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104 『その結果わかったことは――』

 神殿で『魔石』を払って『ゲート』を使って『ドトリル』までやってきました。

 実に便利な移動手段ですよね、『ゲート』。

 まぁでも遠出をほとんどしない私にはあんまり関係ないっちゃ関係ないのですけど。

 でも今後『ドトリル』にお店を持つことになれば、買取した素材を回収するために結構頻繁に使うことになります。

 アイテムの回収だけは店員さんにやらせることができないので仕方ありませんね。

 これは信用云々の問題ではなく、システム的なものです。


 結構店員さんにはお店で臨機応変な行動を取ってもらうことが出来るのですが、だめなところはだめなんですよね。

 まぁ優れたAIで本当に【ふろんてぃあーず】で生きているように見えてもシステムに縛られたNPC(ノンプレイヤーキャラ)だということです。


 もちろんこれはプレイヤー開拓者には当てはまらず、共同出資でお店を持っていたりすると設定次第ではどんなプレイヤー開拓者でも『店舗倉庫』を使用することが可能になります。

 まぁ私は基本的に個人でやってるお店ですからね。縁のない話です。


 そんなこんなで不動産屋さんまできたのですが、やはり私と同じ考えの人が何人か居たらしく、狭い不動産屋さんのカウンターにはプレイヤー開拓者と思しき人が数名いるようです。

 狭いとはいっても数名程度なら許容範囲内なようで、私もさっそく賃貸物件の話が出来ましたけどね。


 詳しい話を聞いてみると、ここ『ドトリル』は【首都サブリナ】に比べればずいぶん土地単価が安いみたいです。

 まぁ【首都サブリナ】の方が圧倒的に便利ですからね。

 『ドトリル銀鉱山』が開拓されなければ私だって来ませんでしたし。


 そんな『ドトリル』ですが、これから『ドトリル銀鉱山』のおかげで賑わうことは間違いないでしょう。

 ですが今はまだ土地も安いままですのでここは即決即断でいくとしましょう。

 何せ安いので大通りの目立つところの店舗ですら買えちゃいそうですし。

 でもそんな大きなお店はいりません。


 今回の目的は買取専門のお店のための店舗です。

 なので『ドトリル銀鉱山』の場所から近いところで大通りに面していてアクセスが便利な場所。

 ピックアップしてもらったところ、いくつか候補があったのでその中でも一番よさげなところに決めました。


 他にもいるプレイヤー開拓者はまだ悩んでいるようでしたが、私にとってはそんなに悩むような金額でもありません。

 店舗状況は口頭ですが問題なさそうだったので、見学なしのニコニコ現金払いで買い取ってみました。

 まだ『ドトリル銀鉱山』は開拓されたばかりとはいえ、早く買取を始めたいですからね。

 まだこれから『ドトリル』の【開拓者組合(ギルド)】へ行って、店員さんを雇う必要だってあるんですから。


 隣で、うんうん唸りながら悩んでいたプレイヤー開拓者には私が即決即断で店舗を購入していたのを見られていたのですが、すごく驚いていましたね。

 その後私の正体に気づいたみたいで納得していたみたいですけど。

 わかりやすい『バケツヘルム』ですからね。

 また掲示板に何か書かれそうですが、そんなことにかまっている暇はありません。


 ではでは次は【開拓者組合(ギルド)】へGO!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「へー……。結構多いですね」

「はい、ここ『ドトリル』では職を求める者が大勢いますので、バケツさん様のような高待遇での求人ならば選り取り見取りとなります」

「なるほど……。でもそれなら首都の方に行けばいいんじゃ?」

「あちらはすでに飽和している状況でして……」


 【開拓者組合(ギルド)】に来て担当者の人に相談したところ、かなりの数の候補者を見せられてしまいました。

 見てわかるくらいに『ドトリル』は寂れています。

 職を求める人は大勢いるみたいです。

 【首都サブリナ】が近いといってもあちらはあちらで就職難なのは変わりないようです。

 どこも魔樹の侵攻に怯えて避難しているような状況ですからね。


 ちなみに私のお店では今は基本的に平均以上に高待遇での契約になっています。

 『バケツさんのお店 Lily』の店員さん達は古参なら大店の一般従業員と同じくらいの給料になっていますし、新人さん達も平均以上です。

 もちろん彼女達もそれに見合った働きぶりを見せてくれているので満足しています。


 『ドトリル』でのお店の店員さんも同じくらい……とはさすがに言いませんが、【首都サブリナ】の平均くらいの給料設定にしたところこの有様です。

 『ドトリル』の状況がわかるというものですよね。

 でもそんな『ドトリル』も『ドトリル銀鉱山』のおかげで多少はよくなるでしょう。

 それに『ドトリル銀鉱山』が開拓された影響でイベントに積極的に参加していない人達が伐採に来る可能性が高くなりました。

 【首都サブリナ】方面はフィールドエリアの開拓も進んで、次の開拓が大変になっているみたいです。

 何せどんどん遠くなりますからね。

 行き来するだけでも大変です。

 それに比べて『ドトリル』周辺ならまだまだ近いので伐採時間も余裕が持てます。

 アフターケアの面から見ても【首都サブリナ】から遠いフィールドエリアはなかなか厳しい面がありますしね。

 『ミズーリの村』のように拠点として使えるような場所が中継点としてあればいいんですが、開拓されるフィールドエリアはランダムです。

 こればかりは仕方ありません。


 『ゲート』みたいな移動に便利なものがもっとあればいいんですが、せいぜいが馬車くらいなものです。

 『ゲート』も個人で設置できるような代物ではなさそうですし。


 そんなわけで『ドトリル』もこれから多少は好景気になるでしょう。

 まぁもう少し時間もかかるとは思いますが、私がやるべきことは店員さんの選定です。

 ちょっと資料が多すぎて選別に困りましたが、求人担当の方と色々相談して6名雇うことにしました。

 ちなみに買取業務は24時間制です。

 買取だけですが2名体制でやってもらいます。

 1人だと何かあったときにお店を閉めないといけなくなりますからね。

 この辺はゲームといえどもそういうハプニングが存在していることを掲示板情報で知っています。

 NPC(ノンプレイヤーキャラ)だって風邪を引くみたいですよ?

 プレイヤー開拓者は女神様の祝福で引かないみたいなんですけど。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「よっし、これで明日から開店できる! やったー!」


 店舗も購入しましたし、店員さんも雇ってきました。

 現在は買取した店舗に来ています。

 システム的に掃除が必要ないとはいえ、家具の配置や『店舗倉庫』の設定などしなければいけないことはたくさんあります。

 契約に関しては店員さんを雇う時に済ませてきたので問題ありません。

 とりあえず買取専門ですのであまり高い倉庫契約は必要ありませんしね。


 購入した店舗は『バケツさんのお店 Lily』よりも大分広いくせに立地もいいし、値段も安いという……まぁここ【首都サブリナ】じゃないですしね。

 あっちには備え付けの家具などあったのですが、こっちにはありません。

 ですが、買取専門ですので基本的には必要ないんですよね。

 カウンターはありますし、買取品を視覚的に値段が見えるようにボードを置いておけば、あとはシステムが対応してくれます。

 看板も一応作っておきました。


 ここは『バケツさんのお店 Lily ドトリル支店』です!


 ふふふ……遂に支店が出来てしまいました。

 他の街にも行けるようになったらどんどん増えそうですね!


 とりあえずこれで準備は万端です。

 あとは『ドトリル銀鉱山』の難易度とドロップ状況次第ですね。

 実に楽しみです!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 『バケツさんのお店 Lily ドトリル支店』が開業してから『現実時間』で1日。

 『ゲーム内時間』で3日とちょっとが経過しました。


 えー、結果からいうと、あまり買い取れていません。

 なぜなら『ドトリル銀鉱山』の難易度が思った以上に高かった事と、イベントで戦闘系トッププレイヤー開拓者がレイドに忙しい事が原因ですね。

 戦闘系トッププレイヤー開拓者でもイベントレイドに参加していない、もしくは空き時間に『ドトリル銀鉱山』に通っている人もいるみたいなんですが、かなり少数派のようです。

 あとは難易度的に厳しい層ばかり……。


 それでも奥地に入り込まなければ狩りは出来ているようですが、目玉となる『銀鉱石』が滅多に手に入らないみたいなんです。

 銀鉱山なのにおかしいですねー。


 なので買取も競争率が高く、『銀鉱石』も結構な高値になっていたりします。

 まぁそれでも所詮は素材ですし、しかもランクは★3。

 高値といってもそこまでではありません。

 なので一応ゲットして色々作ってみました。


 その結果わかったことは――


 ====

 シルバーショートソード

 小剣/★5/ATK+79 HP+160 MP+135/生命力強化・中 魔力強化・中/耐久80

 ====


 基本攻撃力はアイアン以上、スティール以下。

 属性などの特殊な『オプション』もつかないみたいです。

 難易度も相応のようで、一発で★5を製作できました。

 そして★5といえば『ダブルオプション』です。

 発生した『オプション』はなかなかよさげです。

 でも相場を見てみるとスティール系装備には遠く及ばないですね。


 位置づけ的にはやはりアイアンの次といったところなのでしょう。

 そう、未だに私以外に安定してスティール系装備を製作できていない現状。

 そんなスティール系装備がアイアンの次の難易度だという事に疑問を持ったことがありましたが、それが今氷解しました。


 アイアンとスティールの間にはシルバーがあったんです。

 現に掲示板でも私以外のトップ生産者がシルバーの出現によって適正難易度の製作が出来ることに歓喜していました。

 彼らが言うには「少し遅かったがそれでも許容範囲内のタイミングだった」、らしいです。


 私としてはちょっと不満ではありますが、これも恐らく運営の筋書き通りの展開なのではないでしょうか。

 『ドトリル』の活気向上に繋がり、生産者の適正難易度製作の解放。

 イベントにあまり積極的ではないプレイヤー開拓者へのフィールドエリア提供。


 色々な面で見てもテコ入れの匂いがぷんぷんします。

 あ、ちなみにもう1つありました。

 それは『ドトリル』での突然の銀製品レシピの公開です。

 さすがに図書館2階で入手するようなレシピはありませんでしたが、基本的な製作品のレシピが販売されていました。


 やっぱり運営の筋書き通りなのでしょうねー。

 私としては適正Lvをとっくに過ぎているのでちょっと残念でもあります。

 ですのでまだ高騰している銀素材を焦って買い取る必要もなくなりました。


 しばらくはイベントポイント集めに精を出すとしましょうかね。



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