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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第二章 Mywonderworld Breaker
58/121

うそつきっ! Friends Angle 9/19 17:46

皆様のおかげで10,000PVを超えました!

これからも頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。


「ねぇ? ぽぽ」

「なぁに、なな?」

 日が落ち、当たりが暗闇が支配しはじめ、それを防ぐかのように街灯の眩しい光が暗闇を照らしだした頃、高校生くらいの年の女の子、二人が公園のブランコに座り、ゆっくりと漕いでいた。

 服装は二人とも同じ汚れた灰色のジャージ姿、履き潰したボロボロスニーカーという、捨てられて薄汚れた猫を彷彿とさせるそんな服装だった。

 ななと呼ばれたボサボサの赤髪のショートカットの女の子は言った。

「何で、こんなに生きづらい世の中なんだろうね」

 ぽぽと呼ばれた、これまたボサボサで、自然にウェーブが掛かった金髪のもう一人女の子が答えた。

「仕方がないんじゃない? 私たちがそう思っているだけで、うまく生きれる人にとっては、こんな所でも天国らしいから」

 ななと呼ばれた高嶺七竈たかなななかまどはぼやいた。

「くだらないね。そんな考え。単なる独りよがりじゃん。他人の事も考えられる頭持ってるくせに、そんなことも考えられないなんて、ゴミじゃない?」

 ぽぽと呼ばれた春崎蒲公英はるさきたんぽぽが言う。

「くだらないし、ゴミだよ。でも、それがみんな大好物なんだって」

「舌麻痺してんじゃないの? それ?」

「味覚音痴にされちゃったんだよ。みんな」

「誰に?」

「先に生きた人たちが、腹いせに」

「うわー。子供だね。先に生きた人たち」

「子供だよ。お金でしか、人生語れない人たちだもん。お金がすべてだって遠回しに、しかも綺麗にいってんだよ。よく分かんない難しい言い回しして」

「きったなぁーい。それで、ムラムラしたら、女の子を買うんだもんね」

「そうだよ。買う方も、買われる方も、みんな、金しか考えてないの」

「ぽぽは、そうならないでね」

「ななもね」

 二人はブランコを大きくこぎ始めた。二人の笑い声と共にどんどんと体の揺れる幅が大きくなっていく。

 急に脈絡もない事を七竈が言った。

「あのさあ、タンポポって名前、かっこいいよね」

 蒲公英はうれしそうに少し照れながら言う。

「えへへ。ありがとね」

「あ、ごめん。あたし、花の方のことを言った」

「えー。なんかぬか喜びだよー」

 そう七竈に言われ、ちょっとショックだった蒲公英はうーんと何かを考えている。

「それよりさぁ、会う人たちの名前がさぁ、必ず、植物の名前が入っている人が多いのはどうしてなのかな? みんな親がDQNなの?」

「それは言っちゃいけない約束だよ。世界の真理ってヤツ。触れた人から消されていくんだよ」とまじめな顔で七竈は言った。

「そうなんだ〜。じゃあ触れな〜い」

 ブランコの鎖はギシギシと悲鳴をあげながらも、力をまだ発散することなく、二人を大きく揺らしていく。

「ところで、なんでかっこいいって思ったの?」

「タンポポって、英語で言ったらダンデライオンでしょ? その響きだけでなんか、かっこいいし」

「確かに。でも、中二っぽいけどね」

「そういうネーミングは大事だよ。洋画のタイトルだって、そのままだとかっこいいけど、和訳したらかっこ悪すぎ、酷すぎだし」

 七竈が立ちこぎを始めた。真似するように蒲公英も立ちこぎをし始める。ブランコはさらに速く、大きく、揺れる。

「じゃあ、そろそろ靴飛ばしをしますか」

 七竈がそういい、蒲公英が「負けないよ」といった。

「あたしが、せーのっていったら飛ばしてね」

「おっけー」

 二人はお互いに揺れをあわせる。

 七竈が「せーの」と言い、二人は靴を飛ばした。

 蒲公英が飛ばした靴は、直線上に飛び、すぐに地面に落下した。七竈が飛ばした靴は、放物線上に空に飛んで、蒲公英の靴をかるがると飛び越えて、植えてあった木の枝に引っかかった。

「あたしの勝ちだね」

「えー。ファールだよ。靴、木に引っかかってんじゃん」

「ぽぽのより遠〜くに飛んだでしょ? だからあたしの勝ち。それともう一回やる?」

「取りに行く時に足ついて、汚れちゃうかもしれないし、何回もやると絶対一回は足ついちゃうから、嫌だ」

「なら、あたしの勝ち」

「ぶー」

 二人はブランコを止めて降り、ケンケンで移動して、蒲公英が飛ばした靴を回収。木に引っかかった七竈が飛ばした靴は、蒲公英が七竈を肩車して回収した。

「あたしが勝ったんだから、今回の当番は、負けたぽぽね」

「嫌だなぁ、めんどくさいなぁ」と蒲公英は不機嫌そうに頬を膨らましながら言った。

「………………」

 急に七竈の表情が変わり、無表情になった。どうしたのか蒲公英が訊く。

「どうしたの、なな?」

「魔女が一人、増えた」そういい、七竈はニタァ笑って舌なめずりをした。

「ぽぽ、今回はあたしが代わりにやってあげる。そのかわり――」


「今日の夕ご飯は、人の肉ね」


 そう言われ、蒲公英は嫌々そうな顔して言った。

「えー、狙うのは、なるべく男にしてね。女の子はかわいそうだから。魔女は、まあ、一口くらいなら、治るから大丈夫だけど……」

「はーい。善処を尽くします〜」

 今日の夕食を探しに、七竈と蒲公英は公園を後にした。


「あー、なな?」

「なに、ぽぽ?」

「さっきのダンデライオンって、タンポポの花がライオンみたいな形をしているからじゃなくて、ライオンの歯みたいな葉っぱだから、その名前がついたって聞いた気がする」

「……そんな、幻滅する事を言わないでよ〜」

 ケラケラと笑いながら人喰いの二人は餌を探しに行った。

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