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94 『いやいや、十分だとも』

 おはようございます。

 イベントも中盤戦に差し掛かり、残暑も和らいできた気がするようなしないような。

 今日は雨でしたが、【ふろんてぃあーず】内では快晴のようです。

 無論『ゲーム内時間』は深夜ですけど!


 さっそくですが、イベントアイテムの製作もいいですが、メインはスティール系装備装備で『オプション品』を作ることです。

 利益幅も比べることすら出来ないくらい違いますしね。

 まぁレアアイテムを使ったものなら多少は迫れるのですが、やはり有用な『オプション』がついたスティール系装備となると無理ですね。


 まだまだ設備の更新は残っています。

 資金はいくらあっても足りないのですから、独占状態のうちに稼げるだけ稼いでしまうのがいいでしょう。


 それにもうすぐ『鍛冶職人』がLv100です。

 今まで通りなら進化が待っているはずです。

 傾向から言っておそらくは改がつくパターンだとは思いますが、油断はできませんからね。

 それに『言語・改』に使う予定だったSP(スキルポイント)を丸々『鍛冶職人』に残してあるのでLv100とともに進化可能なはずです。

 現在のSP(スキルポイント)は30です。

 いくら多くても30は超えないでしょう。

 『鍛冶職人』になったときも必要だったSP(スキルポイント)は25でしたし。


 何はともあれ製作です。

 有用な『オプション』が出ることを祈りつつ頑張りますよー!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『――大体こんなところ』

『わかったー。ありがとねー』

『いいってことよー。んじゃまた連絡するわー』

『はいはーい』


 ある程度スティール系装備の製作が進んだところでミカちゃんから『コール』がありました。

 今日はミカちゃん達の学校は確かお休みのはずですので、寝る前の報告なのでしょう。


 内容は例の『破影投石』の検証結果です。

 予想通りに耐久付きの投擲アイテムと同様に投擲者の腕によって耐久値の減少が変動するタイプのようです。

 しかも当てた相手にのみ効果が発生するようで、『魔術陣:破影結界』よりも使い勝手は悪いようです。

 ただし、『魔術陣:破影結界』では完全に耐性を消せないような強MOB(モンスター)相手であっても耐性を無効化していたようで、単体である代わりに強めの効果のようです。


 回数的にもミカちゃんの腕では『魔術陣:破影結界』よりも使えないみたいです。

 ミカちゃんのPT(パーティ)では投擲攻撃をする人がいないので、スキルの補正なしとなってしまうので仕方ないかもしれません。

 スキルの補正ありだったら『エンチャントマジックインク』を使用していない『魔術陣:破影結界』くらいには使えるかもしれないそうです。

 『エンチャントマジックインク』のおかげで私の製作する『魔術陣』は全体的に1割りほど使用回数が伸びていますからね。


 総合的にミカちゃん達が使うなら『魔術陣:破影結界』という結論に達したようです。

 ただし、単体で出現する強MOB(モンスター)相手なら使うかもしれないといったところです。

 まぁこの辺は適材適所でしょうかね。


 イベントポイントの都合上、『破影投石』の製作は非常に美味しいのですので買い取れ次第ガンガン製作したいところです。

 『魔術陣:破影結界』はミカちゃん達に優先して販売して、『破影投石』はお店に並べるといった感じになりそうですね。

 『破影投石』を使用してたくさん強MOB(モンスター)を倒して『影の御影石』がどんどん買い取れれば万々歳です。


 まだイベントも半分を過ぎていないのに『ミニコット/ネコソギキャット』が遂に見えてきましたよ。

 これなら本当に『ミニコット』全制覇も夢じゃなくなってきましたね!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 共有掲示板に出来た『オプション品』の優先販売告知をして、評価査定のために【開拓者組合(ギルド)】へやってきました。

 販売するにしても評価査定は欠かせません。

 私が【開拓者組合(ギルド)ランク】を上げるにはこれが唯一の方法ですからね。

 その唯一の方法で戦闘系トッププレイヤー開拓者に迫るほどの【開拓者組合(ギルド)ランク】になっているのですから問題ないのですけど。

 おそらくこれ以上生産者に【開拓者組合(ギルド)ランク】関連のてこいれはないでしょうね。

 もし入ったら私の独壇場になってしまうでしょうから。


 さて【開拓者組合(ギルド)】に来ていますので『ゴスペル』の人がいたらフレンド登録をしておきたいです。

 でも実は挨拶されたあのタンク役の人しか覚えていなかったりします。

 他のPT(パーティ)メンバーと思しき人達は軽く会釈しただけですし。

 まぁ結構特徴的な人でしたし、居ればわかるでしょう。


「……みっけ」


 私が製作したことを示す百合の意匠の施された『スティールラージシールド』を背負ったイケメン――イズリールさんをさっそく見つけられました。

 【開拓者組合(ギルド)】には補充の度に評価査定を受けにきていますが、なかなか会えなかったんですよね。

 今日はラッキーみたいです。


「すみません、イズリールさんでしたよね?」

「ん? おぉ、これはバケツさん。

 何か御用でしょうか?

 あ、つい先程素材を買い取ってもらっています。お役立てください」

「あ、はい。ありがとうございますー。

 それでですね。フレンド登録いいですか?」

「おぉ! それは大変ありがたい!

 是非ともよろしくお願いします」

「はい、こちらこそー」


 やっぱり『ゴスペル』のイズリールさんで間違いなかったようです。

 多少顔がうろ覚えでしたが、間違っていなくてよかったです。

 握手を交わしてPT(パーティ)メンバーの人ともフレンド登録を行えば目的達成です。


「いやー感激です。

 バケツさんに認めて頂けるとは。

 頑張ってきた甲斐があるというものです」

「あははー。そんなに大したものではないですよー」

「ご謙遜を。

 周りを見てください。

 バケツさんからフレンド登録を求められるという事がどれほどの名誉なのかわかるというものですとも」


 イズリールさんに言われて今更気付きました。

 『ゴスペル』のメンバーと私を遠巻きにして周囲の注目を集めているのです。

 中にはフレンド登録をしたそうに手をさすっている人なんかも大勢いますね。

 フレンド登録には握手が必要ですので、なんとなくわかります。

 でも無理強いをすればお店を出禁にされる可能性がありますからね。

 なかなか行動には移せないようです。


 私が最後にフレンド登録をしたのなんて大分前の話です。

 『Works』メンバーが最後でしょうか?

 それに優先販売の話は割りと広く知られています。

 私と親しい人達の装備の充実具合であっさりばれてましたからね。

 つまりは私とフレンドになれれば優先販売に参加できるというのもすでに周知の事実なのです。


 久しぶりのフレンド登録ということですっかり忘れていましたが、本来なら会議室なり、個室なりを借りて行うべきことでした。

 フレンド登録1つで大げさかもしれませんが、現状が物語っています。

 出禁という抑止力があるからこそ殺到されることはありませんが、完全に周囲のプレイヤー開拓者に緊張が走っています。

 ……やばいですね。今からでも会議室借りた方がいいでしょうか?


「イズリール、会議室借りてきたわ」

「よし、バケツさん。こういう状況ですので一端移動しましょう」

「あ、すみません。ありがとうございますー」


 私が迷っている間にすでに『ゴスペル』のメンバーが動いていたようです。

 気が利く人って素敵ですよね。

 まだ評価査定の結果も出ていませんし、ここは会議室で少し時間を潰すとしましょう。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「――なるほど。そのように優先販売をしていたのですね」

「えぇ、ですので優先販売といっても順番があります。

 それで納得できなければ申し訳ないですけど、お店の方から買ってください」

「いやいや、十分だとも。

 むしろ行列に並ばなくてもよくなる上に購入できる可能性がよほど高いとあっては文句などあろうはずがない」

「そうそう、今だって並んでも買えないパターンの方が多いし」

「掲示板の情報で知っているが、数を作るのは大変なのかい?」

「そうですねー。どうしても中間素材の量が多いですから。

 それらを高ランクで製作できなければ当然『オプション』も付きません」

「バケツさんをもってしてもそうなのか……。

 これでは他の生産者がスティールに到達するのは当分先になりそうだ」


 会議室に退避して『ゴスペル』のメンバーに優先販売についてと共有掲示板のURLなどを教えました。

 掲示板でもスティール系装備の製作に時間がかかることは知られています。

 一部で私が販売数を絞って値段のつり上げを行っているとか噂が出たこともありましたが、レシピは初期の段階から入手は可能なのです。

 そのため、あっさりとそんな噂は消えていきました。

 生産者が増えていることもあり、レシピをみればどれだけ時間がかかるかもある程度予想がつくようになり、情報が広まってくれたおかげですね。


 生産を行わなければレシピなんて見ないでしょうし、レシピを見なければカッパーやブロンズ、アイアンなどの製作速度、量からスティール系装備も同様に思ってしまうのは仕方ない話ですからね。


 アイアンから中間素材が増えてはいますが、スティール系装備ではアイアンの比ではないほど急激に増加します。

 その結果が今の流通量ですので、事情を知らなければ当然かもしれません。


「失礼します。

 バケツさん様、評価査定が終了致しました。

 こちらでお受け取りできるようにしてありますのが如何いたしますか?」

「あ、受け取りますー。ありがとうございましたー」

「ではこちらが今回の評価査定となります――」


 会議室までわざわざ評価査定の終了を知らせに来てくれた受付嬢さんにお礼を言って結果を受け取ります。

 本来はこういうことはしないと思うのですが、私が今会議室を出たら何かしら起きそうですからね。

 【開拓者組合(ギルド)】側に迷惑をかけてしまいます。


「――ではバケツさん様、今でしたら裏口から出られますが如何致しますか?」

「あ、そうですね。

 何かわからないことがありましたら、『コール』か『メール』ください。

 ではー」

「あぁ、今日はありがとう。

 これからもよろしく頼む」

「よろしくねーバケツさん!」

「よろしくお願いします」

「またねー」


 『ゴスペル』のメンバーは品行方正という話で少し堅いイメージでしたが、仲良くなってみればそんなことはなかったみたいです。

 これならミカちゃんも仲良くなれそうな気がしますね。

 同じ戦闘系トッププレイヤー開拓者なのですから、何かと協力しあえると思うのですよ。



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