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103 『アドバイスありがとねー』


 防衛戦があった翌日も【ふろんてぃあーず】では相変わらずイベント一色です。

 かくいう私もイベントアイテム製作とスティール系装備の製作に明け暮れているわけですが。


 でも昨日の今日で早くも進展もあったみたいです。

 【開拓者組合(ギルド)】側でも今回の魔樹の再侵攻には肝を冷やしたようで、さっそく各開拓地周辺の魔樹伐採のクエストが貼りだされているそうです。


 プレイヤー開拓者がやってきて、魔樹に押されていた世界がやっと盛り返してきたところでの反撃ですからね。

 そりゃ迅速に動くってもんです。

 ここで悠長に構えていたりしたらそれこそNPC(ノンプレイヤーキャラ)達は滅亡してしまいそうですし。

 何はともあれ、今後防衛戦が行われる可能性はある程度低くなったと見ていいでしょう。

 もちろん、クエストですので受ける受けないは開拓者の自由です。

 でも魔樹伐採関連は割が良いクエストが多いので人気があるクエストでもあります。

 イベント中なので多少は仕方ないとしてもそれでも受ける人がいない、という状況にはならないでしょう。

 実際掲示板でも今回のクエスト報酬は議論が飛び交っています。


 実は私も参加したいくらいなんです。

 えぇ、報酬がなんとSP(スキルポイント)なんですよ!


 でも残念ながら、伐採のスキルが『樵』以上でなければだめだそうです。

 『伐採』、『伐採・改』、『樵』の順で進化するので『伐採』すら取得していない私には無理ですね。

 逆に姫ちゃん達は喜んで参加しているようです。羨ましいです。

 生産系でもこういうクエストないですかね?


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 イベントアイテムやスティール系装備の製作以外にも『言語・改』のおかげで読めるようになった図書館2階の本も少しずつ読み進めています。

 おかげでたくさんのレシピが手に入ってはいるものの、欲しいレシピはなかなかてにはいりません。

 特に道具系中級改ですね。


 逆に素材が手に入らないので作れないレシピなんかも多いです。

 特に最近よく見つかるのが銀系のレシピでしょうか。

 カッパー、ブロンズ、アイアン、スティールときていますのでおそらく次の段階の装備だと思うのですが……中間素材の量が少ないんですよね。

 おかしいですね。

 この中間素材の量ではアイアン以上スティール未満といったところでしょうか。

 スティール系装備は最初からレシピが入手出来ます。

 でも銀系レシピは図書館2階から。

 つまりは銀系装備は性能事態はスティール系装備未満ということでしょうか。

 恐らく属性関連なのでしょう。

 アンデッド特攻とかありそうですよね。


 レシピは完成品を一度でも見たことがないと詳細な情報が得られないのが難点です。

 ですのでこういった基本性能以外に特色がありそうなタイプだと実際に作ってみないとわからないんですよね。


 どこかに材料転がってないですかねぇ。


『【ザブリナ王国】/『ドトリル銀鉱山』が解放されました』


「な!」


 なんですとー!

 ごろごろと最近新しく購入したソファーに寝転がりながら読書をしていたらいきなりの新フィールドエリア開拓のお知らせです。

 しかも銀鉱山!

 これは間違いなく銀系の素材が採れますよね? 採れちゃいますよね!


 というか……『ドトリル』って……『サブリナ北街道』を通って行くあの何も特色がない街ですか?

 イベントMOB(モンスター)もあちら側は出現しておらず、もくもくと魔樹伐採に明け暮れていた酔狂なプレイヤー開拓者がいたくらいです。

 彼らがやったんでしょうね。

 しかも私が欲しいと思っていた素材がドンピシャです。

 何かの意図を感じざるを得ないですね!


 でも問題は他にもあります。

 何せ今はイベント中。

 そしてドトリル側にはイベントMOB(モンスター)が出ていない。

 イベントも中盤から後半に差し掛かっている現状です。

 ドトリル方面には出ないという認識が掲示板でも多いです。

 なので現状でランキング争いをしているレイド勢は『ドトリル銀鉱山』には向かわないでしょう。

 ちなみにレイド勢はランキング争いをしている人達だけではありません。

 『影の涙』がまだ高騰していますからね。

 それ目当てにレイドに参加しているメンバーも数多くいます。


 まぁとはいっても【ふろんてぃあーず】をプレイしている人はかなりの人数います。

 各国に分散しているとはいえ、ここ【ザブリナ王国】にも万単位でプレイヤー開拓者がいるはずです。

 それは今も尚、増加中のはずですので『ドトリル銀鉱山』に人が向かわないという事態だけはないはずです。


 では何が問題なのか。

 それは全員が全員『ドトリル銀鉱山』で狩りを出来るほどスキルLvが高いのか、ということ。

 つまりは適性Lvに到達しているかどうかということです。

 でもレイド勢なら確実に到達しているでしょう。

 『ドトリル銀鉱山』が超高難易度なフィールドでない限りは、ですが。


 そして買取の問題です。

 何せ『ドトリル銀鉱山』は『ドトリル』にあるわけです。

 あ、もちろん掲示板に情報がさっそく上がっていたので、確定っぽいです。

 一度足を運んでいますので、『ゲート』を使えるのですが、買取をするならあちらで行ったほうが絶対にいいでしょう。

 問題は露店を出す場合、私の時間が取られる事、有名人と化している私ですのであまり人前に出たくないこと。

 まぁ変装したり、誰かに頼むという手もあります。


 ……でも今回のように『ドトリル』でも開拓が進めば同じような事が何度も起こることになります。

 つまりはあちら側にもお店を持ってしまえばいいんじゃないでしょうか。


 でも『バケツさんのお店 Lily』ですら品切れ、品薄状態が続いているわけですから、あちらで販売するアイテムまでは手が絶対に回りません。


「じゃあ買取専門にすれば?」

「ふおぉぉー!?」

「なんて声出してんの」

「ミカちゃん! びっくりするでしょ!」

「いやいやちゃんとノックもしたし、声もかけたぞ~?」

「え、ごめん。全然気づかなかったー」

「まぁそんなことだと思って勝手に入ったんだけど。

 『ドトリル』に買取専門のお店出せばいいじゃん」


 どうやら考えに没頭してしまってミカちゃんが来ているのに気づかなかったみたいです。

 生産中には集中しすぎて結構よくあることだったのですが、どんどん悪化しているような……。

 ま、まぁ今はいいです。それよりも――


「なるほど、買取専門かぁ。それは盲点だったかも」

「まぁ普通は販売、買取の両方だからね」

「でも買取専門だったら店員さんも少なくて済むし、お店も小さくて済むね」

「販売ならこっちでやればいいしね」


 【ふろんてぃあーず】でお店といえば販売、買取の両方か販売限定です。

 買取専門でやっているお店というのは見たことないです。

 私が知らないだけでどこかではやっているとは思いますが、プレイヤー開拓者がやる分にはあまりメリットがないはずです。


 なぜなら買取専門にする意味がないからです。

 大抵は買取をしていれば販売もしているものです。

 買取専門の場合、露店でやればいいというのもあります。

 わざわざお店を借りたり買ったりしてまで買取専門店を持つほどプレイヤー開拓者はお金があるわけではないですから。

 特に生産者なら販売もした方が圧倒的に得ですし。


 ですが、今回のような場合はそうでもないはずです。

 私のように多少お金に余裕がある場合は遠くの街に買取専門のお店を持ち、素材を集めて本店で販売をする。

 素材を回収する際に往復の『ゲート』代がかかりますが、些細なものです。

 連絡は店員さんと『コール』なり『メール』なりすればいいですし。


 『店舗倉庫』がどこのお店でも共有出来れば『ゲート』代もかからないのですが、こればかりは仕方ありません。

 それに共有なら枠の問題で倉庫契約料が大変なことになりそうですし。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「アドバイスありがとねー」

「いいってことよー。それよりいいの出来たら連絡絶対だかんねー」

「はいはい、わかってるよー」


 ミカちゃんの用事はレア素材の買取と遊びに来ただけだったので、銀系のレシピが手に入っている事を教えたりして無駄遣いをしないように釘を差しておきました。

 もし『封闇秘剣』や『ダークショートソード』よりも高性能な装備が出来たら最優先されるのはミカちゃんですからね。

 この2つの返済ももう少しで終わりますので、次の借金をするのは大丈夫ですし!


 何はともあれ、ミカちゃんのアドバイスを参考に『ドトリル』に買取専門のお店を出すことに決定です。


 出来るだけいい場所で、されどもそれほど大きくなく、ある程度出費を抑えられるようにしましょう。

 お金はたくさんあるとは言っても無限ではありません。

 上級設備の更新もまだ終わってはいませんのでどれだけあっても足りないのですから。


 ではさっそく店舗を確保するために現地に行くことにしましょう。

 さすがに『ドトリル』の不動産を『首都サブリナ』で扱っているとは思えませんし。


 私やミカちゃんが思いつくのですから、同じように考える人はそれなりにいるはずです。

 その中でも実際に店舗を購入または借りられるだけの財力があるプレイヤー開拓者は限られるとは思いますが、急ぐにこしたことはありません。

 これからの『ドトリル』での開拓に先行投資として店舗を抑えに走る人だっていないとは限りませんからね。


 ではでは久しぶりのお出かけです。

 当分は行かないだろうと思っていた場所ですが、結構早く来訪する機会が出来てしまいましたね。

 ハルドリンさんに会うことはないでしょうが、今度はセクハラまがいのことはされないように気をつけましょう。


 ではしゅっぱーつ!



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