おうのうっ! Hunters Angle 9/20 11:42
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機関の捕獲員、伊達、光、鬼灯、あさがおの四人はインターチェンジから、すぐ側にあったホテルに泊まり、伊達が機関に暴力の魔女と魔女草の魔女が付近にいるとあさがおが感知したことを報告した。
あさがおの探索系の能力は、いわば人に発信機をつけるようなもので、一度、あさがおに見られた魔女(ただの人でもできる)は、能力によって見えないマーカーをつけられ、あさがおの近くにくれば、感知されてしまう、という仕組みの能力だ。しかし、あさがお自身では、生まれたばかりの魔女や、未だに機関にすら確認されていない魔女、あさがおが会っていない魔女は見つけられないので、探索系の能力としては低い部類になる。
伊達は、上から当然のように暴力の魔女だけ捕まえてこいと命令を受けた。魔女草の自衛隊と警察をつぶした魔女二人を捕まえるに、たった四人だけでは、絶対に不可能であるのと、やられた方の面子もあるのか、色々のな意味がはらんでいるため、そちらは、何もせずに放置しろと言われた。さわぬ神に祟りなし。こちらが何もしなければ魔女草も、こちらにさらに何かを危害をくわえる意味もないからだ。
そこまで報告したところで、日付が変わっていたので、四人は明るくなってから行動することにした。まあ最初からそのつもりでいたのだが。
魔女も、能力やら人を食べるやら、取っ払えば、しょせんはただの世間知らずの思春期の少女。夜遅くまで起きていることはあっても、夜中に一人で出歩くことなどまずしない。しかも追われている身になったとなればなおさらだ。
「僕だったら、夜に餌を探しに行こうと考えますね」とあさがおが発言し、「夜、出歩いたら、普通は補導されるだろ。魔女なったからといって、急に成長するわけじゃないからな」と伊達が突っ込み、それもそうですねとあさがおは自分の意見をすぐに捨てた。
その一方、光は浴室で自前のスローイングナイフを研いで、明日の準備をしていた。鬼灯の方は、色々と光の相手をして、疲れていたので、先に丸くなって寝ていた。
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次の日、ホテルをチェックアウトして、あさがおの方角のみのナビゲーションで魔女に徐々に近づいていく。途中、コンビニで朝食を買う為に立ち寄ったのと、燃料補給の為にセルフのガソリンスタンドに寄ったりした。
あさがおが、地図が欲しいので本屋とかによってくださいと運転している伊達に言った。何分か走っていると本屋らしき看板をみつけ、そこに寄り、あさがおは車から降りて地図を買いに行く。
「こっからは歩いて行った方がいいですね。感知した場所からして、暴力の魔女はどこかの家の中に隠れていると思います」
戻って来るやいなや、あさがおは買ったばかりの地図を片手にそう残りの三人そう言った。
「それから、交番で魔女が出没したと警報が回っているか聞かないとな。普通にジョギングや犬の散歩している人がいるから、まだ魔女がいるって情報が行き渡ってないような気がする」と伊達がいい、「じゃあ、交番に聞きに行くのと魔女を見つける方の二手に分かれましょうか」と光が提案する。
「それじゃあ、光とあさがおが魔女を捜しに行け。俺と鬼灯が交番やらにいって確認してくる」と伊達が言った。
「あさがおとなんて、嫌ですよ。守りながら戦うなんてオレ、できませんって。というわけだから、鬼灯。一緒に来い」そう光が自分勝手に言い、一人歩いて魔女の元へと向かう。大体の場所はあさがおが言っていた方角から推測できるので、どこへ向かえばいいか知らないわけではないが。
「これだから詩髪姉弟は…………。鬼灯、ついていってやれ。あと、あさがおから地図もらっておけな。なんかあったら俺のケータイに電話くれ」
伊達は頭を抱えながら、鬼灯に指示した。あさがおは地図に大体の感知した位置を大ざっぱに丸で書き込み、鬼灯に頑張ってくださいと労いながら渡した。鬼灯は、ああとこの先の事を思い、気が重いのか、少し暗く言い、急いで光のあとを着いて行った。
「……光はもっと集団行動を乱さずにやって欲しいんだが」と伊達は愚痴をあさがおに対して漏らし、あさがおは「あの戦闘狂には難しいんじゃないですか」ともっともなことを言った。
「それとふりまわされている鬼灯が、グレないか心配なんだよ………。ほら、あいつ、帰ってからも、百合子に茶化されているだろ?」
「その前に、大体の原因が伊達さんがもっと上司づらすればいいのに、良い人ぶってうやむやにしているからですよ」
「それは…………、まあ、俺の能力のせいで、ちょっとな」
「えーと、伊達さんの能力って、触れた人の頭の中の記憶を全部読めるってヤツですよね?」
伊達の能力は触れた人、生物の記憶を読みとるというものだ。ただ記憶という物は、とても曖昧で、ねつ造さているものが基本であり、それが完全完璧な記憶というわけではないので、触れた人が今まで見てきた本当の物を全てを見れるのではない。脳に書き込まれていたモノを読み取る能力なのだ。犬とか猫とか、一応、脳細胞という物事を記憶できる細胞があれば、触ることで記憶を読むことができるのだが、犬、猫の記憶能力はたかがしれている。鮮明に読むことなんてできない。
その中で一部、その曖昧の景色の中で、人の想いの記憶だけは、細胞にしっかりとネガのように、消えずに焼き付いているのか、そこだけはっきりと見えるのだ。
ぼやけた中で、一カ所だけくっきりとはっきりと見える部分がある。
そこに注目がいってしまうのは人間の性なのだろう。
「そうだな。そいつの辛い過去を知ってしまうから、だから、何も言えなくなるんだ……」と伊達がどこか苦しそうに言った。
そう暗くなっている伊達をフォローするかのようにあさがおが言った。
「でも、伊達さんが、一番、魔女に怪我させずに、自ら進んで収容所に入ってもらうように説得して、応じてくれているじゃないですか。それは、その能力があるからこそ、ですよ」
伊達は魔女を、あの魔女収容所に入ってくれるよう説得するのが捕獲員の中で一番うまい。そういうことから、時々、伊達にカウンセラーに成った方がいいんじゃないかという茶化す人もいるくらいだ。それは、伊達が単に、相手の記憶の中を読める能力をもっているからというわけではないのだが、その能力のおかげで、スムーズに説得ができるということは確かなのだ。
「そうだな。そう前向きに考えるか」
伊達はそういい、あさがおを助手席に乗せて、交番に向かうため、車を発進させた。