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66 『お久しぶりです、『物体X』先生!』



 道具を全て中級に更新し終えるにはお昼のログアウトを挟んでしまいました。

 でもその甲斐あって最初から★5の中級の道具を揃えることが出来たので大満足です。

 これで素材加工が必要なものはランクアップを大いに期待できるでしょう。

 もしかしたらアイアン系で夢の『トリプルオプション』も狙えるかもです。


 ……いえ、それは言いすぎですね。

 ただ道具や素材をランクの高いものに変えただけでは、『トリプルオプション』が発生しないのはカッパーやブロンズで実験済みですし。

 アイアンでも恐らく同様でしょう。

 『トリプルオプション』を目指す場合は恐らく『追加』が必須だと思うのです。

 あとは道具や素材では補えない様々な技術でしょうか。

 まぁ私の場合はその辺の技術なんかをゾーンに入ることですっ飛ばしたようですけど。

 でも未だに再現は出来ていません。


 親方さんから教わった『追加』素材の加工方法に必要な器具や素材も集まりつつあります。

 『トリプルオプション』もそう長い時間をかけずに発生させることができるようになるでしょう。


 ですが今やるべきことは他にあるのです。


 そう、遂に『鍛冶・改』のLvが100に到達したのです。

 2度目の進化です。

 これまでのパターンから言って、改の次は真でしょうか。

 ですが掲示板でも未だに改の次の進化に到達した人はいません。


 まぁ何はともあれ進化先を見てみればわかる話です。

 まさかここで打ち止めなんてことはないでしょうし。


「職人……?」


 なんと『鍛冶・改』の次は真ではなく、『鍛冶職人』でした。

 ちなみにSP(スキルポイント)の消費量は25です。

 合同採取ツアーのおかげでSP(スキルポイント)を大分稼げているので今現在のSP(スキルポイント)は残り33です。

 余裕ですね。

 ここは迷わず進化ですよ!


 さてそれではさっそく『鍛冶職人』へと進化してどれほど変わったのか確認してみましょう。

 『鍛冶・改』でもはっきりとわかるくらいに変わっているのです。

 とても楽しみですね!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ……さてちょっと私は今困惑しています。

 まぁとりあえずこちらを御覧ください。


 ====

 スティールインゴット

 素材/★3

 ====


 『鍛冶職人』のLvは変わらず1のままです。

 確かアイアンインゴットを安定して製作できるようになったのは、進化してからLv20を超えた辺りだったと思います。

 ですのでてっきり『スティールインゴット』ももっとLvが上がらないと安定して製作できないものと思っていました。


 あ、でももしかしたらちょっと思い当たる理由がありました。

 それは道具と設備です。


 今現在道具と設備はどちらも中級。

 さらには道具もランクアップを果たしており、なかなかの性能のはずです。

 【ふろんてぃあーず】の生産活動に於ける道具と設備の価値はスキルLvと素材の次に高いのです。

 多少の技術などは道具と設備で補えてしまうほどですしね。

 実際に中級と初級の設備では雲泥の差ですから。


 姫ちゃんではありませんが、一応検証しておきましょう。

 幸い初級の道具も設備も残してあります。

 インゴットだけなら試すのも簡単ですからね!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ====

 物体X

 素材/★1/耐久1

 ====


 お久しぶりです、『物体X』先生!

 いやー本当に道具と設備は大事ですね。

 てっきり★2か★1くらいのものが出来ると思ったのですが、かなり丁寧に処理したのに『物体X』先生のご登場でした。

 道具を初級の★3の物を使ったのも悪かったのかもしれません。

 ですがこれで道具と設備の重要性はよくわかりましたね。


 でもこれで安心してはいけません。

 『スティールインゴット』を★3で製作できても装備を製作できるかどうかはまた別問題なのです。

 ちなみにレシピはあります。

 まぁ一般的な装備類のレシピだけですが。

 でも今はそれで十分です。

 『鍛冶職人』に進化したことにより、図書館で『発見』を使えば新たなレシピを得られる本を見つける可能性が高まる事になるでしょうから。


 ではさっそくスティール系装備の製作に移りましょう。

 今度は『物体X』先生がご登場しないことを祈りたいです。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「颯爽登場! 見せて!」

「早いよーミカちゃんー」

「そりゃスティール系装備が出来たんなら攻略よりもこっちが優先に決まってんじゃん! 見せて!」


 玄関をノックもなしに開けて突撃してきたのはお馴染みのミカちゃんです。

 そう、スティール系装備は無事に製作できてしまったのです。

 ですので間髪入れずにミカちゃんと姫ちゃんには報告の『メール』を送ったわけです。


 すぐに姫ちゃんからは返信があったのですが、ミカちゃんからなかったので忙しいのかな、と思ったのですが結果はコレでした。

 『メール』を送ってからまだ10分くらいしか経ってないはずなんですけどねー。


「まだ★3だからそこまで期待しちゃだめだよ」

「いやいやこれまでのパターンと展示してあるやつで性能は知ってるし!」

「あーそれもそうかー」

「きた」

「お! 姫もきたか! やっぱり興味あるよね!」

「姫ちゃんまで……作業はどうしたの? PT(パーティ)メンバーに迷惑かけちゃだめだよー?」

「ん。大丈夫」


 姫ちゃんからは返信で「伐採作業中だからすぐには行けない」、と書かれていたのですが、まぁ結局コレです。

 でも確かに性能を見ればこうなるのも理解できるかもしれませんね。


 製作したのはまだ1つだけです。

 最初に作るのは『バケツヘルム』と決まっていますからね。

 比較対象として『アイアンバケツヘルム』の性能はこちら――


 ====

 アイアンバケツヘルム

 頭/重装/★3/DEF+24/耐久40

 ====


 そして『スティールバケツヘルム』の性能はこちら――


 ====

 スティールバケツヘルム

 頭/重装/★3/DEF+43/耐久40

 ====


 倍とはいきませんがそれに迫る防御力です。

 ちなみに『ブロンズバケツヘルム』の場合はこちら――


 ====

 ブロンズバケツヘルム

 頭/重装/★3/DEF+13/耐久40

 ====


 性能の向上傾向としては倍近くになるのは予想済みでしたが、全ての防具を更新した際の防御力の向上具合は相当なものですからね。

 それにどんどん新しいフィールドエリアが開拓されている昨今、装備の強化は戦闘系トッププレイヤー開拓者にとって非常に重要です。

 2人の興奮具合もわかるというものです。


「おぉー!」

「すごい」

「とりあえずまだ製作し始めたばかりだからコレだけだけど、2人には優先して作るからちょっと待っててね。

 装備構成は変化なしでしょー?」

「もちろん! あ、でも武器は1本でいいよ! コレあるし!」

「『封闇秘剣』、羨ましい」

「姫には人形があるでしょー? 掲示板でも大騒ぎだったじゃん」

「むぅ」

「はいはい、姫ちゃんも変更なし?」

「ん」


 有名人の姫ちゃんですので、当然使用する武器が変更になって、しかもそれが本物のように躍動する人形となれば大騒ぎにもなるわけです。

 ただ今回は出処が私だとは思われなかったみたいなんです。

 もちろん私じゃないかという書き込みはありました。

 でも私がお店で販売しているものは基本的に重装系装備ばかりです。

 人形は基本的に木製ですので、『木工』をメインにしている生産系プレイヤー開拓者が怪しいのではないかと議論されていたりします。


 お店でも人形は販売していませんしね。

 販売してもいいのですが、人形の値段はすごく安いんですよね。

 はっきりいって利益になりません。

 そこは需要に合わせて値段を釣り上げてもいいのですが、重装系装備だけでも色々と面倒事に巻き込まれているのです。

 これ以上の面倒事は正直勘弁して欲しいところです。


 最近ではNPC(ノンプレイヤーキャラ)クエストの納品や受注などでも外をうろうろすることがありますし。

 やっと周りが諦めたのか、スキルLvが上がって張り込む意味がなくなったのか、変装しないでもよくなったのもあるので、また同じような状況になるのは正直頂けません。


 ……まぁスティール系装備の販売開始でまた出始めるかもしれませんけど。


 そんなわけで人形の販売は姫ちゃんだけにしか行っていません。

 でもそのうち図書館の利用者も増えるでしょう。

 『Works』のメンバーには教えてしまったわけですから、あとは彼らの行動を真似る人が出始めれば自然とバレるわけです。

 それでも時間はかかるでしょうが、いつかは広まることになるでしょう。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「じゃあ出来たらすぐ連絡頂戴よ! 速攻で受け取りに来るからね!」

「ん。すぐ来る。ラストスパート超加速」

「はいはい、わかりましたー。

 じゃあ姫ちゃんは『魔導糸手袋』を優先ね。

 ミカちゃんは防具と」


 嵐のようにやってきた2人を見送れば工房は寂しいくらいに静かです。

 製作を始めれば気にならないのですが、2人と別れたばかりではちょっと気になってしまいますね。

 スティール系の製作が可能になったのに浮かれて忘れていたので、ここはホムちゃんを呼び出して癒やされましょう。

 他の子達も可愛い子はいるのですが、付き合いが一番長いからか、どうしてもホムちゃんを贔屓してしまいがちです。


 さぁホムちゃんおいでおいでー。


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