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114 『レシピゲットできないですかね?』

 ヘイフリックさんに呼ばれてさっそくまた私の出番が回ってきました。

 でも今回は移動も入るので回りを結構な数の護衛に囲まれてとなります。

 散発的に戦闘もあるのですが、事前に露払いがなされていたようでそれほど多くはなかったです。

 しかもどれもほとんど瞬殺という、第2騎士団の強さを再認識するには十分なものでした。


「ここか。ではバケツさん殿」

「はいー」


 辿り着いた場所は結界を解除したときにもあった祭壇でした。

 でも祭壇以外には崖があるだけです。

 崖といっても垂直に切り立っているので上るのは苦労しそうですね。

 専用の道具がなければ完全武装の騎士達では難しいでしょう。

 まぁ装備の重さはスキルLvが上がれば苦にならないはずなので重量よりは鎧故の可動域の狭さが問題でしょうね。


 しかし崖の前に祭壇。

 如何にもな感じがしてとても怪しいですよね。

 きっとあの崖が――


「……ふむ。文献通りか」


 祭壇で『ディヴァインゴブレット』を使用すると地響きと共に崖に入り口が出現しました。

 なんとも予想通りすぎてちょっとがっかりです。

 ヘイフリックさんも知っていたようですしね。

 それにしてもその文献ちょっと興味が出てきました。

 読めないでしょうかね。


「3班と7班は調査に迎え。残りは周辺維持だ。

 バケツさん殿、簡易拠点をここに設営するまでしばしまっていてくれ」

「わかりましたー」


 どうやらフィールドエリア入り口に設営した簡易拠点まで戻るのではなく、ここに新たな拠点を設営するみたいです。

 たぶん次への移動の手間を省くためと、騎士達の休息のためでしょうか。


 ……私の出番はまだありそうですねこれ。


 ちなみに簡易拠点とは言ってもセーフティエリアというわけではなく、本当に簡単なものです。

 当然MOB(モンスター)も襲ってくるので防衛戦力は必須です。

 第2騎士団は結構な人数いるのであと3,4箇所くらいは拠点を設営しても大丈夫でしょう。

 まぁその分だけ戦力が減っていくわけですが。


 でも単純に騎士達1人1人が強いので安心できます。

 ここは騎士達にとっては格下の場所なのでしょう。

 でも奥にいけば強いMOB(モンスター)がいるのが定番です。

 ボスとかもいそうですし、一概には格下と侮れないんですよね。

 強MOB(モンスター)の存在もありますし。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 調査し、祭壇を発見すると自分の出番が回ってきて先に進めるようになる。

 その度に簡易拠点の設営や撤去があり、5時間ほど同じことを繰り返した辺りで遂に最奥と思われる場所まで到達することができました。


 そこは今までと違って祭壇の装飾が一際派手になり、その奥には禍々しい半球体の結界が張られている場所でした。

 今までは崖や扉によって進行を妨害されていたのを解除していた感じだったのに明らかに雰囲気が違います。


 どうみてもボスです。本当にありがとうございました。


「総員戦闘配置完了しました!」

「よし、ではバケツさん殿。よろしく頼む」

「はいー」


 今までと違い、半球体の結界を包囲するように騎士達が配置され、準備が整ったところで私の出番です。

 一際派手な祭壇に『ディヴァインゴブレット』を置いてウィンドウを操作すると、今までとは違ったウィンドウのメッセージが出現しました。


「あの、ヘイフリックさん。

 この結界を解除すると『ディヴァインゴブレット』が壊れるみたいなんですけど、いいんですか?」

「なるほど。ここで壊れるか。

 問題ない、やってくれ」

「わかりましたー」


 ヘイフリックさんから許可も貰いましたので、どうやら『ディヴァインゴブレット』はここでお役御免となるようです。

 つまりは私ももう出番はないのでしょう。

 というか文献の内容私にも教えてくれればいいのに。

 まぁ機密扱いとかなんでしょうね。


 耐久値がない『ディヴァインゴブレット』が壊れるということは隠しパラーメーター的なものがあるんでしょうね。

 ランクが低かったらもっと早く壊れていたりするんでしょうね、きっと。

 であれば製作時に複数の素材を用意していたのも頷けます。

 まぁもちろん製作失敗を考慮していたのもあるでしょうけど。

 でもそれなら予備も作っておくべきではなかったのでしょうかね。

 それとも文献に何か記述でもあったのでしょうか。

 まぁそれを判断するのは私ではないのですし、彼らが問題ないと踏んだのですからいいでしょう。


 『ディヴァインゴブレット』が光のエフェクトとなってきえていくと共に、結界が上部から消失していきます。

 そして結界の中から現れたのは小さな人影。


 顔も体も全部が影で出来ている人型。

 イベントのMOB(モンスター)に似ているような気がしますが、イベントと違ってこちらには異形はついていないみたいです。

 そんな風に観察していられたのも数秒でしょうか、ヘイフリックさんの号令と共に戦闘が開始されていました。


 私はもちろん戦えないので急いで避難です。

 護衛の騎士に囲まれて戦闘の余波に巻き込まれないように下がります。

 少し離れた場所から見る戦闘は、なんというかすごいですね。

 今まで温存していたのか騎士達は派手なエフェクトを伴って『アーツ』での連携攻撃で相手に反撃の隙を与えていないようです。

 『アーツ』にはクールタイムが存在するので少人数では『アーツ』による飽和攻撃は難しいです。

 ですが第2騎士団は人影を包囲するほどの人数がいますので、このまま『アーツ』で圧殺するつもりのようです。


 いやーすごいですね。

 騎士団の飽和攻撃もそうですが、人影がまだ生きているのもすごいです。

 やっぱりボスなんでしょうね。尋常じゃない耐久性能です。


 ですが、そんな人影の頑張りもここまでのご様子。

 ヘイフリックさんが一際派手な『アーツ』を直撃させたところで戦闘は終結したようです。

 終わってみれば圧勝ですね。

 第2騎士団本当に強いです。


『【ザブリナ王国】/異変:消えた国宝が解決されました。

 【ザブリナ王国】/異変:異形なる影の下僕が急速に変異しています。ご注意ください』


「おぉ?」

「国宝も取り戻せて無事解決したようだが、もう1つの異変に何か変化が起こったようだな」

「何が起こったんでしょう?」

「おそらくは先ほどのボスを倒した影響だろう。

 何か関係がありそうな姿をしていたしな」

「やっぱりそうですよねー」

「とにかく今は撤収だ!

 ここにはもう用はない!」


 ヘイフリックさんの号令ですぐに撤収が開始され、私ももちろん一緒にお帰りです。

 第2騎士団が圧倒的だったので私も無傷です。

 これで【首都サブリナ】に帰ればクエストは完了となります。

 まぁ、帰るまでまた4時間くらいかかるわけですが。


「よし、では全員『転移石』の準備はいいな!」

「「ハッ」」

「『転移石』、ですか?」

「バケツさん殿は『転移石』をご存知ないのか。

 これを使えば【首都サブリナ】に一瞬で戻ることが出来る便利なアイテムだ。

 消耗品だからそうそう多用は出来ないが、早く報告もしなければいけないのでな」


 なんとそんな便利なアイテムがあったとは!

 どうにかしてレシピゲットできないですかね?

 報酬に上乗せとかないですかね?

 まぁ私がやったのは『ディヴァインゴブレット』の使用だけですから無理でしょうねー。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 『転移石』まじ便利です。

 行きに4時間かかった道程が1秒です。

 これは便利すぎてまじほしいですね。

 いや、私はほとんど外出しないですからあんまり意味はないですけど、ミカちゃんや姫ちゃんは絶対欲しがります。

 というか大半のプレイヤー開拓者は欲しがるでしょうこれ。


 でも『転移石』は本人が行ったことのある場所にしか行けないみたいです。

 なので行きは使えなかったみたいですね。

 それでも便利なことには変わりありません。

 レシピ……。


 北門の工房に戻ってきたところでクエストは無事終了となりました。

 まぁ結局レシピは貰えず、報酬は変化なしでした!

 わかっていましたが残念です。


 でもこれで異変が1つ解決したわけです。

 ヘイフリックさんやドワーフさん、第2騎士団の騎士さん達には大変感謝されました。

 ちなみに『ディヴァインゴブレット』ですが、予備があったそうです。

 でもすでに壊れる寸前だったみたいで、本当に予備でしかなかったみたいです。

 ランクも低く、製作者限定の使用制限もないものだったみたいです。

 以前の異変の際の残り物らしいですが、その異変が起きたのも数百年も前だそうですけど。

 結構な年代物ですよね、それ。


 さてそれでは無事にクエストも完了し、報酬も貰えました。

 何気に第2騎士団とのコネも出来ましたし、美味しいクエストでしたね!


 これで残る異変はあと2つ。

 でもイベントが変化したみたいですし、まずはそっちの情報収集でしょうね。

 ラストスパートに入っているくらいにイベントは終盤です。

 そんな今変化が起こるのはいいことなのか悪いことなのか……。


 とにかくどんな風に変わったのか知らなければ話は始まりません。

 さぁ掲示板へれっつごー!



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