罰罰罰罰っ? Fri end Angle 9/21 13:13
蒲公英と取っ組み合いの喧嘩をして、一方的殴り続けた七竈は、近くにあった森林で一夜を過ごし、雨がやむのを待った。
夜遅くに雨は止み、夜が明け、太陽が少し上り始めた頃、ふらふらと歩きだした。その足取りはおぼつかないもので、時々、何かにつまずいて、顔から地面に激突することが何回かあり、顔は擦りむけ、鼻血がでている。それでも、気にせずに、どこかへ、引き寄せられるように向かっていった。
そして、たどり着いた。
そこは、七竈と蒲公英が靴飛ばしをした公園だった。その公園にはブランコに座っている一人の中学生くらい女の子以外、誰もいなかった。
「あら、案外、早くついたのね」
ブランコに座っている女の子が七竈が来たことに気づいたようだった。その女の子の口調は大人びいていて、どこか、鋭利な冷たさを感じる。見下している、ような薄暗い冷たさを。
「うふふ。やっぱり感情なんて、余計なものなんて、ニエにはいらないわよね? 肥えさせるために必要なものは、餌と飼育環境くらいだもの。それ以外は全部、無駄な嗜好品よ」
七竈は、ふらふらとブランコに座った女の子の前まで行き、その場でしゃがんで、女の子に対し、頭を垂れた。
「あなたは、わたしの為によく頑張ったわ。大好きな友達をあっさりと裏切って、あそこまで絶望させるなんてね」
その女の子は七竈の頭を抱き寄せた。その顔は不気味に微笑んでいた。
「あなたが十分に肥えたら、その次に、あの魔女を燃やす能力を持ったあの子の能力を奪ってね、そして――――」
憎い、お母さんとお父さん。
憎い、わたしの弟――葛。
そして、お母さんに愛された、すべての魔女を、
殺すの。
「楽しみよ。すごく楽しみなの。あいつらの業火の火で体が燃え上がり、熱さとただれる皮膚の痛みの苦痛に歪める顔が。だから、わたしの願いの為に、あなたは、自分の命をわたしに捧げてくれる?」
この七竈は、もうあの頃の、七竈ではなくなっていた。
この女の子の能力によって、記憶も、感情もすべて、消されて、女の子の人形と成り果てていた。鞠藻もそのような状態に一時なってしまったが、光の物理的攻撃によって脳が破壊され、新しく再生し、途中で介入し、鞠藻を助けた鈴の能力によって新しい人格を植え付けたおかげで、人形にはならずにすんだのだ。
七竈は顔を上げ、焦点の定まらない虚ろ目でその従える女の子をみた。七竈の目から一筋の涙がこぼれた。その涙は、地面に出来た小さな水たまり落ち、なくなった。
それが、最後の七竈の感情だったのかもしれない。
七竈は感情も抑揚も何もない、機械のように言った。
「わかりました。あなたの言う通り、この身を捧げます」
「ばにらさま」
そう言われその女の子――ばにらは微笑んだ。
こうして始まりの物語は、最悪へと進んで、逝く。
To Be Continued〈 Three Peace And ... 〉
二章、最後までお読みいただきありがとうございます。
この二章は、一章で名前だけしか出てなかったキャラを出そうと思い、書いたものでした。前の章と同じで主人公は決めてないので、勝手に決めちゃってください。
本当は三部作くらいが丁度いいと考えていたのですが、この二章のせいで四部作になりそうです。あと、二部書き終えられるのかすごく心配……。
三章は夏ごろにはと思っていますが、ノープランなので、続きを期待されている方は気長にお待ちください。
こんな駄文を最後までお読みいただきありがとうございました。三章も前の章よりも面白いものを作りますのでこれからもよろしくお願いします。