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108 『あんたバケツさんか?』

 明けて翌日。

 今日は台風が接近しているそうで外がすごいことになっていますが、部屋は快適です。

 もちろん【ふろんてぃあーず】も快適です。

 ゲーム内でも雨は降りますが、それほど頻度は高くないですし、すぐにやみます。

 雨限定で出現するMOB(モンスター)もいますが、このMOB(モンスター)は大体が強MOB(モンスター)です。

 でもイベントMOB(モンスター)化はしないみたいで、現在では好んで狩りに行く人はすくないみたいですね。

 もう少しご褒美みたいなものがないと誰も狩らなくなってしまうかもしれません。


 補充商品の製作の続きから開始しているわけですが、一通り終わったら掲示板を確認したいところです。

 昨日は姫ちゃんがきっとレイド戦などにも参加してすごい事になっていそうですし。

 私は規則正しい生活をしないといけないので夜は10時がリミットですが、高校生の姫ちゃん達はそんなことはありませんからね。

 ミカちゃんなんて毎回のように徹夜して学校で寝ているみたいですし。

 成績の方がちょっと心配になってしまいますね。

 その点でいえば姫ちゃんはそんなに無茶な生活はしないみたいです。

 ですが、深夜過ぎくらいまではログインしていたみたいですし、私が寝た後でもゲーム内でなら6時間以上はプレイしていたことになります。

 私が流した先出し情報もあるので、情報が出回るには十分な時間でしょう。


 掲示板の閲覧が楽しみなようでちょっと怖くもありますが、今は製作の続きです。

 さぁちゃちゃっとやっちゃいましょう。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 製作、優先販売、評価査定、補充と一通りこなしたので掲示板を閲覧してきました。

 さっそく新しいスレッドがいくつか立てられ、『魔導人形:蟲型・蜘蛛』に関して情報がまとめられていました。

 でも詳しい情報は先出し情報以外はほとんどありません。

 まぁこれは当然ですね。

 性能やら詳細は実際に姫ちゃんに見せてもらわないと確認できませんし。


 やはり私がログアウトしたあとに姫ちゃんは『魔導人形:蟲型・蜘蛛』を駆ってレイド戦に参加していたようです。

 現時点では最高性能といっていい『魔導人形:蟲型・蜘蛛』ですから、当然のように大活躍したみたいです。

 特にレイドボス討伐後のイベントMOB(モンスター)掃討で真価を発揮したみたいですね。

 何せ姫ちゃんが操る8本足の大剣と人型と牙がありますからね。

 手数には困りません。

 それを十全に操れる姫ちゃんだからこそではありますが、姫ちゃんのスレが加速していたのは間違いありません。

 今現在もかなりの勢いがありますし。

 さすが姫ちゃんですね。


 先出し情報で『魔導人形:蟲型・蜘蛛』の出処は私だとすでにばらしていますので、掲示板ではやはり作って欲しいという意見が多いようです。

 まぁ実際に優先販売時に『ゴスペル』の人から聞かれましたが、アレを再度作るには中間素材の量が多すぎますし、悪ノリした部分もかなり大変です。

 特に双子の悪ノリ部分がちょっと素材的に難しいので無理でしょうね。

 なのでお断りしてあります。


 もう少し『銀鉱石』や属性の結晶が手に入りやすくなったら考えてもいいかな、程度です。

 まだまだ『銀鉱石』は買い取れる量は少ないです。

 まぁ少し買い取り量を絞っているのもあるのですけどね。

 何せ主に製作できる装備がスティール系装備未満なのですから。


 『魔導銀』のような特殊な中間素材のために買い取りしているだけともいえます。

 なのでちょっと失敗だった面もあるんですよね。

 先を見越しての『ドトリル』での買い取り店舗だったのですが、蓋を開けてみれば微妙な買い取り量になっているわけですし。


 せっかく雇った店員さん達も結構暇しているのではないでしょうか。

 何かもう少し私が欲しいものが『ドトリル』で採れればいいんですけどねー。

 こればかりは開拓を待つしかありません。

 もしかしたら『ドトリル銀鉱山』の開拓に触発された人達が伐採を頑張っているかもしれませんし。

 まぁ問題はまだイベント中で、さらには終盤でのラストスパートも始まっている点ですよね。

 イベントが終わらないと姫ちゃん達も参加しそうにないですし、そうなるとどうしたって【首都サブリナ】周辺のフィールドエリアのアフターケアで手一杯になってそうです。


 実際にイベント中に【首都サブリナ】周辺では開拓されたフィールドエリアはありませんしね。

 でももうイベントも終盤です。

 私も気合を入れてラストスパートしましょう。


 ……とはいってもやることは変わらないのですけどね。

 あ、でもイベント景品の『ミニコット』で一番ポイントがかかる『ミニコット/マジックミラー』がもう少しで手が届きそうです。

 これなら2番目の『ミニコット/わんこ伯爵』もいけそうです。

 あとはもう虱潰しですね。

 イベント『ミニコット』全制覇も夢ではなくなってきました。


 ちなみに『ミニコット/ネコソギキャット』のソギちゃんは『魔術陣』用のデスクで大あくびをしています。

 常に出してありますからね。

 自由気ままなのは猫なのでしょうがないです。

 でもそんなしぐさも可愛くて製作の合間に眺めて癒やしてくれます。

 大きな肉球をモミモミするのも最高ですね。

 最初に取得した『ミニコット/ワンダーマッシュルーム』のマシュ君はもう登場することもないんじゃないでしょうか。

 だってソギちゃん可愛すぎますし。


 『ミニコット/わんこ伯爵』も密かに期待しているんですよね。

 どんな『ミニコット』なのでしょう。

 とても楽しみです。

 ちなみに1番ポイントが高い『ミニコット/マジックミラー』ですが、あまり期待していません。

 名前的にも景品の画像的にも、期待が持てませんし。


 なんでこれが1番ポイント高いんでしょうね?

 何かあるんでしょうか?

 まぁそれは取得してみればわかることです。


 ですが今は自由時間。

 掲示板の閲覧も終わりましたし、読書してレシピをゲットしましょうかね。

 あ、『魔術陣』でもいいですね。

 どっちにしようかなー。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「やっほ~。きましたよ~」

「はいはーい」


 『現実時間』で夜になれば『Works』のメンバーも全員ログインしてきました。

 そのメンバー全員が工房に集まっています。

 何があるのかといえば、女子会……ではなく、『魔導人形:蟲型・蜘蛛』のお披露目だったりします。

 もうすでに実戦で大活躍しているのでお披露目というのも変かもしれませんが、問題ありません。

 みんなからの熱い要望の結果なのですから。


「おぉ~! これが例の蜘蛛ですか! 蜘蛛というかアラクネ? でも人型が男性ですか~。女性型にしません?」

「そうか? 俺は男の方がいいと思うがな。しかし足に大剣が収納してあるのか。これは面白い」

「でしょでしょ!」

「すごいでしょ!」

「「ボク(僕)達も作ったんだよ!」」

「……ちょっと怖いですね……でもすごい……」

「これは大したものあるネ。掲示板でも話題になるわけネ」

「ん」

「ミーとムーと一緒に頑張りましたからねー」

「「頑張ったよ!」」

「偉かったですね~」

「お疲れさん」

「お疲れ様です……マロングラッセ食べます?」

「食べる」

「姫ちゃん食いつき早いー」

「あはは~」

「たべるよ!」

「いっぱい食べるよ!」

「「飲み物! ホットで!」」


 お披露目会の後はるーるーさんが持ってきてくれたお土産をみんなで食べてお喋りです。

 最近の研究結果の共有や、NPC(ノンプレイヤーキャラ)クエストの情報など、みんな色んな情報を共有してくれました。

 もちろん私も図書館2階の情報や、属性の結晶など色々と話してみました。


 面白かったのはクールーさんが中華だけでなく、フランス料理にも精通していた点でしょうか。

 でもお店でフルコースは難しいのでもっと庶民的な料理にするそうです。

 カスレやガレットなんかは食べてみたいです。

 所謂フレンチですね。

 これにはるーるーさんも随分刺激されていたみたいで、静かに闘志を燃やしていました。

 るーるーさんにとってクールーさんはいいライバルになりそうですね。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 お披露目会も解散となり、夕飯などの諸々のログアウトを済ませて、さっそく共有されたNPC(ノンプレイヤーキャラ)クエストへと向かっています。

 道具の中級・改のレシピが手に入ったという情報ではないですが、今現在も受けているNPC(ノンプレイヤーキャラ)クエストだけでは埒が明きそうにないですからね。

 いい加減道具の更新がしたいです。

 目指せスティール系装備での『ダブルオプション』です。


 やってきたのは私の工房がある南門通りの正反対、北門通りの奥まった場所にある鍛冶工房です。

 移動には駅馬車を使わないとかなり時間がかかりそうです。

 それにしてもよくこんな奥まった場所のクエストを見つけたものですね。

 情報を共有してくれた向田さんには大感謝です。


「ごめんくださーい」

「おう、なんだい嬢ちゃん……あんたバケツさんか?」

「あ、はいー」


 工房の入り口で声をかけると中から髭もじゃのこれぞ職人といった感じの人が出てきました。

 背が低くて髭もじゃで筋肉な人です。

 ……ドワーフですかね?


「向田の紹介だな?」

「あ、はい。そうなんですー」

「そいつぁちょうどよかった! 向田の紹介なら確実だ!

 実際その兜だけみても大したもんだしな。

 あんたの噂もよく聞いてるぜ!」

「そうですかー」

「よし、決まりだ! 奥へ来てくれ!」

「え、あ、はいー」


 なんだかとんとん拍子に話が進んでいますが、色々手間が省けて助かるというものです。

 さすが向田さんですね。

 あと私の噂って一体どんな噂になっているんでしょうね?

 前に聞いた時よりもすごいことになっていそうな気がします。

 噂なんてどこで尾ひれが付くかわかったものじゃないですからね。



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