ひとくいっ! Striga Angle 9/18 17:44
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「どうやって話しかければいいのか全く分かりませんよ。これ」
くららは目の前に女の子の生首を胸に抱いて、大事そうに抱えて大声で泣いている危険人物を遠巻きに見ていた。
今さっきその生首にキスをしている姿を見て、何かしら事情はあるんだろうなーと思っていたけれど、やっぱり気持ち悪っ、と生理的に拒絶し、くららはその行為の間から話しかけることはできなかった。
「どっから入っていけば、いいんですか? この状況は? こんなの場面に出合って、とっさに受け答えできる人なんて、この世で一人もいないと思いますよ。絶対」
まあ、わたくしが一番になるんですがと付け加えた。
くららは一回、深呼吸してその変質者の前へ立つ。もちろん、安全を兼ねて距離は十分にとってある。
「そこのあなたっ!!」
変質者はくららの方を見た。よし。第一段階の視線をこちらに向けさせる、は成功した。
くららは訊いた。
「あなたは魔女を殺せる能力を持っていますか?」
そう訊かれた変質者――可哀想なので能力者としましょう。能力者は驚いたが、すぐにああと返してきた。
「なら、何もせずに、わたくしに着いて来て貰いたいのですが」
「嫌だと言ったら?」
「ここで殺すまでです。あなたの能力は危険すぎますのでね」
勿論ハッタリですけどね。わたくしはそんな能力は持ち合わせて――はいますが、こんな程度では使えませんよ、とくららは心の中で呟く。
「…………」
「それから、あなたが匿っていた魔女は、わたくしの仲間が今、保護してくれているはずです」
「…………」
「どうしますか?」
能力者は口を開いた。
「……訊きたいことがあるんだけど」
「何ですか?」
「僕の能力が分かるの? どこまで分かるの?」
「まあ大体は、感じ取れますけど、どこまでは、表現が難しいですね」
「じゃあ……この人は、もう死んでいるのか、分かる?」
持っている首に方へと目を向ける。それくらい、くららの能力では朝飯前だ。くららは包み隠さずにはっきりと言った。
「その人は、完全に死んでますよ」
「そう」
ゆっくりと頭を撫でて、
「僕は行くから」
道路の端にそっと首を置いた。
「……落ち着いたら、また来るから、その時まで、またね」
くららの方へと向かってくる。
「……どこに向かうの?」
暗い顔をした能力者はくららに訊いた。
「まず、わたくしが所属している組織、魔女草の副リーダーと合流して――」