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99 『何なのあれー!』

 現実でもお昼を済ませてログインです。

 ゲーム内であれだけ食べたのにすぐお昼でしたが、何も問題はありませんでしたね。

 ただちょっと気分的にお腹いっぱいな感じはありましたけど。

 これ、人によっては現実の食事をスルーしちゃう人も出てきそうで怖いんですけど。


 今までは【ふろんてぃあーず】でいくら食事をしても満腹感は得られないのだからとスルーしていたのですが、実際に美味しいものをたくさん食べてみるとちょっと気になるところです。

 でも掲示板でもそれほど騒がれてはいないですし、今のところは大丈夫なのでしょう。

 私だってお昼をちゃんと残さず食べてきましたし。

 まぁ残すと色々面倒なのもあるのですけど。


 そんなわけで近くにとても美味しいお店が出来たので露店で食料を買うのは少なくなりそうですね。

 私の稼ぎなら毎回通ってもまったく問題ないですし。


 食欲も満たされていますし、次は製作欲を満たすとしましょう。

 相変わらずスティール系装備の『オプション品』は優先販売で半分以上ははけますし、残りの微妙な『オプション品』だってお店に並べれば即完売です。

 もちろん『オプション』がついてなくても即完売なので当然ですけどね。

 微妙な『オプション品』はそれほど値段も変わりませんし。


 お昼のログアウトを挟んでいるので、すでに『クールー飯店』で得られた食事ボーナスは効果を失っていますがさしたる問題はありません。

 元々そういったボーナスなどなしでやってきたのですからね。


 今度こそ『言語・改』を取得するためにSP(スキルポイント)も溜めなければいけません。

 他の上級設備の更新は売上が順調に爆上げされているので大丈夫でしょう。


 さぁバリバリ作りますよー!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 私が製作しているスティール系装備はその日によって異なりますが、全ての完成品に私の意匠である百合の彫刻が入っています。

 その他にも気ままに色々彫っているからか、『細工』系統のスキルは『鍛冶』に続いて成長が早いです。

 掲示板では中間素材の製作で必須となる『皮革』や『木工』の方が上がりやすいという話をよく耳にしますが、私はそうでもないですね。

 あ、『鍛冶』や『細工』と比べるからいけないのかもしれません。

 それに『皮革』と『木工』のどちらも改のLv100で止まったままです。

 『言語・改』の次に進化させたいところですね。

 中間素材のランクアップは大事ですから。


 まぁ現状では進化による影響を受けても『ダブルオプション』は無理だと思いますけどね。

 『シングルオプション』だって上級設備に更新してやっとです。

 中間素材が1つくらいランクが上がったところで大して変わらないのが現状ですから仕方ありません。


 当然次の大きな目標はスティール系装備で『ダブルオプション』ではありますが、ただランクをあげた素材を使うだけではだめなような気がします。

 まぁその辺も含めて『言語・改』には期待しているのですけどね。


 図書館の2階はまだプレイヤー開拓者では誰も足を踏み入れていないはずです。

 なので一体どんな情報が埋まっているのか非常に楽しみですね。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 製作、評価査定、優先販売、補充と色々やっているとあっという間に時間は過ぎていきます。

 まぁ主に時間泥棒なのは製作なのですけど。

 それだけの時間をかけても製作出来る量はそれほど多くないのも毎回のことです。


 【開拓者組合(ギルド)】からの帰りには減った『空腹度』と『渇水度』を満たすために『クールー飯店』にも寄りたかったのですが、残念ながら深夜営業はしないみたいです。

 仕方なく露店でサンドイッチなどを購入しましたが、『クールー飯店』での美味しい食事を知ってしまうとなんだか味気ないです。

 これが現実の方まで影響してしまうと更に怖い気がしますね……。


 ソギちゃんと戯れいる間に自由時間に何をするのか考えてみましたが、やっぱりここは読書でしょう。

 『魔術言語・改』と『解読・改』の2つを上げることが出来ますし、借りている本も読んでしまいたいです。

 でも『魔術言語・改』がもうすぐLv100になりそうなんですよね。

 進化はさすがに今回はパスですが、また悩ましい選択肢が増えてしまいましたね。

 『魔術言語・改』を進化させれば『魔術陣』に大きく影響があるはずです。

 『魔術陣』も素材、道具、設備などの影響を大きく受けるのはわかっていますが、もちろんスキルだって大事です。

 ただ『魔術陣』は癒やし枠なので、装備の製作ほど必死になるつもりはないのです。

 もちろん新たな『魔術紋様』が手に入るのなら頑張るんですけどね。

 それには『魔術言語・改』より『言語・改』の方が先になるのですから、仕方ありません。

 まずは読めないことには話にならないですから。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 たっぷりと読書欲を満たせば、また製作です。

 生産者の鑑みたいですよね、私。

 まぁ楽しいからいいんですけど。


 有用な『オプション』が付いたりしたらとてもうれしいですし、『オプション』がつかなかった頃に比べれば楽しみもあります。

 主に値段が爆上げされるのが嬉しいのですけどね!


 さて今回はどんな『オプション』が付いてくれるのかなー?

 もちろん確実に『オプション』が付くわけではないので過度な期待は禁物ですけどね!


『ユリ! 今ちょっといい!?』

『どうしたの? そんなに慌てて』


 スティール系装備の製作の続きをしようとしたところでミカちゃんから『コール』です。

 でもなんだかとても慌てているようですね。

 どうしたのでしょうか。


『『魔術陣:破影結界』と『破影投石』をありったけ用意してほしいの!』

『えぇ? 確かお店に補充したので今あるのは全部だと思うけど』

『あれだけじゃ足りないのよ! なんとかならない?』


 緊急事態のようですが、『魔術陣:破影結界』と『破影投石』を求めているということはイベントで何か変化があったのでしょうね。

 でも残念ながら現物はお店に補充した限りです。


 まぁ……一応今から製作するという手はあるのですけどね。


『じゃあ今から作るけど、急ぎでもそんなに数はできないよ?』

『1時間で出来る限りお願い! 1時間後に取りに行くから!』

『はいはい、承りましたー。でもどうしたの? イベントで何かあったの?』

『そうなのよ! レイドボスが出現したの!』

『おぉ? 掲示板の予想よりちょっと早かったねー』

『そうなのよー! だからちょっと手持ちが心配だからこうしてお願いしてるのよー!』


 どうやらミカちゃんの焦りは出現したレイドボスに向けての準備不足から来るもののようです。

 掲示板でもイベント後半になってから出現するだろうと予想されていたレイドボスですが、まだイベント中盤の今出現したようです。

 ミカちゃん達も色々と準備はしていたようですが、やはり掲示板勢と同じようにイベント後半での出現予想だったようです。


 注文された分の製作にはお店で買い取った素材があるので問題ありません。

 もちろん数を揃えるとなると時間が必要になりますけど。


 素材の用意をしながら掲示板の方を少しチェックしてみましたが、レイドボスの出現で用意されたスレッドが瞬く間に消費されていますね。

 どうやらかなり強い上に、出現した位置も悪かったようで大きな被害を出しているみたいです。

 今現在はレイドPT(パーティ)の編成と監視、注意喚起がされているようです。


 イベントでは初登場ですし、リッチに続いてプレイヤー開拓者達にとっては2度目のレイドボスなわけです。

 ミカちゃんが焦っているわけですね。

 これを逃したらまた長いこと戦えない可能性がありますからね。


 ではではミカちゃんの期待に応えるためにも頑張って製作しましょう。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「助かったーユリー愛してるー!」

「はいはい、頑張ってきてねー」

「もちろんよ! 今回こそはラストアタックとってやるわ!」

「そういえばアリミレートさん達も参加するの?」

「もちろんよ。『ミストナイツ』じゃ全員参加するし、知り合いの『クラン』もほとんど参加するみたい! もちろん姫んとこも!」

「かなり大人数になりそうだねー」

「リッチの時より多いかもねぇ」


 事前の被害状況から今回のレイド戦はかなりの大人数で挑むようです。

 掲示板でも阿鼻叫喚の地獄絵図のような状況でしたので、私が閲覧したときには情報が錯綜していてすごく強いことしかわかりませんでした。

 まぁもうすぐレイドボス討伐が始まるわけですから、詳しい情報はその後に掲示板にアップされるでしょう。

 動画撮影もされるでしょうし、私はそちらを見ればいいわけです。


「じゃあ行ってくる! お土産楽しみにしてて!」

「いってらっしゃーい」


 1時間前の焦っていたミカちゃんはもういません。

 勇猛果敢という言葉がぴったりな勢いで工房を後にするミカちゃんを見送って、私は私のやれることをすることにしましょう。

 もちろんそれはスティール系装備の製作なんですけどね。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『ひどいめにあったぁ~』

『大丈夫ー?』

『何なのあれー!』

『いやいやわかんないからねー? ちゃんと説明してねー?』


 ミカちゃんが出発してから30分もしないうちにまた『コール』です。

 どうやらちゃんと倒せはしたようですが、かなり特殊なレイドボスだったようですね。


 レイド戦自体は順調に推移していたようです。

 予め用意していたイベント用アイテムの大盤振る舞いで優勢に進められたようですが、最後の最後にレイドボス――『影の尖兵』はHPが0になった瞬間に『影の涙』というアイテムをバラ撒いたそうです。

 バラ撒かれたと同時に大量のイベントMOB(モンスター)が出現し、『影の涙』を拾ったイベントMOB(モンスター)が強MOB(モンスター)に変化したそうなんです。


 バラ撒かれた『影の涙』も結構な数だったらしく、強MOB(モンスター)に変化した数も相応に多く、レイドボス戦で消耗した状態で乱戦が始まってしまったのです。

 ミカちゃん達もレイドボスを倒したからと油断してしまったようで、結構な被害を被ったそうです。

 それでもなんとか殲滅できたみたいですけど。


 プレイヤー開拓者が拾えた数少ない『影の涙』は消耗品で、使用するとイベントポイントが大量に貰えるみたいです。

 ですが、ソレ以上に問題だったのが変化した強MOB(モンスター)からはほぼ100%の確率で『影の大結晶』や『影の御影石』がドロップしていた事だったのです。



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