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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第二章 Mywonderworld Breaker
57/121

うそつきっ! Hunters Angle 9/19 17:34

誤字脱字等ありましたら指摘お願いします。

 夕暮れの高速道を黒いミニバンが走っている。週末であるがそれほど混んでいる様子はなく、時々高速バスや大型トラックを避けるべく、追い越し車線を走ったり戻ったりして、順調に走っていた。

 その黒いミニバンには、運転手と助手席に二人、後部座席に二人、計男四人で乗っていた。年は皆若く、一番下は高校生か中学生くらいで、あとは二十代前半くらいだった。車内には交通情報やニュースなどが流れるラジオがBGMのようにかかっていた。どうやら、話している内容からして、この四人は何かの仕事の帰りらしい。

「今回の魔女は、なんか、呆気なかったすね」

 助手席に座る|二十代前半の短髪で、長身で細身。某スポーツメーカの黒いジャージを着ている詩髪光うたがみひかりが言った。

「……おまえはいっつも戦いたがるよな。後始末をする回収班のことも考えろよ」

 あきれ口調で運転している、年は光よりも少し上くらい、薄緑の長袖シャツ、青のジーンズ、ガッチリとした体型、短髪陸前伊達りくぜんだてが言った。

「まあ、何でもいいじゃないですか。早く終われば」

 後部座席、運転手の後ろに座っている、薄紫のトレーナーに黒のカーゴパンツ、十五歳くらいの童顔の少年、夜歌よるうたあさがおが素っ気なく言った。

 その隣、ぼーと流れる景色を見ている、灰色のジャケットの下にトレーナー、黒のジーンズ、二十歳前後で、髪は無造作ヘアー、精悍な顔立ちの男、六乃鬼灯むのほうずきがいたが、疲れているのか会話に参加する気はないらしい。

「あの魔女簡単に捕まりやがって、オレが行くまでもなかったじゃないすか」と伊達に向かって光が愚痴いう。

「馬鹿。おまえがいないと誰が魔女草ストライガの魔女どもを蹴散らすんだよ? 俺は無理だからな。あんな奴らと戦うのは」と伊達が文句を言った。

「オレ以外に、鬼灯がいるじゃないすか? なあ?」と振られた鬼灯はええと、空返事で答える。隣にいるあさがおが鬼灯に大丈夫か訊いた。

「元気無いですね。どうしたんですか? 鬼灯さん?」

「いや、ちょっと疲れただけだ」

 鬼灯はそう言い、再び流れていく景色を見ていた。

「なんか、鬼灯さんがブルーっぽいですよ? 何かしたんですか? 光さん?」

 隣に居るのにも関わらず、あさがおは気にかけることなく光に訊いた。いつも、鬼灯が落ち込んでいる原因はこの人にあることが多いからだ。光は今回の仕事の内容を頭の中で振り返ったが、

「特に何もしてないぞ」と、いつも通り忘れていた。

「いつも通り、光が忘れてるだけだろ」

 鬼灯も大変だなと、伊達は鬼灯を哀れんだ。

 あさがおが話を逸らすように言う。

「それにしても、きょうさんはどこに行ったんでしょうね? あの方がいないと捕獲員の全体の戦力はがた落ちですよ?」

 光がめんどくさそうに答えた。

「さあ、弟のオレにもサッパリわかんねーよ。アネキの考えることは。それに減った分は新しい奴が入ってくるんじゃねえの?」

 あさがおが話し続ける。

「確かに、そろそろ新人が入ってきてもいい頃ですよね?」

 伊達が思い出したように言った。

「そういえば、捕獲員養成所で、強いっていうのか、高い能力を持った二人組がいるってきいたな。その能力ってのが、他の奴らよりも、飛び抜けているらしいぞ」

「どんな能力なんすか?」とあさがお。

「小耳に挟んだくらいだから詳しくは知らんが、一人は女子、攻撃系で水を操る能力。杏さんと同じ系統の能力だな。もう一人が男子で攻撃、探索系の両方の能力だそうだ。こっちは詳しい能力は訊いてないから知らん」

 あさがおが顔をしかめる。

「うげっ、その男の子のせいで、僕の存在意味がなくなりそうなんですが」

「大丈夫だ。探索系のおまえなら、俺や光、鬼灯よりも必要とされるさ。探索系でもない俺らは、年食ったら魔女収容所の監視員になるだけさ」と伊達が言った。

「えー。男子禁制の食虫植物園に伊達さんは入れないでしょ?」

 同感と光がいい、隣にいたので伊達に小突かれた。被害がなかったあさがおは一人笑っていたが、何かを感じ取ったのか、急に表情が険しくなる。

「ん? 近くに魔女がいますね。これは暴力の魔女、あと、魔女草ストライガの魔女二人、正偽せいぎの魔女と血煙ちけむりの魔女、計三人がいますね。それにしても、こんなところに魔女草ストライガのリーダーと副リーダーがいるなんてねぇ。今回もあいつらは出遅れたようですね」

「――残業決定だな」と伊達が言った。

「そうですね」と声を弾ませて光が言った。

 鬼灯は落ちていく夕日を横目に見ながら「はい」と言った。

「次のインターで降りるぞ。それから機関の方に連絡するか」

 そう伊達がいい、黒いミニバンは差し掛かったインターチェンジに向かって走っていった。

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