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06. たのしいキャンプ

※1:今回はいつもより長くなってしまいました。えっと文字数が8000越えらしいです。普段は4500~5500あたりが目安なんですが。ダルダルでごめんなさい。

※2:このへんから妙にイチャラブ成分が多めに含まれるようになります。すいません好きなんですゴメンナサイ

 しばらく飛び続けて結構距離を稼げたらしい。本来なら森を大きく迂回する街道を通るのだが、そんなものは無視して一直線に目的地を目指せるのが強い。わかりきってはいたけど実際に体感しちゃうとその差は歴然ってことだろうか。

 この技術を独占する学院の意図を測りきれないところはある。どういう意図なんだ?


「バカねぇ、ちょっと考えればすぐわかるでしょ?」


 いやわからないんだけど。バカでゴメン。


「いい? 本来『飛行』なんて魔法、相当に訓練した魔道士でもなければ成しえない奇跡なのよ? 千人に一人もいれば凄い成果でしょ。それがこの『棒』に魔力を通すだけで実現しちゃうなんて、インチキにもほどがあるでしょ。しかもこの速度! 革命って話じゃすまないわよ?」


 言われればその通りだけど、だったらいっそのこと魔法で飛んでるってことにしちゃえば……?


「あのね、『ここにすごい魔道士がいますよ~』って宣伝して歩きたいわけ? それでなくとも学院の生徒は魔法が使えるって宣伝して歩いてるようなものなのよ? 余計なトラブルに巻き込まれるだけでしょ」


 つまり「身の安全」のためってことか。危険は最小限にしたいし、仕方ないか。


 飛行コースは今の所森の上空だ。目立たないように慎重に、だが結構急いで移動中である。できれば綺麗な夕焼けを見せてあげたいところだが、食糧調達で森に入る必要もありそうだし、なにより夜の森は危険だと思い知らされている(主にリジーのオシオキ的な意味で)。というわけで日が暮れる前に川沿いの開けたところへ着地する。誰かに追われているという訳でもないから焚火とか普通にできるのは心理的に気楽なところだ。


「それじゃ、ちょっとその辺見てくるけど、その間に色々準備よろしくね~」


 荷物を降ろしてから意気揚々とリジーが行動を開始する。やはり動けない姿勢でじっとしているのは疲れるだろう。馬車と違ってゴロゴロ動き回れるならいいんだがそういう訳にもいかない。まぁそのぶんいじられるんですけどね!


「それじゃ準備しちゃおうか、とりあえず焚火に仕えそうな枯れ枝とか集めてくるからその間に準備よろしく」


「はい、よろしくお願いします」


 着火する道具はあるけど燃料がないとね。あまり魔力を消耗したくないのも事実だし。まぁ実感としてあまり無いんだけど結構消費しているのは事実だし。う~んと半分くらい? 飛んでいる間は減ってるような気がしたけど、多分回復もそこそこしているんだろうか。飛行テストの時の目算とは違って随分少なく済んでいる気はする。これならノインにも試させてみるのもいいかもしれない。

 まぁそういう実験まがいのことは学院に戻った後でってことにしよう。今はこのままでも問題ないんだから。


 適当に枯れ枝を拾い集める。小脇に抱える程度、だとちょっと足りないかな? そこそこの量を集めて帰ろう。一晩保たないとかシャレにならないからな。乾燥しているとはいえ結構な重さになるがそこは我慢だ。あまり詰まった枝を集めてもしょうがないんだが、煙だらけになって酷いことになるし。

 途中で赤いツブツブの実を発見する。赤くてツブツブとした、多分だが野イチゴかな? こういうのはソックリな毒もあるから注意しないと。とか言いつつ一粒つまんで舐めてみる。おぉすっぱい! 舌がヒリヒリとすることもないので多分大丈夫だろう。まぁリジーに聞いてだめだったらやめればいいか。てなわけでついでに少し集めて持って帰ろう。


 一時間くらい枯れ枝を集めてから戻ってみると、色々準備を済ませたノインが出迎えてくれた。というか準備しすぎだ。

 物体操作によって地面を抉り半径五メートルくらいの空間が堀によって覆われている。中央は少し盛り上がっていて、中心には円錐形のテントみたいなものが作られていた。

堀の深さは二メートルくらい。唐突に穴が開いているから夜に歩いてたら落ちそうだ。こえぇ。堀の底に水が流れているかと思ったが、頑丈に押し固めているらしく水どころか染みすら見えない。気合い入ってるなぁ。


 私が戻ってくるのを見かけてノインがもにゃもにゃと魔力を操作すると堀の一部がもりあがって橋ができる。もはや何でもありだな。リジーが帰ってきた時用にこのままにしておいてもらおう。


 完全に堀に覆われているので安全性は高いかもしれないが、夜中にトイレに行きたいときは不便だなぁ。なんて思ってたらちゃんと考えてたみたいだ。


「この下にトイレを作ってありますから……」


 と言われて見に行くと、ちょっと見にくいところに地下への階段が設置されていた。地下というほど深くはないところにチョロチョロと水の流れる音が静かに響く。川から水を通してそのまま下流へ流しているそうだ。この為に頑丈に押し固めて堀を作ったのかもしれない。さすがノイン、抜かりないな。


「思った以上に快適だな、ありがとうノイン。でもあまり無茶はしないでくれよ?」


 感謝は最初に、でも無理をさせる訳にはいかないから釘を指しておこう。っていうか枯れ枝運ぶだけって一番働いてないよね? うぐぐ。


「あらなにこれ! ノインちゃんの仕業?」


 驚いた声が外から聞こえてくる。どうやらリジーが戻ってきたみたいだ。急いで外に駆け上がる。

 外に出ると正にドヤ顔をしたリジーが本日の獲物、たぶんイノシシか何かだろうか? を前に突き出して得意顔である。っていうかよくこんな短時間で…… まぁ探知したんだろうけど、やっぱりリジーは有能だなぁ。真似できん。


 さて、それでは料理しちゃいますか。あまり二人に頼り切ってもしょうがないし、少しはがんばりますか。


「あぁホンジョーはそんなに頑張らなくていいわよ? 飛んでて疲れてるだろうし」

「はい、私達にお任せください!」


 っていってもなぁ、まぁ疲れはあるけどしんどいって程でもないし。


「まぁそこまで言うなら、とにかく血抜きとかしないと面倒だからチャッチャとやってくるわ」


 といってリジーは川辺に向かった。食べきらない分は干し肉にでもしておこうってことかな。計画的な部分も彼女らしい。ほんま頼りになるでぇ。


 とか関心ばかりもしていられない。適当に思いついたサバイバル術を披露しなければ! すいませんどっかのうけうりですけど出元を忘れました。


 まずは手頃な大きさの石を集めてくるか。幸い川原の近くなので簡単に集めてくることができた。それをテント中央に寄せ集める。下と周囲に枯れ枝を集めて着火。あぁあらかじめ石は磨いてあるからそこそこ綺麗だと思うよ?


「なにしてんのそれ?」


 解体が終わった肉を持ってリジーがやってくる、ノインは私の知識から既に何がしたいか想像がついているようだが少し疑問のようだ。


「それにしてもこの石の量は多くありません?」


 まぁ普通に使うなら2・3個あれば十分だと思うけどね、こっちの大きいのは目的が別だし。


「まぁまぁ、ちょっとしたものさ。それじゃ今日食べる分はこっちに入れてくれる?」


 と取り出したのは木製の鍋みたいなものだ。枯れ枝を集めている時に大きな倒木を見つけたので、物体操作の練習も兼ねて作ってみた。ある程度「ソード」で斬り分けてから、魔力を込めて叩きつけるように木を圧縮しまくって作ってみた。なので見た目より随分重い。

 食器の類も鍋と一緒に作っておいたが、あんなに重くする必要はないし結構テキトウだ。


「これに水をくんで、って何これめちゃくちゃ重いじゃない!」

「ごめんごめん、水は別に汲んできた方が楽だね。水筒があるからこっちでよろしく」


 これぐらい密度が高いと焚火にくべても簡単には燃えたりはしないんだが、火も通りにくくなって面倒、かと思うだろうがそうでもない。

 イニシシ肉、と水。そしてマーサさんにお願いして予め作っておいた香辛料や塩を固めたブロックを取り出す。鍋に一つ入れればOKってことで手間もかからず簡単なものだ。出汁とかあればいいんだけどそこまで贅沢を言うわけにはいくまい。


 まぁとにかく、肉や香辛料。あとテキトウに見繕っておいた山菜等リジーがOKを出したものを一口大に切り分けてから鍋に放り込む。

 その上にくんできてもらった水を流しいれ、材料が浸ったあたりでたき火から石を取り出す。真っ赤に変色したそれをうまく木の枝で挟み取る。流石にそのままだとアレなので一度魔力をブちあてて灰とか埃とかをふきとばしつつ鍋の中へ。


<じゅ~~~~~~!!>


 鍋が一気に沸騰し周囲に水蒸気が立ち込める。同時に薫りだすなんとも旨そうないい匂い。いやぁ調味料が使えるっていいなぁ。ひと煮立ちして落ち着いてきたところを確認してからいただくことにしましょう。



――



 一通り鍋をつつき終えて二人とも満足げだ。やはり塩が取れるのはありがたいが、こういう食生活ばかり続けるわけにもいかないからどうしようか悩みどころだな。

 お椀の中に鍋の残り汁を取ってるところをリジーに注意される。


「あんたそんなに食べてもまだ食べるの? 注意しないと太るわよ~?」


 ほんとにニヤニヤと、まぁ言いたいことはわかりますがこれをしませんと落ち着かないのですよ。といって昼に食べずに残しておいたオニギリを取り出し、お椀の中に突っ込んだ。まぁオジヤですね。鍋の時ってやりたくならない?


「あぁ、これがオジヤという食べ方ですか。そういえばホンジョー様はこの食べ方もお好きでしたね」


 そこは大いに賛同する部分ではあるがあまり私のことをベラベラと…… まぁリジーにならいいか既に色々ばれてるってレベルじゃないし。


「へ~、どういう食べ方もあるの。なんかリゾットみたいな感じね」

「煮詰まったスープの美味しいところを楽しめる食べ方だそうです。あ、一口頂いてもいいですか?」


 そう言われちゃうと流石に断りきれない。てなわけでスプーン(木製、これもさっき作った)で取り分けて食べさせてあげよう。差し出した瞬間、一瞬躊躇したみたいだが意を決したようにパクンの一口。あれ? そんな恥ずかしいことし…… してたぁ!

 いかん、あまりに自然にやってしまった。これは恥ずかしい。


「……お、おいしいです……」


 あぁうん、ちょっと気まずいね。お互い顔真っ赤だね。うん。


「ホンジョー、あたしも~」


 当然そうですよね、ここでお椀ごと渡して逃げたらどういう目にあうかわかってますよね? って見ないでくださいやりますから。


「あぁ、あたし猫舌だから熱いの苦手なの。ふーふーしてからお願いね♪」


 はいはい、ほんとやりたい放題だなこの人。言われた通りにフーフーと少し冷ましてからスプーンをリジーの口元へ。少し緊張してるのかスプーンの先がブルブルと震えているのがわかる。

 と思っていたら差し出した手をリジーが両手でガシッと掴んで固定した。そこまでやらんでも…… そのままパクッとスプーンごと食べそうな勢いでかぶりつく。スプーンを口から放すと口の中で回すようにタップリと堪能していたようだ。


「でもほんと美味しいわね。それもうちょっと頂戴よ」

「あぁ次は私の番ですから~」


 いやもうちょっと待ってよ。次って私の分はどうなのよ?


「無いわよ?」

「一口食べます?」


 取り上げ前提かよ。教えるんじゃなかった……



――



 日も暮れて腹も膨らみ二人がまったりとしているところ、私は一人川辺にやってきていた。物体操作の練習をするといってきたが目的は全く別だ。川原でキャンプといったらアレやるしかないでしょ!


 というわけでまずはテキトウな遮蔽物になる土壁を作成する。一メートル、くらいじゃちょっと足らないか。少し頑張って大き目の、幅三メートルくらいの土壁を作ってみる。途中に荷物が置けるくらいの棚をいくつか用意するという細かさっぷりだ。強度が多少心配だが今だけ持てばいいし気にしなくてもいいか。

 こんな壁を作れば当然だが地面が抉れる。これも計算済み。というか意図して川辺に穴をあけてみた。川の近くだけあって掘れば水が出てきちゃうがそこはあまり気にしない。というかこれから水を入れるわけだし。

 穴の一部を崩して川の水を流し込む。いい感じになってきたのでへりを元に戻す。このままではただのみずたまりになってしまう。というわけで傍で用意し直していた焚火から石を取り出して放り込む。さすがにグツグツといった音は響かないが石からジューっと凄い音が出てきた。

 ちなみに鍋のところから持ってくればいいと思ってたんだけど、持ち運ぶ間に結構冷めちゃってあまり効果的じゃなかった。ぶっちゃけ足りなかったんだ。いやぁ空気の熱伝導率舐めてたわぁ。てなわけで傍でたき火をして温め直してたのである。こっちも魔力で片付ければいいかと一瞬思ったけど、焚火を追加する方が明かりになるし一応便利だしね。


 さて、これでキャンプの憧れの川辺に作る露天風呂が完成である。


「ほんとあんた風呂好きよね~ なにもこんなところでまで入ろうとしなくてもいいじゃないの」

「でもこういうところだからこそ入りたくなる気持ち、私わかります」


 呼んでもいないのに二人が声をかけてきた。もうちょっと驚かせたかったんだが既に行動が読まれていたっぽい。少し残念である。


「まぁそういわずに。二人も入ってよそのために大きくしたんだ……し……」


 うん、既に入る気だったらしく二人ともまっぱだった。


「んじゃホンジョーも入るわよ~」

「いやまって服は一つだけだから! 濡れたら乾くまで着るものないから!」

「それじゃぁ脱ぎ脱ぎしましょうね~ ほらノインそっちつかんで!」

「はい、それじゃぁえっと失礼しますねっ!」


 いかんいかん、流されてはいかん。ここは外なんだ。日本とは違う危険なところなんだ!


「ダメだよ! 誰かが見張ってないと何かあったらどうするんだよ?」

「大丈夫よ、ちゃんと危険察知はしてるからっ」

「というかホンジョー様が一番風呂に入らなくてどうするんですかっ!」


 いかんこの二人にかかると何でも言いくるめられそうでやばい。なんとか押しのけて…… 押し?

 両手に伝わる気持ちのよい柔らかさ。二人とも衣服は身に着けておらず肌の感触がダイレクトに伝わってくる。空の上でたっぷり味合わされた布越しのそれとは違ったなめらかというか柔らかな感激にも似たのの手触り。

 右手に伝わるリジーの包み込むような柔らかな弾力。ついこのまま味わい続けたくなる魅力に満ちていた。

 左手に伝わるノインの暖かな感触。この手のひらにジャストサイズといった慎ましさは彼女自身の奥ゆかしさと相まって魅力百二十パーセントを引き出す最終兵器と言えるだろう。やばい、両手が幸せ過ぎる。


 と一瞬我を失っていたが、二人の目線で現実に引き戻される。あぁそんなつもりだったような気がするけど今はそんな気持ちじゃないんだ!


「ご、ごめんわざとじゃないんだ! 本当にごめん俺見張りしてるから二人はのんびりしててね!」


 慌てて手を放しつつもその場から逃げ出す、いいじゃんそんなヘタレでも。あぁでもこれだけは言いたい。神様ありがとう。



――



 二人が風呂から出てきた。少し上気したその頬が本当に綺麗に見えてまぁどうしましょう。落ち着け俺のジャキガンみたいなあれ。いやマジで勘弁してください。


「あんたも入ってきたら? 大丈夫襲わないから」

「はい、あまりに快適だったので少しハメを外し過ぎてしまいました。申し訳ありません」


 なにやら二人で話し合っていたんだろう。いやそれにしてもアレ以上にならずによかった。


「えっと…… ほんとゴメン。あんなつもりはなかったんだけど…… 本当にゴメン」


「まぁまぁ、こっちも楽しんだからお相子ね。まぁあまり危険はないだろうけど油断してるわけにもいかないのは事実だし。あんまり長湯してないでね」


「心配でしたら私もご一緒に」


 いやそれこそ心配だから!


「大丈夫、一人でできるから」

「何がよ」


 いや風呂くらい入れますよ? というかこの中で一番風呂に入ってますよ? 生活習慣的な意味で。


 あまり色々と話していると藪蛇っぽくなりそうだから、とにかく一人で入るからとノインを黙らせてから移動する。




 いやぁいいなぁ、月を眺めつつの露天風呂ってのは素晴らしい。雲一つない。なんというか絶景って感じだ。川辺をたゆたう一枚の木の葉にでもなったかのような気分である。

これで酒でもあれば万全といいたいが、そんな贅沢なことをしにきた訳ではない。まぁ旅行の一つの楽しみってことで。次はなんか考えよう。


 風呂から上がってくると起きているのはリジーだけだった。ノインもこんなテントを作ったりとかなり疲れたんだろう。


「あんたもあまり無理しちゃだめよ? 明日も大変なんだから。っていうかホンジョーが一番疲れてるはずなんだからちゃんと寝るの。わかった?」


 あまり実感はないが、こういう疲労は目に見えた時が一番怖いとも聞く。ここは素直に従っておくべきだろう。途中で起きて交代してリジーにも寝てもらわないといけないんだが。


「夜の見張りはノインちゃんと交代でってさっき決めたの。だから彼女は先に寝てもらってるの。大丈夫、明日の移動中は二人とも寝かせてもらうから」


 寝ても大丈夫なようにベルトを作ってもらったんだけどね、実際飛びながら寝てた気はする。途中から大人しくなってたから多分そうだ。興奮した後って疲れるからね。


「わかった、ありがとう。でも何かあったら起こしてね? 無茶だけはしないで」


「ん、わかった。おやすみ」


 焚火を背にしてくるりと横になる。地面の上に直接寝ないで済むのもありがたい。ゴロゴロしてちょっときついんだ。とにかく明日までに回復しないとね。



――



 チュンチュンという鳥の鳴き声に目を覚ます。どうやらもう朝らしい。


「おはようございます」


 見張りが交代していたのかノインが声をかけてくれた。そばでリジーが眠っている。起こさないように小声で挨拶ってことか。


「おはよう。昨日は何か無かった?」


「獣が何匹か見えましたけど、土壁を作ったりしてうまく誘導して諦めさせました。無暗に殺生しても私達で食べきれる気はしませんでしたし」


 殺した分は食べる、逆に食べない分は殺さない。森を通る上で決めたルールだそうだ。リジー曰く「私達は猟師じゃないの。食べる分だけ頂ければ問題ないでしょ? というか持ち運べないし」 そりゃそうだね。趣味で狩りに来てるわけじゃないし。


 持ってきていたパンやチーズに昨日の肉を挟んで軽い朝食を用意する。やっぱり胡椒が欲しいな。塩だけだと味も飽きてくるし。木鍋でお湯を用意しつつリジーを起こす。簡単なハーブティみたいなものを準備してこんなところか。と、ここで思い出してリジーに野イチゴを見せてみる。


「おぉ! あんたこれどこで見つけたのよ!」


 思った以上のかぶりつきであるが、食べる以上に取らないの原則を話すとすこしガッカリしつつも諦めてはくれた。まぁ案内しようにも感覚でしか覚えてないからちょっと難しいんだよね。


「グラムベリッシュはなかなかの貴重品なのよ? ちゃんと味わって食べなさい」

「こ、これがあの幻の……」


 そこまで貴重品なのか、ちょっともったいないことをしたかな? まぁいいや、次の機会があるでしょ。



 朝食の後でこのテントをどうするかを話し合ったが、帰りにここを通るかもしれないってことで一応残しておくことにした。ただし堀に気が付かずに落ちるものがいるかもしれないということで、軽く埋めておくことにした。お風呂はそのまま、でもいいが目隠しの後ろに誰か隠れててもイヤなので崩しておいた。あの程度ならすぐ作れるし問題ないでしょ。


「それじゃ、今日は飛ばすからちゃんと捕まっててね。目標は宿場町だ!」

「いや、ここからだと普通は一か月かかるから」

「大丈夫です。ホンジョー様なら!」

「いやまぁ気分だけね。野宿も案外快適だったし」

「男が言ったんだから実行しなさいよ!」


 うん、頑張る!



 夕方に差し掛かったころ、宿場町に近づいたので森の中に着地して徒歩で入る。いやほんと到着できると思わなかった。結構飛ばしまくったからなぁ。途中の休憩を半分に減らしたのも大きかったんだと思う。あと二人が寝てる間はかなり無茶な速度が出てた気もするよ。まぁ着いたからいいでしょ。


 こうやって腰から取り外してしまえばただの棒にしか見えない。椅子も折りたたんで荷物の一部にしちゃえば全く気にならなくなるし。ほんと借りてきてよった。一部問題があったがそのうち語るかもしれないけど。今は宿を取るのが先決だ。



流石に移動中の野営中なので控えようという意見で合意を得たらしいです(意味深

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