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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第一章 Shall We Dance With Cannibalism?
44/121

ひとくいっ! Masaki Angle 9/18 17:42

誤字脱字などありましたら指摘お願いします。

「あああああああああああああああああああああああっ!!」

 あれ、何で僕は走っているんだっけ?

 ああ、そうか、百合子さん燃やしたんだ。この悲鳴は百合子さんのか。あんなに強気だったのに案外、簡単に燃える物なんだな。

 じゃあ、僕が抱きしめているものは?

 首から下はないけど、確かに僕の愛した人だ。

 僕は立ち止まった。ここまで来れば百合子さんは追いかけてこれはしない。追ってきたとしても、その前に燃え尽きる。

 僕は優しく持っていたもの、愛した人の一部で、すべてが詰まっている部分を持ち上げ、僕と目線を合わせた。愛する人は百合子さんの魔女の能力によって、まだ意識があり、まだ死んでいない。だって、ほら涙を流している。

 喉はあるのだか、発声するための多くの部分から切り離されてしまっていて、僕に必死に伝えようと話そうとしているのだが、声にならない。

 

 だ、い、す、き、あ、い、し、て、い、る。


 それをひたすら繰り返す。口の動きだけで伝えようと必死に動かす。

「珠奈、僕も大好きだよ」

 僕は告白した。とても、卑怯な告白だった。

 すると愛する人は笑って、


 ご、め、ん、ね、あ、り、が、と、う。


「珠奈のおかげで、僕は、なんか……救われたよ」

 

 ば、に、ら、さ、ん、を、ま、も、て、あ、げ、て、ね、わ、た、し、か、ら、の、お、ね、が、い。


 ゆっくりと紡いだ、その耳に入ることはなかった言葉を頭の中、脳細胞に刻み込む。

 

 そして、僕からキスをした。


 長い、永遠に続いて欲しい、別れのキスだった。


 すべてが終わってしまったとき、僕は彼女を胸に抱き、泣いた。

 わんわんとみっともなく泣いた。

 ここまで誰かを想って泣くなんて久しぶりだった。

 姉を燃やしたときは自己嫌悪のようなものだったから、悔しがることも悲しいと思うこともなかった。

 なんでこう、すれ違ったのか。

 すべては僕のせいなのか。

 自暴自棄になりそうだ。


 でも、

 

 でも最後に許してくれたのだ。

 こんな僕を、

 最低な僕を、

 全てを知っても、


 好きと言ってくれた。


 なら、今度は僕の番だ。

 彼女の最後の願いを叶えよう。

 彼女にとって最後の願いは、自分の罪を償う為であるのだろう。

 だから叶えてあげよう。

 叶えられない彼女のために。

 償えない僕の彼女のために。

 そして僕が死んだあとに、また出会って、叶えたよって。


「お互いに恐れてたんだよ。きっと」

 

 一つの悔いを残して、僕は、また懲りずに、償って、生きて、逝く。

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