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暗い短編

鬱々と

作者: 谷川山

「将来の夢は何ですか?」

 小学生は素直に答える。中学生は少し考えてから答える。高校生は真面目に答える。大学生はへらへらと答える。

 小学生のころは、サッカー選手とか野球選手とか言っておけば何とかなった。夢があるねと、笑って頭をなでられた。

 中学生のころは、とりあえず高校に行ってからと言葉を濁した。それからでも遅くはないねと、何も心配されずに済んだ。

 高校生になると、就職するのか進学するのかと真剣に悩んだ。でも、テストのような用意された100点の回答は見えなかった。

 逃げるようにして大学生になって、ふと、何も持っていない自分に気づく。胸を張れるようなことなんて自分にはないんじゃないかと、不安になりすぎて何事も手につかなくなる。それすらも逃げだったのかもしれない。ただただ不安で、そんな自分が嫌いで、何も理解してくれない周りが受け入れられなくて、一人でいることが多くなって、他人と接することを、かかわり方を忘れていく。

 周りに人たちが早々に行き先を決めていく中で、自分だけが取り残されていく気がして。

 何も感じていないふりをしながら、周りの人たちを笑って見送る。

 そんな自分に嫌気がさしながらも、しょうがないと受け入れる。かつての友人たちと会わないように小さな小さな会社に就職して、社会人になった。


 順調、とはいかない。なにせ小さな会社だ、収入が安定しない。毎日が火の車だ。

 でも、それで十分だ、自分にはそれが丁度いいと言い聞かせながら生きていく。


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