65 『……大きいです……』
ログインです。
昨夜は非常に楽しかったです。
無事2回目の合同採取ツアーは大成功に終わりました。
護衛のメンバーはミカちゃん達に比べると格落ちしていましたが、それでも護衛経験がそれなりにあったので、私達にまでMOBが迫ることはありませんでした。
おかげで私のスキルLvも順調に育ってくれています。
しかも今回のツアーでは『ミズーリの村』の近くまで行ったので、遠目ですがその様子を確認できました。
開拓されたばかりのはずですが、もう建物が数軒完成していてさらにその周囲に建設中の建物がたくさんありました。
そしてその数倍の農地ではたくさんの人達が農作業に勤しんでいるようでした。
装備を身につけたまま作業しているのは恐らくプレイヤー開拓者なのでしょうね。
ストレス排除の一環で汗もかきませんし、スキルがあれば装備の重量もさして気になるものではありませんからね。
現状では装備の効果が農作業に影響を与える事もないので専用装備というものもありません。
でも時間が経てばそういった装備も出てくるでしょう。
私は基本的に重装系しか製作していないのでそういった効果に出会う事はあまりないと思いますけど。
それにしても明らかに重装備で農作業をしている姿というのは面白いを通り越してなんだか奇妙でした。
次は『エーク迷宮』とか行ってみたいです。
でもまだまだ攻略中の場所では護衛の規模も拡大しないと無理なようで、護衛料金がとてもかかってしまいそうですけどね。
ツアーの終了からログアウトまではみんな集まっての女子会でした。
それほど時間もなかったのでぷち女子会って感じでしたが、ミカちゃん達が攻略中の『エーク迷宮』の話や、魔樹伐採の最前線にいる姫ちゃんの話などで大いに盛り上がりました。
最近はみんな忙しくてなかなか簡単には集まれないのが残念です。
でもこればかりは仕方ないですよね。
ミカちゃんは『エーク迷宮』の攻略が大詰めを迎えているようですし、姫ちゃんに至ってはイベントのラストスパート中です。
それにイベントが終わったら夏休みは終わりです。
ミカちゃんと姫ちゃんは学校が始まってしまいますし、社会人の甘ロリさんやるーるーさんはすでにログイン時間が夜固定になっています。
これでは益々みんなで集まれる時間は限られてしまいます。
それでも時間を見つけてはみんなで集まって女子会をすることは息抜きにもなるので、みんな賛成のようですけどね。
ゲームでも息抜きは大事なのです。
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さて今日の予定は昼タイムまで補充商品の製作やスキルLv上げをしましょうかね。
NPC店舗が開く時間になったらさっそく依頼の納品に行きましょう。
まだまだ納期に余裕はありますが、早く納品しても何の問題もありません。
むしろ私的には報酬が早く貰えて嬉しいくらいです。
そしてその報酬なのですが、向田さんお薦めの依頼だけあり、私が求めていた中級の道具レシピ数種なんですよね。
実にありがたいことです。
ですのでこれを機にそろそろもう1つくらい設備を中級にランクアップさせようかと思います。
資金も先ほど確認したらかなり余裕があるようです。
やはりアイアン系装備の『ダブルオプション品』はいい儲けになります。
無理すればもう1つくらい中級の設備に出来そうですが、買取資金にまで手をつけるわけにはいきませんからね。
もう少し我慢しましょう。
というわけでさっそくですが生産活動です。
普段とやってることはほとんど変わらない気もしますが、日常というのはそういうものです。
すでに私の中では【ふろんてぃあーず】をプレイすることも日常なんです。
さぁやりますよー!
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「というわけで納品に来ましたー」
「いや、嬢ちゃん……早すぎねぇか? まだ納期まで半分以上あるぞ?
こっちとしては確かに早い方がありがたいが……無理させちまったんなら謝らなきゃいけねぇ」
「大丈夫ですよー。無理なんてしてませんからー」
「そうか? それならいいんだが……。
他のやつらへの納品もオレの方で一括して受け取れるようになってるから任せてくれ」
「ではお願いしますー」
たっぷりと製作とスキルLv上げを済ませて依頼品の納品にやってきました。
5件分の納品があるのですが、そこは面倒にならないように代表して向田さんに案内してもらった鍛冶師さんのお店で行ってくれるようです。
ちなみにこの鍛冶師さんのお店は私の工房くらいの広さがあり、生活雑貨を中心としていて、装備類はほとんどおかれていません。
販売されている生活雑貨も鍋やフライパンといった金属製品が主のようです。
ですが今回私に依頼されたような農作業用品なんかも少し販売されています。
ただし、目玉品のコーナーとしてよく見える位置に置かれているで、残っている品数の少なさから見ても売れ行きは好調のようです。
まぁそうでもなければ外部にまで製作依頼は出さないでしょうけどね。
「確かに確認した。
いやぁしかしさすがはメルリゲントさんの直弟子なだけはある」
「親方さんをご存知なんですか?」
「ははは! サブリナでメルリゲントさんを知らない鍛冶師はいないと思うぞ!
このサブリナで1,2を争う高名な鍛冶師だからな!」
さすがは大店のケデリック商会の専属鍛冶師さんである親方さんです。
でもそれほどまでに有名な人だったとは知りませんでした。
そんな有名な人にアレコレと教えてもらえたのはとても幸運でしたね。
あ、そういえば親方さんに中級の道具レシピについて聞こうと思っていたのをすっかり忘れていました。
でも今回の報酬で中級の道具レシピが5つも貰えたので必要ないかもしれませんね。
残りのレシピも継続してNPCクエストをこなせば手に入りそうな気がしますし。
ですのでアピールくらいはしておきましょう。
「そうだったんですねー。
でも私はまだまだ親方さんの域には全然遠いですからねー。
修行のためにもこれからも是非依頼してください」
「それはこっちとしても助かる。
向田を通さなくてもいいんだったよな?
今度からは直接依頼をするようにする」
「はい、お待ちしてますねー」
向田さんの紹介で貰った依頼ではありますが、次以降の依頼は直接私に依頼が来るようになります。
向田さんを介してだとあちらも大変ですしね。
向田さんも社会人ですので私みたいにログイン時間が長時間というわけでもないですし。
まぁそれでも『Works』のメンバーは全員それなりにログイン時間が長いみたいですけどね。
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納品が終われば設備のランクアップのお時間です。
今回は設備を購入して自分で設置するだけですので非常にお手軽です。
現実なら専門の業者なり、人数なりが必要になりそうですけど、これはゲームです。
『鞄』に入れて、工房でレイアウト設定を弄るだけという簡単仕様ですので私でも楽勝です。
問題はやっぱり中級設備の値段ですけどね。
まぁそれも『ダブルオプション品』を販売し続ければすぐに稼げそうです。
さっそくですが購入してしまいましょうかね。
今回購入するのは『道具製作』で使用する『魔導合成器』です!
初級の『魔導合成器』はそれほど大きくありませんが、中級の場合はびっくりするくらいに大きくなります。
でも大丈夫です。
それを見越して工房のスペースは広く取ってあるのですから!
生産設備の専門店にはこれで2回目の来店です。
前回はケデリックさんの紹介状のおかげですんなりと購入できましたが、どうやら普通は審査があるみたいです。
その審査も購入する設備を扱えるかどうかの審査らしいですが、それなりに時間もかかるのだそうです。
設備は生産活動に於いて非常に重要なものですからね。
それによって生産されるものだって危険物だっていっぱいあるわけです。
そりゃ審査も必要なわけです。
ちなみに中級に関してはもう私の場合は審査は入りません。
ケデリックさんの紹介状の効果はすごいですね。
上級の設備を購入する場合は審査が必要になるでしょうけど、またケデリックさんから紹介状が貰えたら楽が出来そうですよね。
そのためにもケデリック商会からの依頼は断らずに全部やっておきたいところです。
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「おぉー……大きいです……」
スムーズに中級の『魔導合成器』を購入することが出来たので、さっそく工房に戻って設置してみました。
店内で見ていたのでわかってはいましたが、やはり大きいですね。
でもこれで『道具製作』に於いて、さらなるランクアップが出来る事は間違いないでしょう。
中級の道具レシピも手に入ってますしね!
ちなみに初級の設備は売却せずに設置したままです。
さすがにレイアウトは変更してありますけどね。
『召喚』で呼び出す子達に使わせたり、スキル外スキルの練習の場合では初級の設備を使った方がより難しくなるので残しておいたほうがいいのです。
もちろん最初から中級の『魔導炉』を導入した私の工房にも初級の『魔導炉』がちゃんと設置してあります。
さぁて、それではさっそく道具の更新から始めましょうかね!




