63 『好き嫌いも言ってられませんよ?』
朝のアレコレを済ませてログインです。
昨日はログアウトまで依頼の品を製作したりしていました。
いえ、正確には製作させていた、が正しいでしょうか。
そう、昨日はちょっとした実験もしていたのです。
『召喚』は補助スキルに選んだスキルの半分のスキルLvを召喚対象が所持して呼び出されます。
『鍛冶・改』を補助スキルに選ぶと呼び出せるのは『ファイアーブラックスミス』。
不定形の炎の鍛冶師さんです。
ちなみに『鍛冶・改』は現在Lv92ですので、『ファイアーブラックスミス』の黒火さんは『鍛冶・改Lv46』です。
これだけのスキルLvがあれば依頼の品を作るのは結構簡単だと思われます。
でも問題もあったりします。
それはもちろん規格です。
NPC店舗に並ぶ商品には厳密な規格がありますので、当然依頼された品もそれに合わせなければいけません。
ただ闇雲に製作をすればいいというものではないのです。
黒火さんがその辺の細かいところを調整できるかどうかが今回の肝でした。
結果から言えば問題ありませんでした。
むしろ私が規格にあったブロンズやカッパーのアイテムを製作するよりも上手に製作していたほどです。
これは見習うべきところですね。
規格に合わせるのにはただ槌を振るえばいいわけではありません。
狙ったランクになるようにタイミングや力加減を見極める必要があるのです。
親方さんのところで習ったスキル外スキルでも同じことをしています。
高いランクのアイテムを製作するのも、狙ったランクのアイテムを製作するのも、似たような事になるようなのです。
いえ、むしろ低いランクのアイテムを狙って製作する方がよっぽど難しいでしょう。
逆にいえば、この依頼は私にとってスキル外スキルを鍛えるよい練習になるとも言えるのです。
せっかく呼び出した黒火さんには悪いですが、依頼品の製作は私がやることに。
その代わりといってはなんですが、カッパーやブロンズのインゴット製作をやってもらいました。
インゴット製作にはあまりスキル外スキルは必要ないですからね。
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昨日のログアウトまで頑張った結果はまぁまぁといったところでしょうか。
さすがに依頼品全てを製作するには時間が少なすぎでしたしね。
まぁまだ納期までは間があります。
それでも早めに製作を済ませておくべきでしょう。
後に回して間に合わないなどなったら目も当てられませんからね。
そういえば『鍛冶・改』のLvがもうすぐ100になりますね。
進化したスキルはLvの上がり方が遅くなったとはいえ、ログイン時間の大半を充てている『鍛冶・改』だけは上がり方が極端です。
でも、他にも3つほど極端な上がり方をしている進化済みスキルがあったりするのですけどね。
それは魔力系3種――『魔力操作・改』、『魔力強化・改』、『魔力回復力強化・改』です。
生産活動では常に魔力を使いますし、『召喚』や『集中』、『発見』なども常時使用していますので魔力の使用量は半端じゃないはずです。
その結果が魔力系3種のLv100という結果でしょうか。
そう、Lv100なんです。
つまりは進化できちゃったりするんですよね。
でも残念ながら現在のSPは残りたったの16です。
さらには『鍛冶・改』のLv100も近づいていてSPは使えないのですよ。
それに魔力は今現在も困っていません。
はっきりいって進化させるならもっと他にいいスキルがあるんですよ。
これが魔法戦闘系開拓者なら話は変わってくるのでしょう。
でも私は生産者ですからね。
優先すべきは魔力ではなく、生産スキルなのです。
魔力が不足するような事態にでもならない限りは進化の優先度はかなり低いままでしょう。
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ある程度依頼品の製作が進んだので、お店の補充品も製作しなければいけません。
思いの外依頼品製作に熱中してしまって時間がありませんので、さくさく行きましょう。
『鍛冶・改Lv100』も目前ですが、依頼品はカッパーやブロンズばかりですのでほとんどスキルLvは上がっていません。
実際に昨日今日と結構な数を製作していますが、上がったのは1つだけでした。
それも多分これはそれまでに製作していたアイアン系装備のおかげで上がっただけでしょう。
『鍛冶・改』もLv90を超えればカッパーやブロンズではまったく経験値にならないのです。
まぁでも今『鍛冶・改』がLv100になってもSP不足で進化できないのは明白なので、急いではいないのですけどね。
他のスキルのLvも上げてSPを確保していかねばなりません。
特に今上げやすいのは『人形製作』と『解読』でしょうか。
補充用商品を製作したらそちらのLv上げに移りたいところです。
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【開拓者組合】での評価査定とお店への補充も終えたので当分は自由時間です。
さっそくですが、しばらくは依頼品の製作とSP確保のためのスキルLv上げをがんばるとしましょう。
スティール系装備の製作のためには進化はほぼ必須といえるでしょうから、ここは頑張りどころです。
『人形製作』のLv上げは簡単です。
ひたすら人形を製作すればいいのです。
ただ問題は製作しても購入する人がいないのです。
製作しては『リサイクル』で素材に戻す作業の繰り返しですね。
まぁそれでも『リサイクル』で戻ってくる素材は全部ではないので在庫は減り続けるんですけどね。
こればかりは仕方ありません。SPのためです。
『解読』も簡単です。
ひたすら読書あるのみです。
こちらは副産物としてレシピを入手したり、『魔術言語・改』のLvが上がったり、読書欲を満たしたりと一石二鳥どころか一石三鳥です。
新たに得たレシピには『人形製作』のレシピもあったりするので、『木人形獣型・狐』ばかりを作らずに済んでいたりします。
とはいっても入手したレシピも獣型ばかりで犬、猫、熊、狸といったところです。
どれも木人形なのであまり可愛くないのが難点ですね。
読書中に食事を摂ったりして『空腹度』と『渇水度』のゲージにも気をつけたりしています。
製作中はつい忘れちゃうんですよね。
いつの間にか視界に警告マークが点滅していたりするのはざらだったりします。
あまりいい傾向ではありませんけど、ついつい忘れちゃうんですよね。
その結果今では警告マークが出る減少量がかなり高めに設定してあったりします。
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あっという間にお昼です。
もちろん『現実時間』の話ですよ。
『空腹度』と『渇水度』はちゃんと回復してあります。
【ふろんてぃあーず】では食事を取っても満腹感は得られませんので、現実の食事を疎かにすることは少ないのではないでしょうか。
まぁ私の場合は残したりすると色々と後が面倒なのでちゃんと全部食べてますけどね。
好き嫌いも言ってられませんよ?
さてそれではお昼ごはんも済ませたので、午前中の続きをしましょう。
お店の方の大休憩はすでに終了していますので、今から補充商品を作っても微妙な補充になるのでやりません。
次の補充は開店前でいいでしょう。
ブログで補充商品の告知をしているので、その辺のクレームを言ってくるプレイヤー開拓者も少なくなりつつあります。
まぁ全員が全員ブログを見ているわけではないでしょうから、なくなるわけではないですけどね。
酷いクレームなら容赦なく出禁ですので問題ありません。
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依頼品の製作も大分進んできました。
昨日受けたばかりなのですが、気にしてはいけません。
納期前に納品しても何の問題もないのですから!
『【ザブリナ王国】/フィールドエリア『花の密林』が解放されました』
「わっ」
依頼品の製作に熱中していたら突然の『女神インフォ』です。
イベントも終盤となり、ラストスパートをかけているプレイヤー開拓者が多いのでしょう。
前回は迷宮でしたが今回は違うようですね。
ここはやはり魔樹伐採の最前線にいる姫ちゃんに聞いてみるのが一番でしょう。
『やっほー。今大丈夫?』
『やほ。大丈夫』
『さっきの『女神インフォ』って姫ちゃん達?』
『ぶい』
『おぉー! おめでとうー!』
『感謝』
前回の『エーク迷宮』は2位の人でしたが、今回は姫ちゃん達『キコリドットコル』が開拓したようです。さすがですね!
ですがまだ『エーク迷宮』の攻略も終わっていないはずです。
『エーク迷宮』の最前線にいるのは確実にミカちゃん達でしょう。
なので今ミカちゃん達が『花の密林』に挑む事はないと思います。
とはいっても戦闘系トッププレイヤー開拓者はミカちゃん達だけではありません。
他の開拓者も挑みに行くでしょうし、新しい素材を入手できる機会は多いでしょう。
『エーク迷宮』のようにミカちゃん達から直接買取できないので、お店での買取か【開拓者組合】での購入になってしまうでしょうけど。
まぁでも名前からして花に関する素材が手に入るような気がします。
花といえば植物。植物といえば『錬金術』です。
となると私にはしばらく関係なさそうですね。
まぁもちろん『魔法紙』のランクアップに使えそうな情報が出てきたら忙しくなりそうですけど。
もちろんフィールドエリアの名前からの予想でしかありませんし、入手できる素材によっては買取を強化しないといけませんけどね。
少し時間を置いて先遣隊が情報を持ち帰る頃に【開拓者組合】に行くとしましょうかね。




