ヒロインこそ悪役
なんとなくライバルキャラ側からみたお話を書いてみたくなった。
勢いだけで書いちゃいました。
あー、この世界知っているわ
うん、ここあの世界ね…
でもって、私はあの子のイトコというわけね…
表に出ずにあの子の愚痴を聞くしかないのか…
なんて、明後日の方向を向いていた時期もありました。
改めて
はじめまして
久城雅紀と言います。
名前だけで判断すると男と思われますが女です。
ええ、れっきとした女ですよ。
双子の兄と名前が逆だったらと何度思った事か…
まあ、私の事はいいんですよ。
所詮、私はその他大勢のモブなんですから…
ここは美形が蔓延る少女漫画の世界です。
ええ、そうですよ。
私、なぜか少女漫画の中に転生したことを知っているごくごく普通の女です。
『転生』なんて信じていなかったけど…
まあ、しちゃったものは仕方ないですね。
私にとっては現実世界であることには変わりないんだからさ…
ここは前世の妹が嵌っていた少女漫画の世界でよくあるシンデレラストーリーが展開される場所です。
我が久城家は平安の時代から続く名家らしいです。
しかし、祖父も父も普通の会社員なので名家と言われても「なにそれ?それが何に役立つの?」状態です。
まあ、うちは分家だから結構気楽です。
本家は昔からのしきたりが~とかうるさいですけどね。
本家の末っ子ちゃんがこの世界のキーパーソン。
末っ子ちゃんはいわゆる『ライバルキャラ』『悪役』と言われるポジションにいます。
あれですよ、ヒロインとヒーローの恋を盛り上げるための障害物になる人の事ですよ。
私がこの世界の事を自覚したのは末っ子ちゃんが3歳の誕生日を迎えた時。
本家でお祝いをするからとお呼ばれして、2歳年下の末っ子ちゃんに会った時です。
末っ子ちゃんは本家で数十年ぶりに生まれた女の子。
当主たちが狂喜乱舞したのを今でも覚えていますよ。
分家には男女平等に生まれるけど、なぜか本家では男ばかり生まれていたんですよね。
本家の人間が甘やかすことは火を見るより明らかです。
私は彼女の行く末…
あれですよ、悪役にある滅亡の未来しかないというあれです。
そんな可哀そうな未来を彼女に与えるわけにはいきません。
まあ、私の個人的な好みもあるんですけどね…
ヒロインよりもライバルキャラである末っ子ちゃんのほうが私は好きだったのよ。
本編の時はさほど思わなかったけど、番外編を読んだら彼女の事が好きになっちゃったのよね。
甘やかしたら『悪役』まっしぐらになっちゃうので、性格を変えちゃいました。
いや、もともとかわいい性格だったのですが、小さい頃の環境が悪かったのよね。
甘やかし過ぎは良くないですよ。
だから、私が時々本家に遊びに行って大人たちに甘やかされた部分を矯正させました。
本家の人たちが甘やかすなら私は厳しいことを言って言い聞かせました。
厳しい事ばかりを言うのではなく時々、褒めることも忘れずしましたよ。
飴とムチ作戦です。
そのお蔭か、かわいいかわいいヒロイン顔負けの女の子に育ちました。
本来だったら嫉妬深い我儘なお嬢様に成長しちゃうんだけど、大人しい控えめなでも芯はしっかりしている子に成長しました。
私の事を『雅姉様』って呼んでくれるのが何より嬉しいです。
10歳の時、末っ子ちゃんは婚約者を与えられました。
はい、私の双子の兄・麗です。
つうか、うちの両親、名前つけるの明らかに間違ってないか?
なんで私が『雅紀』で兄が『麗』なのよ…
私が溺愛(時には優しく、時には厳しく)している末っ子ちゃんを麗に取られるのかと思うと少々いらだちましたが、末っ子ちゃんが義姉になるということに気付いてからは二人の仲を応援しましたよ。
ええ、麗も末っ子ちゃんにメロメロです。
いや、私がメロメロになる様に仕向けたんですけどね…
だって、本当にかわいいんだもん!
私が男だったら私が貰いたいくらいだわ…
麗と中身交換できないかしら…
あ、末っ子ちゃんの名前は久城明。
明け方に生まれたので明だそうです。
安直と言えば安直ですが…まあ、いいんじゃないですか?
かわいいから……
さて、お気づきですね。
明が『ライバルキャラ』ということはヒロインの相手は我が兄・麗です。
ヒロインは明のクラスメート。
明を通して麗と知り合い互いに惹かれあう…という王道パターンです。
ですが、今の麗は明にぞっこんです。
ええ、周りがドン引きするほどに明LOVEです。
さすがに学校内では控えているようですが…家に帰った時の反動が…のろけ話が……
思い出したくもないわ……(遠い目)
麗は明に必要以上に男が近づけば威嚇し、自分を慕う子達を誘導して撃退しているほどですから…
まったく、明に男を近づけたくないなら私が通う女子校に入学させればいいものを…
傍に置きたいという理由から自分と同じ学校に入学させるんだから…
おっと脱線しました。
本来の筋書きとは違う道を歩んでいる明と麗。
本来なら嫉妬した明がヒロインをいじめて…という黄金パターンですが、そんなもん起こるはずがない。
起こるはずがないんだけど…
「どういうことか、説明していただけます?」
麗と明が通う学校と私の通う学校は兄妹校。
来月に控えた交流会の打合せで麗たちの学校を訪れたら、教室でなにやら修羅場が…
その中心に居たのが麗と明とヒロインとイケメン3人。
明は悔しそうに瞳に涙を浮かべていますが必死にこらえている様子。
イケメン3人はヒロインの後ろに控えています。
「麗、どうして私のかわいい明がその子達に責められているのかしら?」
イケメン3人をにっこりと微笑みながら睨みつけると彼らはビクリと肩を震わせた。
「久城さんが!久城さんが私の教科書を!」
ヒロインが何やら喚き始めました。
ああ、黄金パターンの教科書切り裂きですね。
「私はあなたには何も聞いてないわ。久城麗。私の兄に聞いているの」
ヒロインをとりあえず黙らせる。
私は麗の前に立ち、にっこりと微笑む。
私の笑みを見た麗が顔を真っ青にさせていく。
「麗、ここ数か月のあなたの様子がおかしいから、面倒な交流会委員になってきてみれば……ふざけているのか!?」
麗の襟元を掴みあげた私に明が慌てて止めに入った。
「雅姉様、やめて!麗兄様は悪くない!」
「明?」
「麗兄様は……麗兄様にとって私は重荷だったんです」
「は?」
「親同士の約束とはいえ、私は麗兄様や雅姉様がそばにいてくれるのが当たり前だと思っていたんです。それに甘えていた私がいけないんです」
「ちょっと待って、明。いつ、私たちが明のことを重荷だといったかしら?」
「え?だって桜庭さんが『あなたが久城先輩を縛り付けているのよ。あなた、重荷になっているの気づかないの?』って、麗兄様も否定しなかったから……」
ヒロインのほうを向く明に私は思い出した。
本来の筋書き通りなら、麗は明の事を親に押し付けられた我儘な婚約者としか認識してなかった。
だから、純粋な心優しいヒロイン・桜庭瑠璃に惹かれていった。
しかし、今の明はどこをどうみれば我儘な婚約者なんだ?
どっちかというと控えめで常に麗の3歩後ろを歩くような子だぞ?
「そう…麗にとって明は重荷なんだ…」
自分でも低い声が出たな~と思ったけど周りの驚きから思っていたよりも低い声が出たらしい。
「ちょっとまて!俺は明の事、重荷だなんて思った事一度もないし、そんな話初めて聞いた!」
麗が慌てたように言い出した。
「俺は、生徒会の奴らが仕事をしなくなったから探りを入れていただけだ。だからちょっと明と距離をわざとおいていた。明を巻き込むわけにはいかないから……」
おや、これまた黄金パターンですね。
ん?でもそれは乙女ゲームでのハーレムイベントじゃないか…
ここは漫画の世界だから麗に一筋のはz……
ああああああああああああああ!
思い出した!
この漫画……人気があってゲーム化もしていたんだった。
でもってこの世界は『ゲーム』の方の世界だったのか…
なるほど……ね。
そういうこと……
ヒロインは逆ハーレムを目指していた『転生者』さんね。
明がいつまでたってもイジメないから自分で動いたってわけね…
「麗は、いまだに明一筋ってことでいいのかしら?」
「明以外はいらん」
「そう、分かったわ」
私は明を背中に庇い、桜庭さんと対峙する。
「私、あなたにこの言葉を贈るわ。『恋人たちの仲を裂く悪女さん』」
「な!?」
「あなた、横恋慕するのはいいけど……無実の人間に罪をなすりつけようなんて最低ね」
「……!?」
「それとも、悲劇のヒロインぶりたいのかしら?自分はいじめられていますって自作自演してまで…」
クスリと笑うと桜庭さんの顔が真っ青になったわ。
まったく、溺愛している婚約者がいるという時点で気づかないなんて…
ヒロインなら何をしても許されるとでも思っているのかしら…
ヒロインにとっての攻略対象者が溺愛している婚約者側の人間から言わせてもらえば
「ヒロインこそ悪女・悪役」
ですのにね。
まあ、攻略対象者が心変わりした場合は除きますが…
麗が心変わりしたとか抜かした時は一族から締め出すつもりだったけど…心配なかったわね。
あれ以来、麗は学校内でも明にべったりだとか…
明に怒られる姿を度々見かけるとか…
まあ、幸せそうなので放っておくことにします。
余談ですが、ヒロインは転校したそうです。
ヒロインは自作自演がばれて学校に居づらくなったのでしょうね。
あの学校っていじめ対策で至る所に防犯カメラが設置されているんですよね。
もちろん、私が通う学校にもあります。
防犯カメラにばっちりと映っていたそうですよ。
自分の教科書を切り裂いたり、自分の上履きを捨てたり…
そして、イケメン君たちの恋人や婚約者をいじめていたところもね。
イケメン君たちは魔がさしていたということで恋人や婚約者たちに誠心誠意の謝罪をして許しを乞うている最中だそうです。
お読みいただきありがとうございます。
似たような作品がごまんとあるかと思いますが…
n番煎じということで…ヾ(--;)ぉぃぉぃ
溺愛している恋人がいるイケメン君を奪おうとするヒロインって、相手側から見れば悪役だよな~
という思いから浮かんだお話でした。
勢いだけで書いたのでわかりづらいかも・・・
もっと文章能力が欲しい…
脳内で思い描いたものと文章化したモノの差が…orz




