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第3話 リコとお風呂

――俺は今、危機的状況に陥っている、リコと風呂に入ることになるなんて思わなかった……このままでは理性が持たない気がする。

 浴室で楽しそうにスキップしている俺はどうしたらよいのか不安しかなかった。


「ど、どうしよう……」


「お風呂っ、お風呂っ、ご主人とお風呂〜」


 楽しそうなリコをよそに俺はついにリコと風呂に入るに当たる決心を決めたがその前に突破しなければならない問題があった。

 風呂に入るということは、服を脱がなければならない……そこをなんとかやり過ごさないといけない俺はリコに一つ提案をすることにした。


「リ、リコ……ちょっと、目を瞑ってくれないか?」


「どうしてですかご主人?」


 なぜ目をつぶらなければならないのか理解できないリコにとっては疑問で仕方がなかったのか、リコが首をかしげながらなに問い掛ける……


「い、いいから、目をつぶっているんだ、俺がいいと言うまで目を開けちゃダメだよ。俺が良いよっていったら目を開けて入ってきて良いから!」


「はい、ご主人っ」


 素直に俺の言葉を聞き届け目を閉じるリコ。その姿はまさにキスを待たされている彼女のようだが、こんな姿あの男子には見せられないなと思い俺の目にその姿を焼き付けた。

 素直にリコが目をつぶっている間に、俺はさっさと服を脱ぎ、しっかりとタオルを腰に巻いて俺は早々と風呂に入り、リコへと合図を送る。


「おーい、リコ、もう目を開けていいぞー」


「いいんですね! わかりましたっ」


 合図を聞くと目を開けすぐさま服を脱いで、風呂に入ってきた……も、もちろん!あらかじめ風呂に入る前に言っておいた。バスタオルを巻くことに当然、なぜバスタオルを巻かなければいけないのですか?っと聞いてきた。

 そ、それはだなぁ、ハプニング的な何かが起きるかもしれないからだよ。と答えたら、想定内にハプニングってなんですか?と聞いてきたので、教えてあげた。

 ……ここで、ラノベで言うところのハプニングについて説明しよう!ハプニングとは!女の子とちょっとしたエロい事が起こることである。

例えると、今の俺見たいに女の子と一緒にお風呂に入ることになったような状況だろう。


 湯船につかる俺とリコ、しかし俺は恥ずかしさのあまりリコの方に目を向けることが出来ないのと、後なぜか話しかけずらい事により、ニコニコしている女の子と無表情の男というなんとも珍妙で滑稽な状態になっている。

 そんな状態の中、リコがこちらを向いて、話しかけてくる。


「ご主人とお風呂はやっぱり楽しいし、うれしいですね!」


「えっ、う、うん、そうだね……」


 や、やべぇ、心臓が張り裂けそうだ……まともに目を合わせられない……

 緊張のあまりにぎこちない返事をしてしまった俺に、リコは心配そうにしてくる。


「どうしたんですかご主人? なんだか顔色が悪いですよ?」


「えっ?あっ、いや、なんでもない……たぶん……」 


 それを聞いたリコは安心したのか、突拍子もないことを言い出し始めた。


「それならよかったです、という事でご主人っ、洗いっこしましょうよ」


「えっ!? ど、どのへんがという事でなの!? っていうかそれは色々まずいのでは……」


 そう色々とまずい、何がまずいかって年頃の女の子の肌に触れて良い物か。

洗っている最中、別に期待なんかしていない何かあったらどうするんだという二つの要素が現れている。

うちのリコにはそんなこと知ったこっちゃないらしく、しかも俺に嫌われているのではないかと勘違いしたリコは、涙目になりながら俺に言う。


「ご主人、わたしとじゃ嫌ですか?……」


 もはや、反則級のお願いごと。

こんなこと言われたら大抵の人どころかほとんどの人がお願いごとを聞くしかない、もちろん俺もその中の一人のなのだが……


「い、嫌じゃないよ! でもそれは……」


 俺が最後まで、言葉を言う前にとどめの上目遣いからの美少女からの期待の眼差しときたら、もう断る理由を探す方が至難の業だと俺は悟った。


「ご、ご主人〜……」


「わかった、わかったから、その目はやめてくれないか?」


 リコの可愛い差に、完全に負けた俺は従うしかなかった……

 俺の降参したことが分かったのか、リコはうれしそうに耳をピョコピョコしたりシッポをパタパタ動かしてうれしさをアピールしている。

 なぜだろう、風呂に入る前よりか元気に見えるには俺だけだろうか……


「やった! ご主人と洗いっこだーっ、さぁ! ご主人! どっちから洗いましょう!」


「どっちからでもいいよ」


「それでは、私がご主人のお背中を流してあげます!」


 ドヤァっとした顔で鼻息をふんすっとならし、両手を腰に当て仁王立ちしていかにも自信満々で言ってくる。


「おっ、おう、任せた……」


 いざ洗ってもらうとなると美少女から洗ってもらえるとは、たまには良い仕事をしたな問題人よ(母よ)……そんな感じで神(母)に祈る。

 一生懸命にゴシゴシを俺の背中をあらってくれているリコは、床屋でよく聞いたことがある言葉をかけてきた。


「ご主人〜、痒いところはないですか?」


「んー、今の所はないかなぁ」


「そうですか? では、前の方を……」


 リコがその言葉を言い切る前に、俺は全力で遮った。

 いや、遮らなければなかった、純粋無垢なリコに男の前の方を洗うことになってしまったら、リコにまだ見せてはいけないとこが見えてしまったらリコに悪い影響が及ぶかもしれない(見られたら俺が純粋に恥ずかしいというのもあるけど)


「えっ!? いや! 前はいいから! 自分でするから!」


「ご主人がそう言うならいいですけど……」


 なんだか、残念そうな顔をしているが、さすがに前はまずい!……っと、心の中で強い確信を得た俺であった……。

そして、自分で前を洗い流したあとに気を取り直して俺がリコに言った。


「さぁ、リコ、今度はお前の番だぞ」


「はい! ご主人っ」


 そういうと、リコは長い髪を前に流し背中を向けた……向いた背中を見た俺は思った。

華奢で小さい背中、綺麗で透き通るような白く、そして赤ちゃんみたいに柔らかそうでちょっとしたことで傷ついてしまいそうなくらいの柔肌。

そんな繊細な物へ本当に俺が触れて良い物かと考えるも手を動かす。


「さ、さぁ、始めるぞ」 


「はい、ご主人っ」


初めて触れる女の子の背中。その今にも華奢で繊細な肌にいったいどのくらい力で触れれば良いのか、どのくらい優しく洗えば良いのか分からない。

そっと優しく洗い始めようとリコの背中に触れた瞬間……なんとも可愛らしく、いやらしい声をあげた……


「んっ……ひゃあっ……」


「へ、変な声出すなよリコ!」


「だ、だってぇ〜……」


そしてまた、リコの背中に触れた瞬間にまた、可愛らしい声を発した……


「あっ……はぅっ……」


なんだろう……凄く洗いにくい!っと、思うのは俺だけだろうか……


「だから、その声やめろって洗いにくいから!」


「だって、ご主人の洗い方凄く、くすぐったいんですもん…」


「そんな事言われても仕方ないだろ……」


なんだかんだ言ってる間に、背中を洗い終わった……。洗ってる間に時たまリコが可愛らしい声を発していた……。

背中が終わった後に、「ご主人! 前の方も洗ってください!」とリコから提案があったがそれだけはさすがに無理な相談であるのは目に見えていた。背中の時点で結構ギリギリの所で理性を保っていたのに前になるとそれがどうなってしまうか想像できてしまう。

その状況になる事を打破するために、リコへ「今日は背中だけなっ! ま、前はまた今度なっ! なっ!」と念を込めて言うと、悲しそうな顔をして耳を倒し、「分かりました、ご主人が言うなら……」妥協してくれたことのは良かったが、俺の心に罪悪感のようなものが残って申し訳ない気持ちが満ちていく事に「……すまないリコ、前だけは、前だけはさすがに無理だ」っと小さく謝罪した。

犬の姿ならまだしも今は人間の姿をした超絶美少女といっても過言ではない元愛犬の身体に、背中では前の方洗うのは思春期真っ盛りの少年には酷なことは間違えなかった。

さまざまな思考を張り巡らせようやく、ゆっくり風呂に肩まで浸かり温まったところで、リコは先に上がろうと思ったのか湯船から上がり、犬が濡れたときによくやる身震いのように頭をフルフルっと振って水気を飛ばした髪が靡く。


「ご主人とのお風呂楽しかったですっ、では私は先に上がりますねっ」


リコが風呂から上がり脱衣所に向かおうとした瞬間。

良い感じの所に石鹸がおいてあり、良い感じの所にリコの足が乗るという風呂に入る前に言っていたハプニングがやってきた、そう見事に滑ってきたのである……


「きゃっ!……」


「リコ! 危ない!」


 俺はリコの腕を掴んだが、行きおいよく飛び出し掴んだせいかその行きおいで俺も滑ってしまいそのままリコを巻き込んで倒れ込む――


「――っ!痛ってぇ……」


 頭を打ったのか俺は少しの間気絶していたようだ。

 目の覚めた俺は両手に何やら柔らかい感触をあるのを得た。

……何だ?この柔らかいの?頭に疑問を浮かべながら目線を両手の方に向けて見る。

そこにはさっきの倒れた勢いではだけてしまったのか巻いていたはずのバスタオルが取れて、すべてさらけ出した状態で気絶しているリコの胸をしっかりと両手で鷲づかんでいることに気づき慌てて手をのけた。


「うわぁ! ちょっ! こ、これはわざとじゃなくて不可抗力だからな!」


 俺が慌てていると、それに気づいたのかリコが目を覚ました。


「ご、ご主人……」


「えっ、あ、はい……」


 普段とは違うリコに咄嗟に敬語になり、怒られるか嫌われるかどちらか一方の反応が来るのだろうなと思い待ち構える。


「触りましたね……」


「いや、えっ…と……はい、触りました……」


 きっと、怒られるか嫌われる思って身構えていたら、リコは普段の天真爛漫でその無邪気さ故に抱きついたり風呂に入ることもお構いなくなのだが、そんなリコでも自分から行く分には何故か問題ないが、さすがにドッ直球のエロには免疫がなく、いつもと違う態度で顔を少し赤くして言ってきた。


「ご主人の……えっち……バカ……」 


「えぇーっと、リコ、怒っていらっしゃる?」


「別に、怒ってません、ただ突然のことだったのでびっくりしているだけです。ご主人が私と今一緒に寝てくださるなら許します…」


 どうやら許すというのを口実に、俺と一緒に寝るという願いを叶えに言っているように聞こえるが、俺にはちょっとだけ疑問に思っていることがあるのでリコに聞いてみる


「許すって……それって、やはり怒っていらっしゃるのでは?」


 なぜか自然と敬語になって、リコに質問を投げかける。


「そんなのは、もうどうでもいいです〜! 寝てくれないのなら許しませんよ!」


「わかった! わかったから、一緒に寝るから許してください!」


 リコのお願いを承諾すると、先ほどのリコは表情がいつものリコの表情に戻って嬉しそうな顔になった。


「本当ですかご主人! 約束ですよ! 大好きですご主人!」


「お、おう、約束だ……」


「では、ご主人早くお風呂から上がりましょう!」


 ウキウキしているリコと俺は風呂から上がり、問題人(母)が待つリビングに行くと母が、おっ来たかという顔でニヤニヤしながら飯を作って待っていた


「おっ、上がってきたか、どうやらその顔は、何やらハプニング的な何かがあったな……隅に置けないねぇ」


「あんたは、超能力者か何かか!」


 予測していたかのように、何かあったことをばれているという超能力者っぷりを見せつける母に的確なツッコミを入れる。

そんなツッコミをものともせず華麗に正論をぶつけられる。


「誰でも、そんな顔してたらわかるでしょ……」


「う、うるさい!」


 母に図星を刺された後、ここにいたら危険だと考えた俺はさっさと飯を食べて部屋に行く為に部屋へと足を向ける。

 部屋につくと後ろからどこから現れたのか、ひょっこりとリコが現れた。


「さぁ! ご主人! 一緒に寝ましょう!」


「お、おう、そうだな寝るか……」


 リコとの風呂場での約束を果たすため、ドキドキしながら寝に入ろうとしたところでリコがまた無邪気に腕にひっついてくる。

 平常心を保ちながら、リコに就寝の言葉を継げる。


「おやすみ、リコ」


「はいっ、おやすみなさいご主人っ」


 明日も学校だというのにドキドキして眠れない。

 当然、おやすみとは言ったがリコがこの姿になって寝るのは初めてのこと。

眠れず羊を数え眠りを誘う作戦にでるも、これじゃ眠れないだろとバカバカしいと思いながら無心に数えている内にぐっすりと寝てしまっている単純な俺だった。

 明日も学校かぁ……生きてかえってこれるか心配だなぁ……


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