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152 『バケツさぁ~ん! 迎えに来ましたよ~!』



 ミカちゃんへのご褒美用の武器は完成しました。

 でも、本来この『絶対零度の光鉱石』をお店に持ち込んでくれたのは『ゴスペル』です。

 とはいえ、レア素材をうちに持ち込んでも製作依頼などはできないという決まりになっているので、誰が持ち込んだものであってもその用途は私次第です。

 特に、情報がない未知の素材の場合は、どうしても加工に成功するかわかりませんからね。

 そんなもので製作依頼なんてされても約束できるわけがないのですよ。

 まあ、それ以前に製作依頼なんて私は受けないんですけど。


 私が製作した装備は基本的にすぐに売れてしまいます。

 なので、わざわざ製作依頼を受ける必要性もないのです。


 『クラン』専属とかの生産者以外では、製作依頼は大歓迎みたいですけど、ひとそれぞれですよね。

 オリジナルや、需要の高い装備を製作できる人なら黙ってても売れますが、そうでない生産者は製作物を売るのにも工夫がいるみたいです。

 そういう面倒な作業を必要としない私はラッキーですね。


 そういうわけで、レア素材を持ち込んだ人でもその素材を使った装備を買えるかどうかはわかりません。

 ただ、『ゴスペル』は優先販売権を持った『クラン』ですからね。

 今回、加工は最初のもの以外は成功していますし、ミカちゃん用の武器を作っても多少余っています。

 なので、『ゴスペル』のリーダー、イズリールさんの特徴的装備である大盾をメインに製作してみましょう。


 大盾は、基本的なPT(パーティ)には必ずいるタンク――盾役の開拓者が使う大型の盾です。

 盾は他にも、大盾よりは小さく取り回しの良い手盾。

 手盾よりも小さく、さらに取り回しに良い小盾。

 この三種類があります。


 大盾は、ダメージをカットする割合が非常に高い反面、重くて取り回しが悪いのが難点ですね。

 でも、挑発系のスキルやアーツと合わせて使えば、相対する全てのMOB(モンスター)の攻撃を引き付けることも可能です。

 というか、タンクというのはそもそもそういう役回りですからね。

 大盾を好んで使うタンクは非常に多いです。


 手盾や小盾を使うタンクは、防御一辺倒ではなく、攻撃にも参加するパターンです。

 ただ、その分MOB(モンスター)を完全に引き付けることはできませんが、攻撃力で押し切る感じですね。

 難易度を落として数を狩る場合などにも向いているらしいです。


 今回製作するのは、大盾です。

 一番大きなタイプの盾なので、その分材料も若干増えます。

 しかし、それでも倍になるほどではないので、数を作るのでなければ問題はありません。


 大盾は、『スティールラージシールド』を結構な数作っているので、特に難しいということはありません。

 『零光小剣』が製作できている以上は、『アブソリュートクリアライトインゴット』で大盾を製作することは可能でしょう。

 特に今回はゾーンに入らなければ製作できない、というものではないわけですしね。

 それを考えると、『クアドラプルオプション』といえど、難易度はそう高くいはなかったのかもしれません。


 それに『零光小剣』についている『オプション』には、反射があります。

 まだ検証もしていないので、どんな効果なのかは確定はしていませんが、名称的に受けたダメージを反射するタイプだと思います。

 『アブソリュートクリアライトインゴット』の素材特性を引き継いでいるわけですから、まず間違いないでしょう。

 つまりは、盾系の装備と相性が非常によいわけです。


 攻撃力的には、現在最高峰の武器を製作できるわけですが、本質は防具にあるはずです。

 まあ、それでもミカちゃんは割りとゴリ押しで攻撃することがあるようなので、無駄というわけではないと思いますけどね。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ふぅ……。完成!」


 『零光小剣』を製作した時同様に、ミーとムー製の『超生命のポーション・小』をお店から購入できるだけ購入してきました。

 普通の『生命のポーション』を使わず、全部こちらを使用したので多少余裕を残して製作できました。

 ただ、その分製作費がかさんでいくような気がします。

 いえ、気がするではなく、確実に製作費がかさんでいますね。

 生命のポーションとしては、現状で最上級にあたるものが『超生命のポーション』ですから。

 ただ、その甲斐あって素晴らしい大盾ができましたよ!


 ====

 零光大盾

 大盾/重装/★9//DEF+167 E:光 HP+1560 CRT+155 Ref+102/エンチャント:光・大 生命力強化・特大 耐久減少低下・特大 反射ダメージ・大/耐久650

 ====


 生命力の増加量が半端じゃないですね!

 耐久も大盾だけあって、『零光小剣』を遥かに上回っています。

 さらには、『耐久減少低下・特大』までついていて大盾としては有用過ぎる『オプション』が揃いまくっています。

 ただ、この場合『エンチャント:光・大』はあまり意味がありませんね。

 とはいえ、これをもしオークションなんかに出したらとんでもない値がつくんじゃないでしょうか。

 まあ、オークションには出しませんけどね。

 次のオークションは来月中旬くらいらしいですから、その頃にはもう少しいいものが製作できるようになるような気がしますし。

 アップデートで追加されたと思われるレア素材が、ここのところどんどん出てきていますからね。


 ただ、ミカちゃんへのご褒美の件もありますから、これを販売するのは来年になってからです。

 先に売っちゃったらミカちゃんへのサプライズになりませんからね。


 でも、これで製作した『アブソリュートクリアライトインゴット』はほぼ使い切ってしまいました。

 残っているのではせいぜいアクセサリーを一個作るのが関の山ですね。

 ただ、反射やエンチャント:光なんかはアクセサリーではあまり意味がなくなってしまうんですよね。

 そうなるとただの『ダブルオプション品』にしかならないので、スティールやカイザーアイアンで製作した方が性能面ではよくなりそうです。

 その性能も結局は『オプション』に依存してしまうわけですが。


 一個しか製作できないわけですから、賭けをするくらいなら素直にスティールかカイザーアイアンで製作した方がいいでしょう。

 というわけで、また手に入るまで倉庫の肥やしとしましょうかね。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「バケツさぁ~ん! 迎えに来ましたよ~!」

「はいはーい」


 本日は大晦日。十二月三十一日です。

 今年も今日で終わりです。

 あっという間でしたねー。


 【ふろんてぃあーず】では、大晦日は三日間続くそうです。

 何せ『現実時間』の三倍の早さで『ゲーム時間』が流れていますからね。

 リアルで大晦日の間中、ずっと【ふろんてぃあーず】内では大晦日なのですよ。

 お正月の三が日も同様で、【ふろんてぃあーず】内では九日間三が日が行われるという不思議な現象が起こります。


 まあ、そんなわけで【ふろんてぃあーず】内大晦日では、夜時間の決まった時間に花火が打ち上げられるぷちイベントが行われます。

 これは公式から正式に告知された公式イベントです。

 とはいえ、花火が打ち上げられるだけで他には特に何かあるわけではありません。


 三日ある大晦日期間全てで花火は打ち上げられるそうなので、忙しい大晦日でも三回は見るチャンスがあるわけです。

 一回だけでは見逃す人が多くなりそうですから、運営の粋なはからいなのでしょうね。

 ちなみに、打ち上げられる花火はイベントで入手できるものとは違ったデザインみたいです。

 そうしないと、お正月に予定されているプレイヤー主催の花火大会が霞んでしまいますしね。

 やりますね、運営!


「お待たせしましたー」

「おぉ~! 似合いますね~! さすが私ですよ~!」

「……さすがです」

「あははー。ありがとうございますー」

「ボクたちだって!」

「負けないくらいに!」

「「似合ってるからね!」」

「おう、そうだな。みんな似合ってるぞ」


 花火大会といえば、浴衣。

 そう、息巻いていた甘ロリさんが『Works』全員分の浴衣を製作してくれました。

 さすがは、軽装装備を作らせたら【ふろんてぃあーず】いちですね。

 細部までこだわって作られています。

 私の浴衣は百合の花をモチーフにして、ところどころにデフォルメした『バケツヘルム』が刺繍してあります。

 他のみんなもそれぞれに特徴ある刺繍が加えられているみたいです。

 るーるーさんは、お菓子。

 ミーとムーは、フラスコとポーション瓶。

 向田さんは、剣と盾。

 クールーさんは、丼。

 そして、甘ロリさんはフリフリが大量に施されたゴスロリ風浴衣ですね。


 完全オリジナルの浴衣の上に、それなりに性能もよいというなかなかのものですね。

 さすがにこれだけのものを無料でもらうのは忍びないので、NPC(ノンプレイヤーキャラ)がお祭りで出ているような露店を大晦日限定で開いているので、私たちで奢ることにしました。

 それだけではとても足りないのですが、そこは甘ロリさんの提案ということで決定です。


 それでは、さっそく露店が出ている大通りに向かいましょうか。

 リンゴ飴とか売ってますかねー。

 私食べたことないんで楽しみなんですよねー。

 もし売ってなかったらるーるーさんに作ってもらおうかなー。


 お祭りなんて本当に久しぶりなので、楽しみです!



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