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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第二章 Mywonderworld Breaker
92/121

ばらばらっ! Friends Angle 9/20 16:35

誤字脱字等有りましたら指摘お願いします。

「ねぇ? ぽぽ」

「なぁに、なな?」

 降りやまない、雨の中、出会った二人は、十字路に立っている。彼女たちは話し合っていた。

「あたしは、あたしたちが幸せになるために、やったの。そうしないと、これから先、絶対に二人だけでは生きていけないから、仕方がなくやったの」

 七竈が泣きながら、掠れそうな声で言った。雨の音が微かに七竈の声よりも負けているくらいの音量だった。

「……何それ? そんな曖昧に話さないで、もっと具体的に話してよ」

 曖昧な答えを信じれるはずもなく、蒲公英が追求する。

「駄目。それは絶対に駄目。深いところまで、ぽぽが知ったら、ぽぽも殺されちゃう!」

 ヒステリックに、高い、切り裂けそうな声で七竈は叫んだ。蒲公英は、その様子から、察したことを話した。

「誰かに脅されて、女の子を襲ったの? だから、能力を持った女の子たちまで殺していたの? なら、ななを脅した奴を二人で殺しにいこうよ? 二人なら絶対に殺せるからさぁ?」

「違う。そういうことじゃない! 脅されてやった訳じゃないっ!」

「じゃあ、なんなのっ!? はっきりと教えてよっ!?」

 今度は、痺れを切らした蒲公英が叫んだ。その声に驚き、たじろいだ七竈は、決心したように言った。

「あたしが、蒲公英を守るために、強くなるために、食べてた」

 そういうと蒲公英はすぐに返した。

「嘘! そんなの嘘に決まってる!」

「じゃあ、なんて言えば納得してくれるの!? 好きで食べていましたって言えばいいの!?」

 何を言ってもわかってくれない蒲公英に対して、逆に七竈がキレた。

「そういうことじゃないっ! ただ、本当のことを話して欲しいだけ!」

「だから、本当の話をしたじゃんっ! 強くなるために食べたって!」

 にらみ合いが続き、お互い一歩も引かない状態が、当たりが暗くなるまで続きそうだった。

「これじゃあ、きりないね」と七竈がいい、「うんそうだね」が同意した。

「ねぇ、なな」

「なに、ぽぽ?」

「あのとき、覚えてる? わたしたちが魔女になったときのこと」

「……うん、覚えてるよ。――忘れたいけど」

「わたしもそう。でも、あの時にした約束が、決意が、今のわたしの生きる糧になっているの。一番嫌な出来事だったのに、わたしの一番の物と結びついて、離れなくなってるの。でも、それでも良いって思っている。わたしがこの決意を破ってしまったら死んでもいいって、そもそも、わたしはあの時死んだんだから、別にかまわない。死ぬことよりも、約束、決意を果たせない方が何十倍もつらいの――だからね、わたしはあの約束を、決意を守りたい。わたしたちみたいな、人が少しでも減って欲しいと願っているから――ななは、そう思ってくれていたよね?」

「…………」

 蒲公英のあの時の決意を聞いた七竈は、口を閉ざし、黙ったままだった。 

「もう……、いいよ」

 蒲公英は、一呼吸置いてから言った。

「じゃあ、なな、喧嘩しよ?」

 そう素っ頓狂なことを提案され、七竈は首を傾げた。

「……へ? 喧嘩?」

 蒲公英は大まじめに言う。

「うん、喧嘩。能力も道具も使わない、素手で殴り合うだけの喧嘩」

「……拳で語り合うってやつ?」

「そう。話し合いで解決しないなら、もうこれしかないでしょ?」

 そう断言された。それが少しおかしくて、七竈は少し笑った。

「男の子っぽいよ? その考え」

 二人は久しぶりに感じられる程、同時に笑った。

「わたしが勝ったら、女の子を食べなくちゃいけなかった理由を話してね」と蒲公英は早速、賭をするようだった。

「その前に、どうやって、勝敗を決めるのさ?」

「倒れて殴れなくなったら、負け。最後まで、立っていた方が勝ち」

「オッケー。足は使っちゃ、駄目なんでしょ?」

「うん、足まで使ったら、殴り合いじゃない」

「わかった。じゃあ、あたしが勝ったら……」

「勝ったら?」

「……その時に決める」

「そう、じゃあ、始めよう」

「うん」

 そういって、蒲公英と七竈は、殴り合いの喧嘩を始めた。


 運命の分かれ道の真ん中で。


 †


「やっぱり、葛に気づかれていたわね。こちらに感知されないように能力を押さえながら、首切り飛蝗と離れて動いていると思ったら、面倒なことをしてくれるじゃないの。気づくのが遅れて、見つかるところだったわ。ニエを肥えさせる餌を増やそうと捕獲員を呼び寄せるために、放った狂犬は、首切り飛蝗に駆逐されちゃうし。せっかくの時限爆弾も、魔女草ストライガの鈴に、記憶を変えられて盗られちゃうし。いっそ、新しい犬でも増やしましょうか。でも、そうすると、手に余っちゃったりして、飼い犬に手を噛まれちゃう、なんてことになったら、癪だし……。まあいいわ、諦めることにしましょう。高望みはしないで、ニエをちゃんと肥えるまで育てないとね。葛に邪魔されて、殺される可能性も高いから、大事に肥えさせないと。本当にその時が来るまで楽しみだわ……。それにしても魔女草ストライガは邪魔ね。葛がバックについてるから、今は、潰せないのよね……。うん、魔女草ストライガの件は、まだ、ほっとくことにしましょう。今の私には、何にも出来ないもの。でも、その内、必ず潰してあげるから、楽しみにしていないさいな」

 今から喧嘩しようとしてる二人から、離れていく。

「ああ、それと、この喧嘩は、私が介入してあげるわ。もちろん最悪な方向に」

 笑っていた。


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