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72 『横流しよろしくー!』

 ホムちゃんとゴレ君に癒やされた後は、進化待ちのスキルをどうにするためにスキルLv上げの時間です。

 お店には商品を補充したばかりですし、実験は私にしてなかなかの苦行なので正直ミカちゃんから『リッチの骨』を購入できたら続きをやろうかな、という程度のレベルです。


 親方さんから教わった『追加』素材の加工方法は掲示板には情報は流してあるのですが、あまり情報は上がっていません。

 加工するのに必要なアイテムの問題でしょうね。

 それは器具であったり、中間素材であったりです。

 私だってつい最近手に入れることができたものですし、まだ『Works』外に情報が出るのには時間がかかるでしょう。

 つまり掲示板の有志の力は今は借りる事はできないということです。

 要するに自力でどうにしかしろってことです。


 ケデリック商会の大店枠を使えるとはいえ、元々オークションの開催日まで日もないんですよね。

 もっと時間があったら実験を少しずつ進めてもいいんですけど。


 生産活動は長時間しても苦にならないのですが、どうにもこういった実験は長時間やるのは苦行なんです。

『調理』や『錬金術』の最前線では、こんなことを毎回行っているそうですから、私には無理っぽいです。

 結果の上澄みを掬わせてもらう程度で十分だと思います。

 得手不得手なのでしょうね。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 SP(スキルポイント)目的のスキルLv上げといっても今現在行えるのは、『魔術陣・改』、『皮革・改』、『木工・改』、『錬金術・改』、『魔術言語・改』、『解読』、『人形製作』でしょうか。

 あー、一応『魔導糸手袋』もありますね。

 でも『魔導糸手袋』は他と比べて上げるのが大変そうです。

 狩りにはいけないのでもっぱら製作した木人形を操ることによってLvを上げることになるからです。

 木人形を製作する度に動作確認のために少し使っていて、その蓄積で今Lv11なのですが、木人形を製作した量を考えるとかなり上がりづらいといえます。

 『魔導糸手袋』を普通に上げたかったら戦闘しろってことなのでしょうね。

 もしくはもっと木人形を操る時間を延ばせばいいんでしょうかね。


 というわけで一度に複数のスキルをあげられる読書からですね。

 『魔術言語・改』と『解読』が上がりますので一石二鳥です。

 私の読書欲も満たせるのですから一石三鳥……いやレシピも手に入るので一石四鳥でしょうか。

 まぁそんなことより読書ですよ!


 おっとその前に図書館に行ってきましょう。

 なんだか図書館も久しぶりな気がします。

 借りた本を読み終えたら返して新しいのを借りているので、そんなに久しぶりでもないはずなんですけどね。

 それに【開拓者組合(ギルド)ランク/★5】で2階の閲覧許可が出るのかどうかも確認したいです。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ちょっと長めにお昼のログアウト時間まで読書をした結果、思った以上に収穫がありました。

 あ、ちなみにもうお昼は済ませてきましたよ。


 収穫は当然ながらSP(スキルポイント)とレシピです。

 あと、2階の閲覧許可ですが無事貰えました。

 ですがまだ1階の本も読んでいないのものが大半です。

 一応どんな本があるのか見てきましたが、どういうわけなのかまったく読めませんでした。

 いえ、理由は大体予想がつきます。


 1階の本ですら、『言語』が必要だったのです。

 つまりは『言語』の進化後のスキル――『言語・改』が必要なのでしょう。

 まぁまだ1階の本だけで十分ですね。

 SP(スキルポイント)だって圧倒的に不足しているのですから。


 ちなみに『言語』はLv100ですので、借りられる本も10冊です。

 もちろん帰りには10冊借りて帰ってきています。

 でもたまには図書館で読書に興じるというのも悪く無いですね。

 気分転換にはちょうどいいです。


 工房に戻ってきたら次は私の癒やしである『魔術陣』を描きましょう。

 スキルLv的には『皮革・改』や『木工・改』の方が早く上がるんですけどね。

 ここは私の癒やし優先です。

 別に読書で何かがすり減っていたわけではないのですけど、レシピがですね。

 『魔術陣』の新しいレシピがですね。

 『魔術紋様』が描きたいんですよ!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今まで発見した『魔術陣』のレシピは初級系の『属性魔術』と『支援魔術』が主です。

 ですが、今回入手したレシピは初級を抜けだしたあたりの中級の序盤ともいうべき『属性魔術』のレシピです。

 まぁ単に進化しただけで、改がついただけなんですけど。


 ですが、進化済みのスキルの効果は大幅に上がるのを私は知っています。

 私が実際に体験したのは生産系スキルでだけですが、掲示板情報として戦闘系スキルでも同様なのは知っているのです。


 進化済みスキルの『魔術陣』はスキルの育成やSP(スキルポイント)の消費なしで使えるのが強みですよね。

 SP(スキルポイント)不足で喘いでいる私はよくわかります。

 いや私だけではないはずです。

 実際に掲示板でもSP(スキルポイント)不足で苦しんでいる人は少なからず出てきています。

 これからスキルの成長が進めばもっと増えてくるはずです。


 SP(スキルポイント)が足りないのは、別のスキルを育成することによって解消したりできます。

 同じようなスキル構成では行き詰まりやすくなっているのでしょう。

 最初はSP(スキルポイント)不足を解消するために手を出したスキルでも、育成するうちに使用頻度が上がることだってあるはずです。

 活動スタイルの見直しの一助にもなっているのでしょうね。


 閑話休題。


 新しく入手したのは中級の『魔術陣』ですので、当然ながら『魔術紋様』もさらに複雑化しています。

 でも私はもう初級程度の『魔術紋様』では1枚数分で描き上げてしまいます。

 ですのでさらに複雑になったとはいえ、そこまで時間はかかりませんでした。

 それよりも問題は完成品の使用回数でしょうか。

 まぁ私は使用しませんけど、商品としては気になります。

 現在使っている『魔法紙』では初級の『魔術陣:火弾』では10回が限度です。


 ちなみに描き上げたものはこちら――


 ====

 魔術陣:風弾・改

 アイテム/★5/使用回数4回

 ====


 ……まぁ悪くないんじゃないでしょうか。

 ちなみに相場は『魔術陣:火弾』の★5の10倍ですね。

 やはり『魔術陣』は金食い虫です。

 まぁスティール系装備単体よりはずっと安いんですけどね。


 それでも消耗品としては破格の値段でしょう。

 値段に見合った威力があるといいのですが。


 それはさておき、複雑化が進んだ『魔術紋様』によって私の癒やしは更に加速できました。

 あと10枚くらい描いたら満足できそうです。


 もうスキルLv上げがどうとか関係ないです!

 さぁめいっぱい描きましょう!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 気づいたらすでに工房の窓から見える景色は真っ暗です。

 確か図書館から帰ってきた頃には外は明るかったのですが……。

 ま、まぁ思う存分癒やされたのでよしとしましょう。

 10枚どころかその数倍にも及ぶ量になっていたのはきっと気のせいです。


 そういえばミカちゃんから『メール』が着ていたのにも今気付きました。

 どうやら到着時間を見ると描き始めてからすぐのようですね。

 全く気づきませんでした。

 視界内で『メール』着信の合図が出ていたはずなんですけどねー。不思議です。


 ちなみに内容は『リッチの骨』の件についてですが、売却するのは問題ないみたいです。

 むしろミカちゃんもすっかり忘れていたみたいです。

 まぁ使いどころが今のところ『追加』素材の材料くらいしかないですからね。


 大分遅くなってしまいましたが返信しておきました。

 でもすぐに『メール』が帰ってきて返事が遅いことを怒られちゃいました。

 まぁ本気で怒っていた訳ではないですけどね。

 本気だったら『コール』なりなんなりで連絡をしてくるはずですから。


 ミカちゃんが来るまでは少し時間がかかるので、その間に補充用の商品を製作することにしましょうか。

 もちろんスティール系装備です。

 『皮革・改』と『木工・改』もついでに上がりますので、SP(スキルポイント)稼ぎにもちょうどいいです。

 スティール系装備には中間素材が大量に必要ですから、『皮革・改』と『木工・改』を使用した加工も多いんです。

 重装系装備なので、『裁縫・改』や『織』はあまり出番がありません。

 せいぜいが着心地改善程度ですね。

 ちなみに『織』はLv100で進化待ちなので上がりませんけど。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ミカちゃんがやってきたのは『ゲーム内時間』で深夜を回ってからでした。

 スティール系装備はあまり数は確保出来ていません。

 やはりアイアン系装備に比べると時間がかかりますね。

 まぁ『魔術陣』を描き過ぎたのもいけない気もしますが、気にしたら負けです。


「とりあえず、少し残して全部売って差し上げます」

「ありがとー。

 ……で、何が目的なのかなー?」

「ふふ……。さすがは我が親友! よくぞ見抜いた!」

「何年一緒にいると思ってるのさー。分かり易いにもほどがあるよー?」

「ですよねー。

 実はPT(パーティ)メンバーの分のスティールをですね」

「無理かなー」

「そこをなんとかー! 全部じゃなくていいの!

 少しだけでも!」

「少しだけだよー?」

「やったー! さすがユリ! 愛してる!」

「はいはい、いいから骨だして骨。

 あと今ある分はこれだけね。でも全部はダメだよ」

「いやっほー! 店への補充もあるだろうしその辺はわかってるよー。

 補充のタイミングでこっちに融通してくれればいいからさー」


 『リッチの骨』を大量に入手できたので、今回は折れてあげることにしました。

 お店には補充の度に行列が出来ているわけですから、『エーク迷宮』の最前線を攻略中のミカちゃんのPT(パーティ)メンバーでは並ぶのは難しいでしょう。


「まぁいいけどさー。

 並ぶのは大変そうだしね。

 迷宮の攻略はまだかかりそうなの?

 この間終わりそうだって言ってたじゃない」

「もうちょっとだと思うんだよねぇ。

 ボスっぽい門が見えてはいるんだけど、なかなかそこに辿りつけないんだよね」

「そうなんだー。

 最初の迷宮だけど意外と難易度高いんだねー」

「んー。まぁそこそこ? 今回は単純に迷路が邪魔してるだけだから」

「なるほどー」


 最前線なのでどうしても迷路などの攻略は時間がかかってしまうようです。

 情報があれば迷路ほど単純な踏破だけなら簡単なものもないでしょうし。


「よーし、じゃあ続き行ってくるよー!」

「はいはい、ありがとねー」

「こっちこそー! あ、でも次の分も横流しよろしくー!」

「横流し……」


 私が製作しているものなので横流しとは違うような気がしますが、まぁ気分はそんな感じです。

 元気に走り去っていくミカちゃんを見送ってから、スティール系装備の製作を再開です。

 ただでさえ数が出来ていないのにミカちゃんに販売してさらに減っているのです。

 まだ時間はあるとはいっても頑張って製作しないといけません。


 さぁやりますかー。



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