おうのうっ! Friends Angle 9/20 12:16
誤字脱字等ありましたら指摘お願いします。
「ねぇ? ぽぽ」
「なぁに、なな?」
「昨日の銭湯、かなり気持ちよかったよね」
「うん、すごく気持ちよかった。毎日入りたいな〜」
さっき起きたばかりで、ちょっとだけ寝ぼけている蒲公英と七竈は、六畳の部屋でゆっくりと今日の予定を決めていた。。
夕食の豚を食べ終えた後、蒲公英と七竈は返り血で濡れたジャージを脱ぎ捨て、七竈が買ってきた新しい服に着替えた。蒲公英が黄色いパーカーで、七竈が赤いパーカー、お揃いの青の長ズボンだ。ついでに下着も替えた。古い下着は、買ってきた黒いゴミ袋に入れてコンビニのゴミ箱に捨てた。それ以外はコンビニを見つける度に分けて捨てた。
下着も新しい物になって、さっぱりして気分がいいのか、上機嫌な二人は、街灯によって照らされた夜道を鼻歌を歌って歩きながら、目的である、生まれたばかりの魔女の元へ向かう。その途中で、蒲公英が銭湯を見つけた。奪ったお金もまだたくさんあるので、お年頃の二人は躊躇いなく銭湯に入ることにした。特に怪しまれることもなく温泉に入ることができた。質の良いお湯を存分に堪能し、二人は大満足、ほくほくになって銭湯を後にした。そして当然のように眠くなった二人は、今日はもう魔女の元へ向かうのは諦め、どこかゆっくりと寝られる、泊まれる場所がないか探し、七竈が小さな一件家を見つけ、そこでぐっすりと寝たのだった。
ちなみにその家の持ち主は四十代の小太りの雄豚で、酒にべろんべろんに酔っていて、夜道をふらついていた七竈を家出少女と勘違いし、売春しようか、セクハラしようとしたのか分からないが、生理的に無理な声で、声をかけてきたのだが、七竈は、せっかくの良い気分をその声で台無しにされてイラっときたのか、その首をへし折って、無償で泊まらせてくれると首を縦にぶらぶら振らせた。その好意に二人は甘え、雄豚が持っていた免許証から住所を割り出し、家まで向かった。その雄豚は一人暮らしだったので、何にも遠慮せずに、一晩泊まったのだった。その雄豚は今、お湯も張られていない浴槽に、首をあり得ない方向に曲げながら一晩中入っている。
「これから、昨日生まれた魔女のところに向かうんだよね?」と蒲公英は探して持ってきた鏡を見て、手櫛でぴょんと跳ねた寝癖を直しながら訊いた。
「うーん。ほかにも魔女やら能力者がたくさんいるんだよね。昨日の内に増えたみたい。魔女草の魔女が二人、普通の魔女が二人、能力者が六人、あとよく分かんないのが一人」とテレビの目の前に座り、今日一日、雨か〜と落胆している七竈がいった。
「たくさんいるねぇ。最後のは、何?」
「あたしにもよく分かんない。能力は強いんだよ。だけど、魔女っぽいけど、魔女じゃないし、能力者でもないし。うーん。ごちゃごちゃ混ざった感じ?」
「もっと具体的に言ってよ」
「それが分かんないんだってば」
子供が騒ぐように七竈はブーブー言った。蒲公英はこれではらちがあかないことはわかっていたので追求するのを止めた。
「ふーん。ならいいや、で、それは食べるの?」
「怪しいから食べない。能力奪えるかどうか分からないしね。魔女草の魔女はね、できればかじりたいけど、返り討ちにされるかもしれないから止めとく。一人の魔女は、強くなる能力もってるみたいだからかじりたい。それに探せる能力を持ってる能力者もいるからそっちは絶対に食べたい」
「捕獲員じゃないの? それ?」
蒲公英が訝しげにいう。まだ二人は七竈のステルス能力によって機関にみつかっていないため、魔女としての名前をつけられてもマークもされていない。
「二人いるんだけど、一人は周りに違う能力者が三人集まっていたから絶対に捕獲員。もう一人は、もし捕獲員だったら、能力的に一人でいるのはおかしい。だから一般人。一般人の方が良い能力もっているみたい」
「どっちを食べるの?」
「どっちも食べるの」
七竈は欲張って言ってのけた。
「両方、女の子だったら止めてね。可哀想だから」
「えー、そんなのもったいないじゃん」
「もったいなくない。なな、そんなことしたら絶交だからね」
「はーい。分かってま〜す」
七竈が急に何かを感知したようでニタニタと笑みを浮かべている。
「なな、どうしたの?」
「近くで、強くなる能力を持っている魔女と、捕獲員の探せる能力もった能力者が出会ったみたい。きっと交戦になるね」
「ななのことだから、今からそこに向かうんでしょ」
「うんっ! 一石二鳥を狙ってっ!」
蒲公英は寝たりないのか大きな欠伸しながら、鏡に映る自分の顔から視線を移し、満面の笑みで目をキラキラさせながら語る七竈を涙目で見ていた。
「ねぇ? ぽぽ」
「なぁに、なな?」
「魔女になって良かったと思う?」
そう訊かれた蒲公英は当たり前にいうのだった。
「良かったよ。そうじゃなかったら、女の子に乱暴する男を殺せないじゃん」
七竈はその返答に嬉しそうに反応する。
「だよねっ! そうだよねっ!」
「そうだよ。絶対に」
「じゃあ、あたしたちもさ、魔女草みたいにチーム名考えない?」
蒲公英はどうしてその話に発展するのか理解に苦しんだが、毎度のことなので突っ込むことは無かった。
「どうして?」
「かっこいいからっ!」
蒲公英は少し考えて「まだいいよ」と言った。
「なぁ〜んでよ〜。かっこいいじゃんか〜」
七竈が駄々こね始める。
「わたしたちに魔女としての名前がついたらにしよ。その方が知名度が上がるって」
「…………確かにそうだね」
「うんうん。ななはすぐ理解してくれるから偉いね〜」
「子供扱いしないでよ〜」
区切りの良いところで無駄話を終えた蒲公英と七竈は、急いで暴力の魔女こと、葉々子と捕獲員の陸前伊達、そして、探索系の能力を持つ夜歌あさがおの元へと向かった。