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The sunrise of the world  作者: うぉるす
6/11

5エスポワールと呼ばれる彼ら





「エスポワール通常定例会。本会議の司会を務める、ルナン・エルファレム。メッザノッテ首席。」

シーンと静まり返った会議室に俺の声が響く。

続けて俺の向かい側に座っている少女が立ち上がる。

「シエリア・テオス。ジョルナータ首席。」

そう言って席についたのは、神族の長の娘、シエリアだ。ショートカットの白い髪に、凛とした赤い目、袴風の制服をきっちり着こなし、顔には天照大御神の一族である証の模様がある。

「ネーヴェ・アメデーオ。オーブ首席。」

ネーヴェ。彼は最年長のエスポワールだ。

雪のように白い髪、少し太めの眉毛、綺麗な緑色の目、マフラーを巻いた彼の種族は雪女。

「ファテリー・フレイア。マッティーナ首席。」

綺麗な緑色の長い髪を三つ編みでまとめ、ピンクの綺麗な目、緑色のリボンに、大きな杖を抱えている彼女の種族は魔法使いだ。





「セーラ、炎のクラスは現在空席。


これより、エスポワール定例会議を始める。」





資料をめくる音がいつもより大きく聞こえる。

「本日の議題。まず、各部活動、委員会、同好会に関して。何か報告がある者は?」

「各部、委員会、同好会より活動報告書が届いています。しかし、演劇部は未提出との報告を受けています。明日大きな公演があるため、公演終了後まとめて提出するとのことです。」

「報告ありがとう、シエリア。他に報告は?」

ネーヴェが手をあげる。

「ランタン同好会のラテルネからランタン同好会を部活にしてほしいとの要求があったぞ。」

「そうですね…前の定例会の時もその要望が来ました。ラテルネはとても熱心に活動をしていますし、それについては素晴らしいことではあります。部活にしてあげたい気持ちも山々なのですが、部員が1人ではなかなか厳しいですね。」

俺がそういうと、シエリアが手を挙げた。

「それなら、部活にすることはできませんが、エスポワールでランタン同好会を応援するのはどうですか?部員募集の張り紙を一緒に作ったりとか!」

「いいですね〜!そうしましょう〜!」

「じゃあその方向で決まりだな!ルナンやれよ!」

「わかりました。俺が引き受けます。他に何かありますか?」






部活動、委員会に関する議題が終わると時刻は7時半を過ぎていた。

今日の議題まだ大切なものが残っていた。

「次の議題ですが、次の生徒総会についてです。

次の生徒総会の担当はシエリア。報告を。」

「はい。現在学生用の配布資料は作成済みで準備物等は全て滞りなく終わっています。

議題についてですが、各部委員会報告、中等部魔法大会エントリーについて、学生からの意見、諸注意、そして例の重要機密事項を学生に共有する流れで行おうと考えています。」


重要機密事項。シエリアからその言葉が出た時、会議室にいた全員の顔に緊張が走った。


「…中等部魔法大会の担当は…」

俺がそういうと、ファテリーが手を挙げた。

「説明マニュアル、作成済みです〜!バッチリですよ〜!エントリー方法ですが、知力、魔力、体力、防御力、スピード、成績をトータルで評価し、上位16名に大会参加資格が与えられ、トーナメント方式で試合を行います〜!」

魔法大会は定期的に行われる。今回は中等部の大会であり、優勝者には校内通貨シェルと、ある権利が与えられる。

「大会優勝者にはエスポワールへの挑戦権が与えられます〜!中等部の大会ですから、基本的にシエちゃんが対戦相手になりますね〜!」

「わかりました!ぶっ飛ばしますよー!」

そう言ってシエリアとファテリーは笑いあった。





「重要機密事項の担当は俺だよな?」

ネーヴェがそう言って静かに立ち上がった。

会議室の空気が一気に重くなったのを感じた。

「重要機密事項。俺はエスポワール最年長としてこの担当を引き受けた。だが正直言って、俺はこれを学生に共有するのは気がひける。たしかにソル学に入学した俺たちに相応しいことであり、名誉あることだ。」

真剣な表情で語るネーヴェの言葉に誰もが頷いた。

「しかし…あまりにも責任が……重すぎる…」

ため息と共に吐き出されたその言葉は誰もが口にするのを躊躇っていた言葉だった。

この世界に生まれた俺たちにとって、ソル学に入学した俺たちにとって、誇りに思うべきことであり、義務である。

だけど今更後には引けないのだ。

俺たちがその責務を放棄するということは、この世界を放棄することと同じだからだ。

俺はそう言おうとして開きかけた口を慌てて閉じた。みんなの表情がそれを物語っていたからだ。


「誓いを、立てませんか?」

シエリアが静かにそう言った。

「いいですね〜!絶対に仲間を守るという誓いを!」

ファテリーも賛成し、俺もゆっくりと頷いた。






龍族と闘うべき時が近づいている。







「「「「我々エスポワールは、ソル・レヴェンテ魔法学校の学生である仲間を、命をかけて守るとここに誓う!!そして!世界の平和のために揺るがぬ意志を持ち、決して諦めないことをここに誓う!!」」」」






4人の声に魔力が宿り、それぞれの右手の甲に誓いの印が刻まれた。









この印が決別した俺たちを繋ぐ鎹になることを、まだ俺たちは知らない。


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