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149 『がんば』



 合同製作は、大成功に終わったといっても過言ではないでしょう。

 色々とほかの生産者の話も聞けました。

 特に、掲示板ではあまり語らないような内容のことも聞けましたのが大きいです。


 普段どの程度の頻度で休憩をいれるかなんて、掲示板では全然みかけませんからね。

 それに自分の製作スピードなんかもそうです。

 これは、製作するものによって完成までの時間も変わってくるのも、大きいのでしょう。

 でも、今回製作したものは基本的にイベントアイテムですからね。

 専門としているものがある程度違っていても、みんな一通り製作し終えたら、スキルLv上げも兼ねて難易度の高いものを作っていました。

 そうすると、製作スピードを比較できるんですよね。


 結果として、私は他のみんなよりも二倍近く製作スピードが早いことがわかりました。

 難易度が高くなっていくと、どんどん中間素材が増えていきます。

 ある程度共通する中間素材は、あらかじめストックしておくことができますが、今回は素材持ち込みですからね。全部一から作っていました。

 おかげで、トータルの製作時間がわかります。


 私の製作時間が早いのは、集中力の継続時間が長いからというのもわかりました。

 周りが見えないほど集中してしまう悪い癖も、こと生産者においてはメリットとなるようですね。


 まあ、『コール』や『メール』に気づかないことも多いので、良し悪しですけど。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今回の合同製作で作られたイベントアイテムは、全て戦闘組へ還元されます。

 イベントアイテムを有効活用して、また素材を大量に集めてきて、その素材を使ってまた合同製作に打ち込むわけです。

 次回はメンバーを変えて行われます。

 特に、今回は初回の顔合わせの意味もあったので、【ユングスメリス共和国】のプレイヤー開拓者がいませんでした。

 無論、次回からは三カ国からふたりずつの参加になります。


 私の工房を提供するので、基本的には私は毎回参加することになるみたいですけど、甘ロリさんからは無理しないでもいいと言われています。

 とはいっても、さすがはイベントで推奨しているだけあって、PT(パーティ)を組んでの製作で入るイベントポイントはかなり多いんですよね。

 というか、ソロで製作しても雀の涙にしかなっていなかったのがわかったんですよね。

 これなら、毎回PT(パーティ)を組んで製作した方が効率がいいです。


 情報収集の場としても、十分活用できるとわかりましたし、できるだけ参加してみようと思います。

 宿題もありますしね。

 私が普段とらない行動として、十分なものとなるでしょう。


 実際、『Works』や優先販売をしているメンバー以外だと、ほとんど外部の人と接点がありませんからね。

 少し強引ではありましたが、ミカちゃんが今回の話を持ってきたのもそういう点を理解していたからでしょう。

 ミカちゃんはあれで、色々考えてくれているんですよ?

 まあ、事前に相談してくれなかったり、突っ走ってしまうきらいがあるので、周囲からみればあまりよくないように見えてしまうんですけどね。


 ちなみに、私はログアウト時間が決まっていますので、『現実時間』の二十二時にはログアウトですが、他のメンバーはどちらかというと、ここからが本番です。

 私の工房ではありますが、貸し出し用に用意したので、私がログアウトしても使えます。

 ただ、初回の顔合わせということもあり、今回は私のログアウトに合わせて解散という運びになりました。

 次回以降は、メンバーの状況によりけりでしょうね。

 あらかじめ時間は決めてやる予定とはなっていますが、突発的な用事などが入る場合も十分ありますからね。


 それに、工房の設備や道具は、トップクラスの生産者たちにも魅力的に映るレベルだったみたいですから、なるべく長く使いたいと思うのは自然なことでしょう。

 スキルLv上げにも非常に良いですからね。


 三カ国で平均にPT(パーティ)を組んでいなければ、イベントポイントの効率が減少するとはいえ、PT(パーティ)を組んでさえいれば補正は入ります。

 三人以上が残っていて、工房を使いたいということであれば、ある程度の居残りは許容することにしました。

 ただ、ずっと残って使わせるのはどうかと思うので、居残りは最大で二時間までと決まりました。

 三人以上というのがポイントで、次回以降は同じ出身国のプレイヤー開拓者はふたりずつしか参加しませんからね。

 イベントポイントの効率なども考えて、他国のプレイヤー開拓者とPT(パーティ)を必ず組めるように考慮したわけです。


 まあ、居残りの場合は工房の設備と道具が目的なわけですから、イベントアイテムを作るとは限りませんけどね。

 イベントアイテムとそれ以外の製作では、やはり取得できるイベントポイントの量も変わってくるようです。

 もちろん、イベントアイテムを製作したほうがイベントポイントの入手量は多いです。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 三カ国でも、トップクラスのプレイヤー開拓者たちが集まっての合同製作です。

 当然みんなトップを保つためにガンガンプレイしている人たちなので、合同製作はイベント中、毎日行われます。

 イベントの期間も、来月末までなので結構長いです。

 ただ、年越しとお正月を挟んでいるので、その辺はどうなのでしょうね?

 私の場合は、ミカちゃんたちや両親が会いにくる程度ですかね。

 初詣なんかは無理ですし。


 なので、お正月でも【ふろんてぃあーず】にログインする時間はそれほど変わらないでしょう。

 ミカチャンたちもお正月の付き合いよりも、ログインしたいと言っていましたし。


 そうはいっても、ミカちゃんは家のほうで色々とイベントがありますから、どうしても拘束時間は長くなってしまうでしょうけどね。

 私も、数年前までは参加していたんですけどねー。

 こればっかりは仕方ありません。


 でも、今回は【ふろんてぃあーず】内でるーるーさんお手製のおせちを食べたり、初詣もできそうですし、とても楽しみです。

 そう、【タバリスト皇国】のあの神社へのお参りです。

 あれだけ立派な神社があるんですからね。参らないわけにはいきません。

 でも、あまり広い神社ではありませんでしたからね。

 たくさんの人が押しかけたら、すごく混雑しそうです。

 【ふろんてぃあーず】内で、お正月を過ごす人がどのくらい出るのかはまだ予想がつきません。

 掲示板では、結構な盛り上がりを見せているゲーム内初詣ですので、まったく人が集まらないということはないでしょう。


 すでに、『エセ関西弁協会』が露店の出店希望者などを募っていて、ほとんどの場所が埋まっているようですし。

 ちなみに、この露店なのですが、ただの露店ではなくいわゆる的屋と呼ばれる縁日などで見られる露店限定のようです。

 お面や焼きそば、たこ焼き、ワタアメ、金魚すくいなんかでしょうかね。

 金魚が【ふろんてぃあーず】にいるのか疑問ですが。


 でも、縁日なんて何年も行けていませんからね。

 とても楽しみです。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「百合~。やっぱり、三が日は抜け出せそうにないわー」

「そうだよねー。百人組手と舞いでしょ?」

「百人組手はまだしも、なんであたしが舞わなきゃいけないんだかー」

「ミカン、美人」

「そうそう、ミカちゃんはとびきりの美少女なんだから、仕方ないよねー」

「褒められてる気がしないー!」


 翌日ログインすると、冬休みに入ったミカちゃんと姫ちゃんが空いた時間に工房に遊びに来ました。

 イベントの絡みで、PT(パーティ)メンバーが集まるまでは待機になったようです。

 『パーティオートマッチング』を使えば、すぐにでも狩りにいけるようですけど、ふたりとも休憩も兼ねているようです。


「他家の子も一緒にやるんだっけー?」

「そうなんだよねぇ。毎回毎回突っかかってきて面倒なやつがいるんだよぉ」

「あー。お正月の愚痴に毎回出てくるあの子ね。でもミカちゃんのほうがふたつも年上なんだし、がんばって。お姉ちゃん」

「がんば」

「いやだー。お姉ちゃんなんていやだぁ」


 ミカちゃんは家の関係で、色々と大変です。

 古流剣術の大家ですからね。免許皆伝を得る前までは、毎日が修行修行の日々だったほどです。

 免許皆伝を得てからは、かなり自由になったようですが、それでもこういった大きな行事を欠席することはできないようです。


 ミカちゃんは免許皆伝を得るほどの腕と、その美貌でとにかく目立ちますからね。

 流派の関係上、表舞台にまで引っ張り出されることはないようですが、本来ならアイドル並に人気がでてもおかしくないほどです。


 まあ、ミカちゃんがアイドルなんてとてもではないですが、考えられないですけどね。

 顔はいいんですけどねー。ミカちゃん。


「『エセ関西弁協会』のお祭り行きたかったよぉぅぅぅ」

「高校生になったら、夜の部も参加しないからねー。大変だねー」

「夜?」

「うちの流派はねぇ。なんでもありだから。夜陰に乗じて斬り込むなんて基本中の基本なのよ。だから、夜には夜の戦い方っていうのがあってねぇ」

「なる」


 『エセ関西弁協会』主催のお祭りは、お正月という時期もあり、昼の部と夜の部にわけて開催されることになっています。

 でも、ミカちゃんは昼も夜も拘束されるので、どちらも参加できないわけです。

 可哀想ですが、こればっかりはどうしようもありません。

 おうちの都合ですからね。

 頑張れ、ミカちゃん!

 私は、しっかりとお祭りを堪能してくるよ!


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