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125 『トリックオアトリートですよ。』


 ラクシャさんのNPC(ノンプレイヤーキャラ)クエストから『現実時間』で数日。

 ゲットしたレシピを製作してお店に並べて見たところ、予想通りの反応と相成りました。

 防御力ではスティール系装備に劣る防具類ですが、その固有の性能は局所的にスティール系装備の性能を大きく上回る結果を叩き出しているようです。


 例えば属性系の防具。

 対応する属性を多用してくるMOB(モンスター)が多い所でその真価を発揮してとんでもない堅さだったそうです。


 例えば性能一点強化型防具。

 『速度強化』や『クリティカル強化』など単体では効果が薄くても全身で賄う事により一点集中して強化出来るとてもピーキーな運用方法でとんでもない結果を出していたりします。

 その最たる人物がミカちゃんです。

 『速度強化』の防具を全身に纏った結果、残像が残りそうなスピードにまで達していたのです。


 もちろんメリットもあればデメリットもあります。

 属性系なら対応した属性以外ではスティール系装備未満の防御力しかありませんし、性能一点強化型は防御力がかなり落ちるので攻撃を受けると悪ければ即死する事もあるみたいです。

 もちろん狩り場の難易度にもよりますけど。


 『クリティカル強化』などの扱いが簡単な部類でも即死と引き換えでは割に合わないと考える人が多いようです。

 ミカちゃんがやっている『速度強化』に至っては自身のスピードをコントロールすることが難しいために戦闘自体が困難になるほどです。

 そんな状況ではMOB(モンスター)の攻撃を避け損なうなんて当たり前になってしまい、結果死亡率がすこぶる高くなっていたりします。

 あまりにピーキーすぎて『魔導糸手袋』の状況と似たような事になっています。

 でも装備箇所を減らせばコントロール可能な速度まで落とせるというのもあって、部分的に性能一点強化型防具を着用するというのも流行っているみたいです。

 もちろんその分防御力が落ちるので回復役の負担は増えているみたいですけど。


 そんなわけで最初だけしか売れないと思っていた性能一点強化型防具は予想に反して需要が高まっています。

 スティール系装備よりはさすがに需要はありませんが、息抜きに製作した分くらいはお店で売れていますのでこれからもちょいちょい製作していきましょうかね。


 そうそう、性能一点強化型防具は『魔導人形:蟲型・蜘蛛』にも使えるのでまた強化が進んでいます。

 SPも余裕があったのでLv100になった『人形製作・改』を進化させ、『人形職人』になりました。

 私が『メール』を出しておいたおかげなのか、バグの修正で『マリオネットカスタマイズ』でしか人形の装備の脱着ができなくなってしまっているので、人形の需要がまた増加していたりします。

 そのため人形も装備ごとにバリエーションを増やして製作したりしています。

 今のところ『マリオネットカスタマイズ』は『魔導人形:蟲型・蜘蛛』にしかついたことありませんし、その『魔導人形:蟲型・蜘蛛』も製作するのに時間と素材が大量にかかりますからね。あれから製作はしていません。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 『リベール』の開拓によって一気に活気づいた生産系プレイヤー開拓者ですが、それ以上に戦闘系プレイヤー開拓者が受けた恩恵は高いです。

 『リベール』で新たに得られるようになったスキルは生産よりも戦闘向けの方が多く、『銃術』を筆頭としたパワードスーツやマニピュレーターを用いた『特殊戦闘術』など色々と戦闘スタイルが増えています。

 もちろんスキルや装備だけでなく、消耗品などにも新しいアイテムが出現しています。

 特に回復系アイテムはポーションを筆頭としていたのものが、タブレットなどの現代系の薬に置き換わっています。

 もちろんランクの高いポーション類は未だ現役ですが、タブレットの方が基本効果も高いのでランクが同じ程度になるとタブレットに軍配が上がります。


 『リベール』が齎した変化はとても大きいのです。

 その影響もあり、新たな開拓に意欲を燃やすプレイヤー開拓者が急増しているようです。

 特に今回『リベール』を開拓したプレイヤー開拓者達には相当な額の報奨金が【ザブリナ王国】より支払われたらしいです。

 これほどの結果を齎した街ですからね。それも頷けるというものです。


 無論、当たりもあれば当然ハズレもあります。

 ですが、ハズレといってもそれはランクの低い狩り場だったりするので、ライト層のプレイヤー開拓者にとっては外れとは言い切れない面もあります。

 開拓した人達にとっては外れでしょうけど。

 ですが特産や固有の素材が採れる場所ならランクが低くても外れとはいえません。


 結果として現在『ドトリル』周辺は【首都サブリナ】に迫るほどフィールドエリアが開拓されていたりします。

 閑古鳥が鳴いていた『ドトリル』はもうありません。

 何せ『ドトリル』を中心として開拓したフィールドエリアが広がっているのですから。

 どこに行くにも『ドトリル』を経由した方が早いのです。

 もちろん『リベール』近郊ならそちらの方が近いですが、あそこは土地が完全に埋まっています。

 お店を持つのはほぼ不可能な状況で、さらにはスチームパンクな工業都市なので宿泊施設も少ないです。

 まぁ現状では宿泊施設はあまり意味がない状況ですので、消耗品の購入や装備の耐久値回復が出来る施設があるだけで戦闘系プレイヤー開拓者は十分みたいですけど。

 お店は持てなくても露店は出せるので素材の買い取りや販売は賑わっていますしね。


 そんな発展著しい『ドトリル』周辺ですが、私はいち早く『ドトリル』に買取専門のお店を用意してあったのが功を奏しました。

 最初は『ドトリル銀鉱山』の素材目当てでしたが、微妙すぎて営業を中止しようかと思うほどでしたが今では店員さんも増やして24時間フル回転です。

 おかげで露店を出すことなく各地の素材を集めることが出来ています。

 早めに動いておいてよかったですね。


 ちなみにたくさん開拓されたフィールドエリアですが、残念ながら街が出現することは今のところありませんでした。

 『リベール』は独自に魔樹に対抗できていたのでかなり特殊な部類ではありますが、そういった街が他にもあるかもしれないというのは否定できないところです。

 スチームパンクの次はもっとメルヘンチックなところがいいですね。

 魔法的なパゥワーで魔樹に対抗してほしいです。


 メルヘンチックといえば、見た目が変わっただけのパッとしないハロウィンイベントでしたが、遂にテコ入れが入りました。

 きっとクレームが大量に入ったのでしょうね。

 10月も半ばの今から月末までの短い期間になりますが、戦闘組も生産組もどちらも参加可能な内容が発表されています。


 各地に設置されていたカボチャなどのオブジェ達から様々なランクの繰り返し可能なクエストが発行され、それを達成するとボーナス効果の付いたお菓子が貰えるようです。

 付くボーナスはランダムのようですが、ランクが高いの方が効果が高く、さらにはクエストの達成方法によって偏りがあるみたいです。

 クエストの達成方法は2種類。


 ハロウィンの仮装をしたMOB(モンスター)と戦い勝利するか、指定された素材を納品するか。

 戦うのはそのまんまですがランクが選べるので初心者でも倒せるくらいのものもあります。

 納品にもランクがありますが、ちょっと特殊です。

 納品する素材はポイント制で、ランクによって指定されたポイントを超える分納品しないと達成したことになりません。

 ポイント対象の素材はかなりの数ありますが、その中でもポイントが特に高いのが『リベール』でレシピをゲットできる各種パーツ類。

 その中でも私がゲットした高難易度レシピで製作できるパーツは他の素材に比べてもポイントの量が大幅に高いです。

 なので試しにお店に並べてみた所あっという間に売り切れてしまっていました。

 結構な値段だったはずなんですけどね。

 スティール系装備を製作して販売するよりは利益は少ないですが、お小遣いという枠には収まらないほどにはいい儲けになりそうです。


 あ、それとイベントクエストの達成方法によって各街に設置されている大きな天秤型のオブジェが少しずつ傾いているらしいです。

 戦闘で達成した場合はランクに応じて赤の皿に少しだけ傾き、納品で達成した場合はランクに応じて青の皿に少しだけ傾いているみたいです。

 この現象は公式HPでも特に情報が開示されていないので、掲示板でも様々な議論がなされているようです。


 どちらかに傾ききったら勝ちだとか、最終日に傾きによって何か起こるとか、均等に保っていないといたずらされるとか。

 公式から何も発表がないのはまぁみんな慣れているので最終日までこの辺の議論は白熱しそうですね。


 ちなみに私は悪戯される案に一票ですかね。

 だってハロウィンですし。トリックオアトリートですよ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「はー最高ランクのMOB(モンスター)強すぎでびびったわ」

「ん。あれはびっくり」

「そんなになのー?」

「掲示板にも情報あげといたけど、最初から受けられる最高ランクを何度も達成すると出て来るのよ。

 そんで試しにやってみたらいやもうびっくり。

 レイド級かと思うくらい強いんだもの」

「うわー……。それは大変だったねー。

 倒せたの?」

「もちのろんよ! まぁレイド級っつっても当たらなきゃどうってことなかったね!

 いやぁいい装備だよこれ!」

「ミカちゃんとか特殊な人達しか使いこなせてないみたいだけどねー」

「交通事故」

「あははー! 確かに交通事故だわ!

 木とかにぶつかったり人にぶつかったりしてるやつの多いこと多いこと」


 定期的に開いている女子会ですが、今回は定期開催ではない突発的な女子会をミカちゃんと姫ちゃんと楽しんでいます。

 というか2人とも偶然時間があったので集まっただけなのですけどね。


 2人共今回のイベントをたっぷりと楽しんでいるみたいです。

 特に隠し要素で出てきたMOB(モンスター)の強さには2人共驚きの強さだったみたいです。

 戦闘系トッププレイヤー開拓者をひた走っている2人が驚くほどですからね。相当強かったのでしょう。

 もしかしたら納品のクエストにも隠しランクがあるのかもしれませんね。

 掲示板ではまだそういった情報はあがっていないみたいですけど。


「で、これがその時手に入れたお菓子」

「美味しそう」

「だねー。見るからにキラキラしてるよー」

「だよね。ランクも結構なもんだよ。

 ボーナスは残念ながら生産系だったけど」

「私は嬉しいなー」

「ん。バケツさん向け」

「まぁ効果はさておき美味しそうってのは否定しない!

 というわけで実食!」

「「おー!」」


 クエストを達成すると貰えるお菓子ですが、達成方法で偏りが出るとは言え必ず欲しい効果が手に入るわけではありません。

 でもどれも美味しいお菓子なのでみんな割りと満足しているみたいです。

 ですが、今回ミカちゃんが手に入れたお菓子はその中でも独自のエフェクトが眩しい逸品でした。

 無論味はとんでもなく素晴らしいの一言でした!


 ありがとうミカちゃん! 大満足だよ!



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