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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第二章 Mywonderworld Breaker
90/121

ばらばらっ! Konara Angle 9/20 16:14

誤字脱字等ありましたら指摘お願いします。

 私は、あの赤髪の魔女に食べられる瞬間、命からがらぽぽと呼ばれていた金色の髪の女の人につれられて、魔女と私の家族の死体がある自分の家からどんどん遠ざかっていきます。時折、あなたを家まで送った捕獲員は、こっちに向かったんだよね、と訊かれて、私は多分と曖昧に返しました。

「あの……」と私は訊きました。

 この人に何をされるのか、混乱して、もう何がなんだか、分からなくなってきたからでした。

「これから、何をするんですか?」

 ぽぽと呼ばれた人は、振り向かずに、立ち止まります。

「わたしは、何をしたいんだろう?」

 雨に打たれて、金色に染めたと思われる髪が、濡れていくの私は見ていました

「ななを許したいの? 仲直りがしたいの? それとも、もう一生会いたくないの? 許したくないの? それがわからない。全部がぐちゃぐちゃで、こんがらがって、どれが自分の本心で、どれが正しいくて、納得ができるのか、わからない――」

 ああ、そうか、この人も迷っているんだ。私と同じように、嘘ついて、嘘つかないで生きることが正しいと思いこんで、罪悪感を背負い込んで生きてきた人で、ちょっとしたことでも、躓いてしまう人なんだ。だから、大きな壁、いや、世界の現実を突きつけられた時に、自分という姿が見えなくなってしまう――

「……どれでも、いいんじゃないですか?」と私は、ついに口を出してしまいました。

「正しい、だなんて、ありませんよ。全部、それで都合が良ければ、それでいい、痛み分けの世界なんです。それで、誰も、大きな損や得をしなければ“正しい”事なんですよ。だから、誰一人も本当に正しいことなんてしていないんですよ」

 ぽぽと呼ばれた金髪の女の人はこちらを向いて、空元気に笑いました。

「……それ、嘘だよね?」と女の人はいいました。

「そうだといいですね」と私は皮肉を込めていいました。

 女の人は、また笑いました。こんなわたしよりも、小さな子に諭されるなんて、と言いながら笑いました。私はどこがおかしいんだか分かりませんでしたが、何となく分かった気もしました。

「そうだね。そうなるといいね」

 女の人は私に何故か、ありがとうと私にお礼をいいました。私はよく分からず、どういたしましてと返します。

「そうだ、握手しよ」

 突然、女の人はそういい、言われるがまま、私は握手をしました。当然、金髪の女の人の手は氷のように冷たく、一瞬ヒヤっとして、驚くと同時に、やっぱり、この人もそうなのかと、思いました。

 ふと耳を澄ますと。誰かがこちらに向かってくるようで、速い心臓を打つ鼓動が、徐々に雨の音に紛れて聞こえてきます。この音は、きっと鬼灯さんのものですしょうか。どうしてだか駆けつけてきてくれたようです。

「捕獲員がこっちに来ますよ」とこの人は捕まってほしくないと思い、言いました。

「じゃあわたしは、ななのところに戻って、ちょっと話し合いしてくるね」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないよ。でも、これで終わりなんて、納得がいかないから、迷っているんだろうね。きっと」そう金髪の女の人は決心を決めたようにいいました。

「あの、最後に名前を訊いてもいいですか?」

「うん。わたしは春崎蒲公英。十七歳で――魔女だよ」

 瞼を腫らしながら、精一杯の笑顔で私に答えてくれました

「かわいい名前ですね」

「ありがとう。こならちゃんもね」

 そう蒲公英さんが言うと、指をぱちんと鳴らします。


「バイバイ、こならちゃん。また会う日が、来ないといいね」


 †


「おい!? 大丈夫か!?」

 誰かが私を揺さぶっています。

「くしゅんっ!」

 私は大きなくしゃみをしました。大分雨に打たれ、体が冷えたみたいでした。

「風邪引くぞ」

 私を揺さぶっていたのは鬼灯さんだったようで、鬼灯さんは着ていた上着を私に羽織らせました。同じように雨に濡れて、湿っていて生ぬるくく、あんまり意味がないように思えました。でも、それが、今の私に必要なもののように感じもしました。

「ああ、そうか、わたし、一人ぼっちになったんだ」

 ありきたりな大切だった日々は、全部とは大げさ過ぎますが、半分以上無くってしまったのです。大切な家族や、大切な友人、そしてもう戻ることがない日常、それが今すべて、思い出として、過去になって、現在には何も残っていないのです。

 ばらばらになってしまったのです。

「もう……、会えないんだ」

 急に胸から、錆び付いた心臓から、血が流れ、感情が爆発し、火山が噴火するように、あふれだしてきました。止めどなく、あふれる悲しみ、嘆きが、寂しさが、耐えきれない程になって、決壊し、涙と声という形となって、吐き出されました。

「おい、大丈夫か……」

 大人なら、それなら残りの半分がまだあるのだから、それらを無くさずに大切にしろっと言います。でも、世界は、半分を失ったままでは、うまく回ることはできないのです。地球だって、半分に割れたら、崩壊するに決まってます。それと同等のものなのです。それくらい大事で壊れたら収拾のつかないものなのです。

 “大切なものは無くしてから、大事だと気づく”

 よくJ-POPの歌詞で使われる、ワンフレーズが頭に浮かびました。全くその通り、失わない限り、その言葉は、ただのよく使い回される定型文にしか思えないと知りました。

「どうして、大切なものって、無くしてから、大事だって、気づくんでしょうか……」私はつっかえながらも、口に出して、鬼灯さんに訊いてしまったようです。

「それは、なくさないと、そのものの価値がつけられないんじゃないか。裏を返せば、思ってなくても、感じてなくても、当たり前が一番大切なんだってことじゃないか」

 鬼灯さんはそう答えを出してくれました。確かにその通りで、すべてが、私にとって、大事だったのでしょう。だから、無くした時にこうやって、泣いているのですから。


 私の大切と思えなかった大事な世界は、崩れて、更地になり、そこに記念碑が建てられ、私は、ただ、それを懐かしむように感慨にふけりながら、続く新しい世界から、見続けるのでした。

皆様のおかげで20,000PVを超えました。本当にありがとうございます。

目も当てられない程の文章、展開ですが、これからもよろしくお願いします。

余力があれば、こちらを書かずに書いていた「defectIve chIldren」の方も、読んでやってくださいな。


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