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39 『はふ……満足ー』



 雨があがるまで本を読み続けていると、集まったレシピはそこそこといったところでしょうか。

 マジックインゴット系のレシピはアイアンも入手できたので目的は一応達成です。

 でもそれより嬉しいのは『魔術陣』のレシピを新たに入手できたことでしょうか。

 どんどん私の癒やし対象が増えていきますね。いいぞもっとやれ!


 今回入手した『魔術陣』のレシピは、『魔術陣』を比較的容易に使えるようになってくる段階だと重宝しそうなものです。

 『支援魔術:精神』の『メンタルエンチャント:魔力回復力強化・微』や、『支援魔術:物理』の『フィジカルエンチャント:物理攻撃力強化・微』などです。

 どちらも名前の通りに支援を目的としたスキルで、効果は微なので弱いですがないよりはマシな底上げ系『アーツ』です。

 効果時間は900秒程度なので、常用するならスキルを取った方がいいですが気合を入れた一戦などでしか使わない場合は『魔術陣』を使う方がよいでしょう。

 プレイスタイルやスキル構成にもよるでしょうが、ミカちゃん達のPT(パーティ)構成なら欲しがるでしょうね。

 確か支援魔術系スキルまでは手が回らないと言ってましたから。


 こうしてたくさんの『魔術陣』のレシピが集まってくると、幅広い状況に対応できる非常に優秀なアイテムだとわかります。

 もちろんスキルを取得してLvを上げた方が強力なわけですが、手間などを考慮すれば消耗品である程度の効果が得られるのは非常に魅力です。

 特に効果時間がある程度ある場合などは状況によりけりですが、常用することだって可能ですしね。

 まさにセレブプレイですね。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 雨もあがったので図書館を後にします。

 もちろん読みきれなかった本などは借りて行きましたよ。

 完全に常連さんなので受付の司書さんとは結構仲良くなってきました。

 例の信頼はまだ得られていないみたいですけど、まだ1階の本も読んでいない物がたくさんあるのでのんびりいきましょう。


 ちなみに【開拓者組合(ギルド)ランク】は★4になりました。

 ★4までも結構時間がかかりましたが、ここからはさらに評価がいります。

 まだプレイヤー開拓者では★5になった人はいないみたいですし、ネットゲーム特有の時間がかかるコンテンツになってきたようです。

 進化後のスキルのLv上げなんかも同じですね。

 でもコツコツやっていくのが大事です。私の場合は生産する量が他の人よりずっと多いので、それだけ早く上がるとは思いますけど。


 【レンタル生産施設】に行く前にちょっと寄り道をして【開拓者組合(ギルド)】へ向かいます。

 なぜならマジックインゴット系の材料に『魔石』が必要なのです。

 今まで要求されることのなかった『魔石』が遂に出番のようです。

 『魔石』入手の手段は魔樹を伐採するか、強力なボスMOB(モンスター)を討伐するかしかありません。

 でも私達生産者は【開拓者組合(ギルド)】から買えばいいのです。

 もしくは魔樹を伐採している開拓者から直接ですかね。

 今回はお店ではまだ買い取っていなかったので、【開拓者組合(ギルド)】の素材販売を利用することにしました。

 多少割高ですが、すぐに素材を揃えられるのが魅力です。

 たくさん購入する場合はコストがかかりすぎてしまいますが、少量ですぐ欲しい場合は重宝しますね。

 お店の方に買取追加の『メール』は送信してありますので、あとはお店で買取した分を使えばいいだけです。


「これが『魔石』ですかー」

「はい、蓄積魔力値によって値段が変わってきますし、高い蓄積魔力値のものは数も少なくなります。

 どういたしますか?」


 【開拓者組合(ギルド)】で『魔石』を見せてもらうと、『修復石』みたいに蓄積魔力値という項目があり、この数値の量で値段が決まるようです。

 高い数値のものは強力なボスMOB(モンスター)からしか入手できないようですので、数が少ないのも致し方無いでしょう。

 今度予定されているレイドボス――リッチならどの程度の蓄積魔力値になるのかちょっと気になるところですね。


 まぁ今は関係ないのでレシピにあった数値の近辺の『魔石』を購入していくことにします。

 意外と『魔石』はいい値段がするので、お店でもある程度個数を絞っての買取にしてあります。

 マジックインゴットで製作できる装備が有用なものであったら買取量を増加させるつもりですけどね。今はまだお試し段階です。


 必要なものは購入し終わりましたので、レシピ専門店に向かいます。

 【開拓者組合(ギルド)】から割りと近くのところにあったのですぐにつきましたが、中にはお客さんはほとんど居ませんね。

 まぁレシピは一度買えば十分ですから混雑している方が珍しいのかもしれません。

 レシピはそんなに安いものではありません。

 でもものすごく高いというわけでもないので、持っていないレシピを片っ端から購入していきましょう。

 とはいえ、売っているレシピもそこまで多くはありません。

 大半は講習(チュートリアル)報酬で貰えますし、図書館で入手したのも色々あります。

 結局購入したのは20種に届かないくらいでした。

 ここにないレシピは自力で入手するしかありません。開拓者から購入できるのはオリジナルのレシピだけですからね。


 レシピ専門店をあとにして【レンタル生産施設】に戻ってきました。

 プレイ時間の大半はここで過ごしていますので、どうしても戻ってきたと思ってしまうんですよね。

 まるで実家のような安心感です。おうち帰りたいなぁ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 いつも通りに個室を借りるとマナちゃんを戻して、ホムちゃんを呼び出します。

 買い取りした素材を与えていつも通りに製作をお願いしましょう。


 ……そこで気づいたのですが、『召喚』のLvが50超えてますね。

 『召喚』の『アーツ』は全てパッシブ――常時効果があるものなので気づくのが遅れてしまいました。

 『召喚Lv50』の『アーツ』は『召喚アーツ/Lv50/召喚維持:2』です。

 つまりは同時に呼び出せるのが2人になるわけです。

 魔力の消費も問題ないのでもう1人呼ぶことにしましょう。早いところLvを上げてSP(スキルポイント)を稼がないといけないですからね。


 もう1人は『鶴女房』。

 『織』を召喚補助スキルとすると呼び出すことができる子です。

 作業を視界に収めると極端に動きが低下するという、昔話よりはマシな謎制約がありますが、視界に収めなければ逆に動きがよくなるので製作に集中する私にとってはプラス要素なくらいです。


 メインスキル枠が必要スキルで埋まってしまっていますが、『課金』している私に隙はありません。

 そう、『課金要素』の一番の目玉といっても過言ではない、『追加スキル枠』を取得しているからです。

 これで私のメインスキル枠は11個。

 1つ余裕があるだけで色々と捗るものです。


 新たに手に入れたレシピを試したいという思いは強いですが、まずは補充商品の製作からです。私は過去の失敗から学ぶ女ですからね!


 カンカンカンカン、ひたすらに……ただひたすらにアイアン系装備を製作し続ける事、6時間あまり。

 十分な量の補充商品を製作できました。

 でもこの量でもすぐに捌けてしまうのでしょうね。アイアン系装備を欲しがっているプレイヤー開拓者はゴマンといますから。


 そしてもうすぐ就寝時間です。

 さっさと評価を貰いに【開拓者組合(ギルド)】へ行き、お店に補充してきましょう。

 時間との勝負となってしまいそうですね、これは。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 昨夜はぎりぎりで時間に間に合ったのですが、ちょっと反省です。

 もう少し時間にゆとりをもって行動しなければだめですね。


 でもここからは自由時間です。

 まずは新たに取得した『魔術陣』を描いて癒やされましょう。

 癒やしは大事です。


 描く『魔術陣』は支援魔術系です。

 一先ずは★3の『魔法紙』で使用回数がどの程度になるのかを確認しなければいけませんからね。

 初級のレシピよりも格段に複雑になっている『魔術紋様』ですが、私にとっては嬉しいだけです。胸がキュンキュンしちゃいますが、やる気が向上するので私によし!


 さほど時間もかからず1枚目を描き上げて『完了処理』を施します。

 完成品はこちら――


 ====

 魔術陣:メンタルエンチャント:魔力回復力強化・微

 アイテム/★3/使用回数2回

 ====


 盾系と同じですね。

 相場情報もあるようですが、盾系よりも少し高いです。

 これを常用するとなると相当なセレブでもないと無理ですね。

 お金が大分貯まってきた私でも常用は無理です。

 まぁ私が使う事はまずないでしょうけど。


 他のレシピも描いて使用回数を確認し、ミカちゃんや姫ちゃん、知り合い達に『メール』を送っておきます。

 ミカちゃんはまず間違いなく飛びつくでしょう。

 姫ちゃんとラッシュさんはどうでしょうね。ちょっと微妙なところです。

 アリミレートさんもたぶん購入するでしょう。彼女はソロのNPC(ノンプレイヤーキャラ)開拓者で、前衛のはずですから支援魔術スキルは取ってないでしょう。


 というわけで、一先ず数を用意しておかないといけません。

 『魔法紙』の数も少なくなってきたので、ホムちゃんが製作した『生命のポーション・小』を煮詰めて作った『濃縮魔法液』をさらに煮詰めて『濃縮魔法液・改』を製作します。

 そこに『紙』を浸して浸透させ、『完了処理』を施せば完成です。


 『錬金術』のLvは90近いというのに、未だに出来るランクは★3です。

 進化させないとランクアップは無理っぽいですねこれは。

 逆にいえばNPC(ノンプレイヤーキャラ)店舗で購入する必要はない、ということでもあります。


 でもLvが半分になってしまうホムちゃんには任せられない作業ですので、どんどん製作していきます。

 当面使う分を確保したら、やっとお楽しみタイムです!


 さぁ描くぞー!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「はふ……満足ー」


 気づいたら大量にあった『魔法紙』がなくなっていましたが、私は満足です。

 そしてミカちゃん達から『メール』が返ってきているのに気づきました。

 どうやら最初の返信からすでに4時間近く経過してしまっているようです。


 また徹夜だったミカちゃんは完全に昼夜逆転の生活になっているようで、そろそろ限界だから早く返事頂戴と矢のような催促でした。

 届いていた返信の内容はほぼ全員が購入するという旨でした。

 姫ちゃんやラッシュさんも購入するようですが、その量はそれほど多くありません。

 というかミカちゃんが買いすぎなんです。アイアン系装備の一式新調で相当散財したはずなんですけど。戦闘系トッププレイヤーはお金持ちですねー。


 一先ず先ほど描いた量では足りないので、また『魔法紙』から製作して続きです。

 もちろん『メール』の返事は返しておいたので問題ありません。

 その後ミカちゃんからの返事だけがなかったので、どうやら力尽きた模様です。

 一応確認するとログアウトしてましたし。

 ゆっくりおやすみ、ミカちゃん。


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