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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第二章 Mywonderworld Breaker
65/121

おうのうっ! Konara Angle 9/20 10:41

誤字脱字等有りましたら指摘お願いします

 鞠藻に玄関から続く廊下に散らばっている、鞠藻のお父さんとお母さんを片づけるように言いました。この血だまりでは、私が中にはいることができないからです。鞠藻は泣きじゃくりながらも、素直に片づけ始めました。

 私が片づけろといったそれらの処理について、ノープランだったので、いったいどうすれば良いのか、まだ頭が混乱していたせいなのか、何にも検討できませんでした。思い切って素直に、鞠藻にどうするか訊くことにしました。でも、それらの名詞をやんわりと表現する言葉が思いつかず、「……どうするの?」と言葉を濁しながらそれらの処理方法を尋ねました。

 意外なことに鞠藻はそれらの処理方法を考えていたようです。

「おかーさんとおとーさんは、まず体を拭いて、血は家にあるタオルとか使って拭いて、全部、お風呂場に隠す」

「……お風呂、入れなくなるよ?」と私は訊いてからちょっと失礼だなと後悔しました。

「返り血はここでシャワーで洗って、あとは最近出来た、あのでっかい銭湯あるから、そこに行けばいいかな」

 最近近くにおっきな銭湯が出来ていたのを思い出しました。そこはここから今日行く予定だったショッピングモールと同じ方向にあり、ショッピングモールよりは、ちょっとだけ近いのですが、毎日行くような距離ではありません。それに入浴料も高いです。そのことを言うと、鞠藻は週一で入るから大丈夫といっていました。

 鞠藻はお風呂場から、バケツとタオル数枚を持ってきました。持ってきたタオルで血だまりを拭き取り、血を吸収して赤く染まったタオルをバケツで絞る。それを繰り返し、バケツがある程度満杯になったらところで風呂場へ向かい、浴槽の中に捨て、ついでに真っ赤に使い古したも捨て、新しい真っ白なタオルを持ってきて、また血だまりを拭くという行為を繰り返していました。その間、私も玄関に吐いたとしゃ物の処理をするために鞠藻にティッシュと黒いゴミ袋、ビニールの手袋を持ってきてもらい、片づけをしていました。血だまりは発生源を残して、跡形は少々残っているのですが、目立たなくなる程、無くなりました。

「あとは、おかーさんとおとーさんだけだね」

 鞠藻はそういって二人を拭き始めました。中にタオルを詰め込んで血や中に詰まったものをでないようにしているみたいです。私は気持ち悪くなって、途中から目を背けました。時々、人がならしているとは思えない、ぐちゃぐちゃという音と、耳からは、鞠藻がならしているノイズがに耳の中、いっぱいに広がります。車に酔ったように、目の前がぐるぐると回り始め、景色が歪んでみえてきました。


 ―――もう無理。


 私の精神面の限界が、もうすぐそこに近づいてくるのを感じ、ここからいったん離れる口実のために「鞠藻の食べ物を買ってくるね」と言ってしまいました。別にそこまで気を使う程ではなかったような気もしましたが、今、そこにいる鞠藻が違うモノに見えるからなのでしょうか。

 鞠藻は顔を向けずに、ありがとう。お金は後で払うから、といいながらわき目もせずに処理に没頭していました。私は分かった、すぐ戻ってくるからといい、家の外へと一目散に逃げ出しました。

 外にでた私は、始めに深呼吸をしました。空気が澄んでいて肺にたまった黒く重たいモノが洗い流されるようでした。次に服に、血や自分がとしゃ物がかかってないか確認し、鞠藻にふれた右手以外は、大丈夫でした。右手は外にあった蛇口で、綺麗に洗い流しました。

 肩から下げているポーチの中から財布を取り出して中身を確認します。五千円札が一枚、後は百円玉が三枚、以下少々、約五千三百円はいっていました。これくらいあれば、肉の相場は詳しくないですが、安い豚か鳥肉二、三キロは余裕で買えるでしょう。

 私は雨の中を傘を差しながら、ここ周辺の唯一の肉屋へ歩いて向かいました。走って行きたかったのですが、雨で泥や水が跳ねますし、肉屋に着いたときにゼーゼーと息を荒立てながら入るのは、怪しいすぎると思い、急ぐ気持ちを押さえながら、早歩きで肉屋に向かいました。

 つづじの家を通り過ぎたあたりで、前方から黒い傘を差している、茶色のロングコートを着た、背の高い男の人が近づいてきました。悪いことをしているみたい――――ではなく、現在進行形でしているので、変に緊張してドギマギしてしまいます。

 でも杞憂だったみたいで、その男の人は私の横を問題なく過ぎ「なあ、そこの君」ようとしていたときに急に話しかけられました。

「ひゃいっ!?」

 声をかけられて、心臓が破裂するほどびっくりして、声が裏がえりました。

「急に話しかけてすまん。ちょっと訊きたいことがあるんだが」

 その若い男の人は右目に黒い眼帯をしている以外、イタい――――じゃない。それ以外はどこも変なところはなく、かっこいいと形容されるくらい、この辺には見たこともない、綺麗に整った顔の人でした。身長も高いので、モデルさんなのかもしれません。私は出来る限り平然を装って話します。

「ナンデショウカ?」

「……怪しい人ではないから安心しろ」

 おもいっきり声が裏がえりました。男の人は自分が不審人物だと勘違いされ警戒されていると、勘違いしているみたいなので、まあ、結果オーライ(?)です。

「ここいら周辺で、金髪と赤髪の高校生くらいの年の二人組、みなかったか?」

「………………」

 どう考えても怪しいです。

 そんなことより、この男の人が言っていた奇抜な人たちを私は見たことも聞いたこともありません。素直に首を横に振りました。

「そうか、教えてくれてありがとな」

 そういい、眼帯の男の人は今度こそ、私の横を通り過ぎていきました

 眼帯の男が見えなくなり、私はほっとし、呟きました。

「心臓に悪いって………」


「何が心臓に悪いんだ?」

 

 急に後ろから、聞きたくない人の声が聞こえました。

 私は血の気が引きました。

 ゆっくりと後ろ振り返ります。

 そこには白いユニホームを着て、エナメルバッグとバットを背負い、透明なビニール傘を差している一番会いたくない人がいました。

 なんでいるのか? それは雨天中止になったからです。

 本当に運が悪すぎます。

「誰? あの人?」

 つづじが通り過ぎていった眼帯の男の人の後ろ姿を睨みながら訊きました。

「ただ、道を聞きかれただけだよ」

 私はつづじにそう嘘をつきました。別に嘘つかなくてもいいような内容でしたが、とっさにいってしまいました。つづじは「あっそ」

と特に感心ないようでした。そして思い返したように私に訊きます。

「そういえば、おまえ、鞠藻と一緒に映画見に行ってたんじゃなかったっけ? なんでこんなところにいるんだよ」

 焦りました。本当のこと――――鞠藻が魔女になって、自分の両親を殺して、それを隠蔽するために私も手伝っている、だなんていえるわけもありません。

「うん、そうだけど…………」私は必死に考えました。知恵熱で脳内が茹であがるじゃないかくらい考えて、頭の中で紡いだ言葉を発しました。

「鞠藻は、急な用事が入ったらしいから行けなくて、そう言われたわたしは、とぼとぼ帰ってたところ」

「ふーん。なんでこの時間にいるんだ? もうすぐ昼だぞ」

「それはわたしがおもいっきり寝坊して、約束の時間に間に合わなくて飛び出してきたから」

「……おまえ、時間にルーズだよな。しっかりしろよ」

 取りあえず簡単につづじを騙すことができました。私は一刻も早くここから立ち去ろうと話を終わらせようとしました。

 するとつづじが言いました。

「なあ、これから暇?」

 …………ヤバい。逃げられない。

「……うん」

 焦りがピークに達しました。自分で刻む心臓の音が高鳴っていきます。私の能力は、自分の心臓の音は聞こえないのですが、それでもわかるくらいばくばくいっているのが分かります。

「じゃあ、おれんちか、おまえんちで、久しぶりにゲームして遊ばね?」

 私の家でだったら親がいないとか言って遊べないとか言えば、ってそれじゃあ逆効果に――――

「どうした?」

「えっ!? じゃあ、私ん家で遊ぼう。しぃーが新しいゲーム買ったから、それ、一緒にやろう」

 私は時間稼ぎの方を選びました。つづじも着替やらしてから来ると思うので、先に帰ってすぐに鞠藻に電話して状況を説明して、あとで必ず行くと伝える。そして、すぐに椎が部活から帰ってくるので、そのときにお開きにすればいい、と策を練りました。

「わかった。じゃあおれは着替してから、すぐ行くから」

「わたしは家に先に行って、ゲームの準備やら片づけしてるね」

 そういって、つづじと別れ、透明な傘を差しているつづじの後ろ姿が見えなくなったとき、私は自分の家に全速力で走っていきました。

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