールド?」

「そう、文字通り、『世界』さ。そして、創造主は君自身」

「はぁ・・・」



水晶玉――ナロウにもらった玉はそう呼ぶことにした――は、中を覗いてみると確かに、どこかの世界の映像が見えるようだった。

今見えているのは、呆然と立ち尽くす人々と、黒い影、といった映像。

人々の外見は地球人のそれと変わらない。


「いったいどうなってやがる」


自分の世界が、一見して穏やかな感じではなかったので、俺は少し動揺した。

どうにかして、この世界に光を取り戻したい。

そう思った刹那、俺は意識を失った。



気がつくと、そこは異世界だった。

よく見る異世界転生のように、赤ん坊の状態というわけではなく、普通に現実、元いた世界の俺自身が、こっちに来たわけだ。

しかし、元の世界とは違った状態になっているところがある。

それは、俺の左手だ。左手に、黒い影がまとわりついているのだ。


しかし、不思議と怖くはなかった。


「そうだ、この影の被害者がどこかにいるはず――」


俺は辺りを見渡した。見たところ、静かな村のようだ。

少し走りながら様子を探っていると、一人の少女が道に倒れているのを見つけた。

少女の左手からも、黒い影が広がっていた。


「大丈夫か?」

俺が少女に声をかけると、少女は体をゆっくりと起こした。


「こっ、来ないで!」

少女はそう叫ぶと、走り去って行ってしまった。

どうやら、精神的にショックなことがあったらしい。

しかし、動けるのではれば、命に別状はないのだろう。


「いやぁ、ひどいことをしてくれますねぇ」


突然、どこからともなく声が聞こえた。

ふと見ると、そこには大きな一つの目玉をもつ小鬼が立っていた。


異世界転生は死ぬのが嫌だったので、異世界転移にしました。

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