うそつきっ! Friends Angle 9/19 17:46
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「ねぇ? ぽぽ」
「なぁに、なな?」
日が落ち、当たりが暗闇が支配しはじめ、それを防ぐかのように街灯の眩しい光が暗闇を照らしだした頃、高校生くらいの年の女の子、二人が公園のブランコに座り、ゆっくりと漕いでいた。
服装は二人とも同じ汚れた灰色のジャージ姿、履き潰したボロボロスニーカーという、捨てられて薄汚れた猫を彷彿とさせるそんな服装だった。
ななと呼ばれたボサボサの赤髪のショートカットの女の子は言った。
「何で、こんなに生きづらい世の中なんだろうね」
ぽぽと呼ばれた、これまたボサボサで、自然にウェーブが掛かった金髪のもう一人女の子が答えた。
「仕方がないんじゃない? 私たちがそう思っているだけで、うまく生きれる人にとっては、こんな所でも天国らしいから」
ななと呼ばれた高嶺七竈はぼやいた。
「くだらないね。そんな考え。単なる独りよがりじゃん。他人の事も考えられる頭持ってるくせに、そんなことも考えられないなんて、ゴミじゃない?」
ぽぽと呼ばれた春崎蒲公英が言う。
「くだらないし、ゴミだよ。でも、それがみんな大好物なんだって」
「舌麻痺してんじゃないの? それ?」
「味覚音痴にされちゃったんだよ。みんな」
「誰に?」
「先に生きた人たちが、腹いせに」
「うわー。子供だね。先に生きた人たち」
「子供だよ。お金でしか、人生語れない人たちだもん。お金がすべてだって遠回しに、しかも綺麗にいってんだよ。よく分かんない難しい言い回しして」
「きったなぁーい。それで、ムラムラしたら、女の子を買うんだもんね」
「そうだよ。買う方も、買われる方も、みんな、金しか考えてないの」
「ぽぽは、そうならないでね」
「ななもね」
二人はブランコを大きくこぎ始めた。二人の笑い声と共にどんどんと体の揺れる幅が大きくなっていく。
急に脈絡もない事を七竈が言った。
「あのさあ、タンポポって名前、かっこいいよね」
蒲公英はうれしそうに少し照れながら言う。
「えへへ。ありがとね」
「あ、ごめん。あたし、花の方のことを言った」
「えー。なんかぬか喜びだよー」
そう七竈に言われ、ちょっとショックだった蒲公英はうーんと何かを考えている。
「それよりさぁ、会う人たちの名前がさぁ、必ず、植物の名前が入っている人が多いのはどうしてなのかな? みんな親がDQNなの?」
「それは言っちゃいけない約束だよ。世界の真理ってヤツ。触れた人から消されていくんだよ」とまじめな顔で七竈は言った。
「そうなんだ〜。じゃあ触れな〜い」
ブランコの鎖はギシギシと悲鳴をあげながらも、力をまだ発散することなく、二人を大きく揺らしていく。
「ところで、なんでかっこいいって思ったの?」
「タンポポって、英語で言ったらダンデライオンでしょ? その響きだけでなんか、かっこいいし」
「確かに。でも、中二っぽいけどね」
「そういうネーミングは大事だよ。洋画のタイトルだって、そのままだとかっこいいけど、和訳したらかっこ悪すぎ、酷すぎだし」
七竈が立ちこぎを始めた。真似するように蒲公英も立ちこぎをし始める。ブランコはさらに速く、大きく、揺れる。
「じゃあ、そろそろ靴飛ばしをしますか」
七竈がそういい、蒲公英が「負けないよ」といった。
「あたしが、せーのっていったら飛ばしてね」
「おっけー」
二人はお互いに揺れをあわせる。
七竈が「せーの」と言い、二人は靴を飛ばした。
蒲公英が飛ばした靴は、直線上に飛び、すぐに地面に落下した。七竈が飛ばした靴は、放物線上に空に飛んで、蒲公英の靴をかるがると飛び越えて、植えてあった木の枝に引っかかった。
「あたしの勝ちだね」
「えー。ファールだよ。靴、木に引っかかってんじゃん」
「ぽぽのより遠〜くに飛んだでしょ? だからあたしの勝ち。それともう一回やる?」
「取りに行く時に足ついて、汚れちゃうかもしれないし、何回もやると絶対一回は足ついちゃうから、嫌だ」
「なら、あたしの勝ち」
「ぶー」
二人はブランコを止めて降り、ケンケンで移動して、蒲公英が飛ばした靴を回収。木に引っかかった七竈が飛ばした靴は、蒲公英が七竈を肩車して回収した。
「あたしが勝ったんだから、今回の当番は、負けたぽぽね」
「嫌だなぁ、めんどくさいなぁ」と蒲公英は不機嫌そうに頬を膨らましながら言った。
「………………」
急に七竈の表情が変わり、無表情になった。どうしたのか蒲公英が訊く。
「どうしたの、なな?」
「魔女が一人、増えた」そういい、七竈はニタァ笑って舌なめずりをした。
「ぽぽ、今回はあたしが代わりにやってあげる。そのかわり――」
「今日の夕ご飯は、人の肉ね」
そう言われ、蒲公英は嫌々そうな顔して言った。
「えー、狙うのは、なるべく男にしてね。女の子はかわいそうだから。魔女は、まあ、一口くらいなら、治るから大丈夫だけど……」
「はーい。善処を尽くします〜」
今日の夕食を探しに、七竈と蒲公英は公園を後にした。
「あー、なな?」
「なに、ぽぽ?」
「さっきのダンデライオンって、タンポポの花がライオンみたいな形をしているからじゃなくて、ライオンの歯みたいな葉っぱだから、その名前がついたって聞いた気がする」
「……そんな、幻滅する事を言わないでよ〜」
ケラケラと笑いながら人喰いの二人は餌を探しに行った。