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98 『甘ロリさんの食べっぷりが』

 『Works』に新人さんが加入しました。

 中華風なキャラ付けの料理人――クールーさんです。

 ですが新人とはいっても彼が作る料理はプレイヤー開拓者の中ではトップクラスでしょう。

 実際に食事ボーナスが付いた料理を製作できているわけですからね。

 その時点でかなりのスキルLvであることは間違いありません。

 もちろん相応に【ふろんてぃあーず】の食材の研究もしているのでしょう。

 でなければレシピ以外の現実の料理を再現するのですら難しいらしいのですから。


 何はともあれ、『Works』のメンバーが増えても私のやることは大して変わりありません。

 今度クールーさんのお店が開店したらみんなで食べに行くくらいですね。

 南門通りの店舗を確保しているそうなので割りと近いのでそれなりの頻度で食べに行くことも出来るでしょう。

 加入記念の親睦会モドキで出された『羽根付き餃子』をみてもわかるように味にはとても期待できます。

 生産系の食事ボーナスが付いていたらさらに上を目指せるかもしれませんしね。

 テイクアウトとか出来るんですかね?


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 イベント――『異形なる影の下僕』も中盤戦に突入し、開拓された新エリアにもイベントMOB(モンスター)も出現し始めて、歯ごたえのある戦闘が繰り広げられているようです。

 始めたばかりや新エリアでの戦闘が厳しいプレイヤー開拓者は狩り場のランクを下げたり、【首都サブリナ】の近辺を狩り場にしているみたいです。

 その辺の雑魚相手ならば始めたばかりでも十分戦えるように調整されているみたいですしね。

 まぁ戦わない私には関係ないですが、新エリアで得られる素材は大いに関係あります。


 特にイベントMOB(モンスター)のレアドロップです。

 当初の読み通りにレアドロップは強くなれば強くなるほど出やすくなるみたいです。

 おかげでお店にレアドロップを売りに来てくれる人も少しずつ増えているようです。

 その分『魔術陣:破影結界』や『破影投石』の売上もどんどん伸びています。

 もちろんイベントアイテムは製作するだけでイベントポイントが得られるのでガンガンイベントポイントが貯まってきています。

 レア素材を使用したレシピならさらに倍率ドンです!


 というわけで――


「『ミニコット/ネコソギキャット』、ゲットだぜー!」


 遂にゲットしちゃいました。

 当初の予定よりもずっと早く入手できてしまいました。

 『ミニコット/ネコソギキャット』は見た目は手の大きな猫です。

 手が大きい以外は至って普通の猫ですね。

 黒と白の斑模様です。

 尻尾まで斑模様ですね。

 そして特徴となる大きな手。

 もちろん肉球も大きく、触り心地が非常に気になる存在なのです。


「おいでおいでー」

「うなー」

「おおぉぉぉ……可愛い……」


 『ミニコット/ワンダーマッシュルーム』のマシュ君は一切喋りませんでしたが、この子はちゃんと鳴くみたいです。

 人見知りもせず、なかなか人懐っこい性格のようで差し出した私の手をぺろぺろ舐めてくれています。

 でもまだ我慢です。

 いきなり大きな肉球の感触を確かめに行っては欲望駄々漏れで逃げてしまうかもしれません。

 少しずつ……少しずつですよ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「これは堪りませんな~」

「うぅーミカちゃんずるいよー私もー」

「もうちょっと~」


 ちょっとずつスキンシップの幅を広げていっている最中にミカちゃんの強襲を受けて、見事にとられてしまいました。

 『影の御影石』と『影の大結晶』を売りにきたついでに寄ったらしいのですが、もうすっかりソギちゃんにメロメロです。

 あ、ソギちゃんは『ミニコット/ネコソギキャット』の名前です。


 さすがはミカちゃんといいますか、私が少しずつ慣らそうとしたのに対して大胆不敵にも速攻で肉球をぷにぷにしているのです。

 しかもソギちゃん嫌がってません。

 こんなことなら私も最初から肉球を攻めるべきでした。


 ぐぬぬ……おのれミカちゃん。

 ソギちゃんは私のですよ!


PT(パーティ)メンバー待たせてるんじゃないの?

 そろそろ行ったほうがいいんじゃないの?」

「あー大丈夫ー。だってもうあとは寝るだけだもん」

「まーた徹夜したの?」

「だって週末だしー。うりうりーぷにぷにーごろごろー」

「むぅぅぅ! ミカちゃんその子私の!」

「いいじゃーん。私はここにこないと会えないんだし~。ユリはこれからいつでも会えるでしょ~。ぷにぷにー」

「そうだけどー。まだ手に入れたばっかりなんだよー!」

「もうちょっと~」


 これはだめですね。

 完全にミカちゃんがソギちゃんの魅力にノックアウトされてます。

 あの大きな肉球は魔性の魅力を放ってやまないのでしょう。

 わかります。すごくよくわかります。

 だからこそ譲れません!

 片方だけでもー!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「はー堪能したー。それじゃおやすみー」

「おやすみーぷにぷにーうりうりー」

「なー」


 ソギちゃんの大きな肉球の片方をミカちゃんから無事奪還して2人で癒やされまくりました。

 ミカちゃんも大分満足したのか眠そうにログアウトしていきましたが、週末だからといって頑張り過ぎじゃないですかね。

 明日は一週間ぶりの女子会ですけど、ちゃんと出れるのかな?


 さて、ソギちゃんと戯れるのもこの辺にして製作を開始しましょう。

 結構な時間戯れていたので大分時間が経過してますからね。

 まぁでもこればかりは仕方ないことです。

 私もミカちゃんも根こそぎ魅了されてしまいました。

 だってソギちゃんですからね!


 次の目標はイベントポイントが1番かかる『ミニコット/マジックミラー』と2番目の『ミニコット/わんこ伯爵』です。

 この子達はソギちゃんよりもイベントポイントがかかるので、今まで以上にレア素材を使ってイベントアイテムを製作しなければゲットできないでしょう。

 でも勝算は十分にあります。


 ミカちゃん達を見てもわかるように、だんだん新エリアのイベントMOB(モンスター)にもみんな慣れてきて順調に倒せるようになってきています。

 倒す量が増えれば自ずとレア素材の流通量が増えるわけです。

 そしてうちのお店に売りに来てくれる人は多いわけです。

 つまりはイベントポイントの入手量が格段に多い『魔術陣:破影結界』と『破影投石』をドンドン作れるようになるわけです。

 そしてこの2つを使ってさらにイベントMOB(モンスター)が乱獲される。

 まさに正のスパイラルですね。


 もちろん中盤での変化があったように終盤でまた何かしらの追加があるかもしれません。

 掲示板でも追い込みの重要な鍵となると踏んでいるプレイヤー開拓者達が多いので私も期待しています。


 目指せ『ミニコット』全制覇!

 あ、でもスティール系装備もちゃんと作りますよー。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「まさか【ふろんてぃあーず】で本格中華が食べられるとはねぇ」

「美味」

「美味しいですよね~」

「次は……杏仁豆腐にチャレンジしてみよう……」


 本日は女子会です。

 そしてクールーさんの『クールー飯店』開店祝いにみんなでお店におとずれています。

 そう、女子会の場所は今日はここなのです。

 開店をお祝いして、美味しいものをいっぱい食べて、いっぱいお喋りして、みんな笑顔な女子会ですね!


 『クールー飯店』は見事に内装が中華風です。

 至る所に昇り龍の彫刻があったり、中華風のパーテーションがあったり、テーブルは回転式だったり。

 ウェイトレスさんに至っては見事にスリットが眩しいチャイナドレスです。

 実はアレ、甘ロリさんの作品らしいですけど。


 開店したばかりの『クールー飯店』ですが、私達以外にもお客さんはたくさんきています。

 そこそこ広めの店内がすでに満席になっているほどですから、かなりのものですね。

 メニューも中華料理だけじゃなく、結構色んな料理があります。

 ただちょっとデザート系が薄いようですが、それでもみんな満足しています。

 何より出される料理には食事ボーナスがついていることが多いです。

 ついていない場合もありますが、それは店内ルールとして明記されていてクレームは受け付けないそうです。

 製作時にランダムに付くので仕様上仕方ありませんしね。


 製作した料理を『店舗倉庫』に入れておけば一応1日くらいなら製作したままの状態を維持できますが、クールーさんはその場でちゃんと作っているみたいです。

 ちなみに『(アイテムボックス)』ではそんなに持ちません。


 ですので熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいままで食べたい場合はお店で食べるか、購入したら時間をおかずに食べる必要があります。

 まぁ食事ボーナスやゲージの回復度については冷めても問題はないのですけど。

 あまり時間を置きすぎて腐らせない限りは。


 大皿で頼んだ料理ももう残り少なくなってきました。

 どれも美味しいのでみんなお喋りよりも箸を動かすのに夢中です。

 私も久しぶりに夢中で食事を楽しんだかもしれません。

 普段こんなにバラエティー豊富な食事は出来ませんからね。

 癖なのか、【ふろんてぃあーず】内で摂る食事も簡単なサンドイッチ系が主でしたし。

 体型を気にしなくていいゲーム内での食事だからか、甘ロリさんの食べっぷりが結構すごかったりと、とても楽しい時間でした。

 場所もそれなりに近いので、結構頻繁に通うことになりそうですね。



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