ひとくいっ! Striga Angle 9/18 17:32
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「はははは。チョロいチョロい」
真っ逆さまは道路に気を失って倒れ込んでいる捕獲員を見てせせら笑う。
「何デ、助ケテクレタノカシラ?」
隣にいたばにらが訊いた。
真っ逆さまは、ばにらと鬼灯の戦いに、誰にも気づかれずに乱入し、鬼灯にいつの間にか幻覚を見せ、鬼灯を何かと一人戦かわせ、その間、ばにらに持ってきた食べ物|(豚肉)を食べさせ、失った分の細胞組織を回復させていたのだった。
真っ逆さまが頭を掻きながら考え、ばにらに言う。
「ん~。あんたが魔女だから、かな」
「曖昧ネ。マア、礼ヲ言ッテオクワ。アリガトウ」
「どういたしまして。それとあんた、魔女草って魔女の組織にはいらないか? 機関の捕獲員から逃げて、国から魔女の、人間としての自由な権利を得るために連んでいる組織みたいなもんだ。と言うか、助けたことを貸しとして、半ば強制的に入れさせようとしているんだけどね」
ばにらはニヤリと笑みを浮かべた。
「ワタシハ、別ニ構ワナイワ。デモ、モウ一人ノワタシガ、ドウ思ウカハ、検討モツカナイワネ」
真っ逆さまの頭上にクエスチョンマークが浮かぶ。
「ん? どうゆーこと? 二重人格ってやつなの? あんた?」
ばにらが素っ気なくどこか投げやりに答える。
「ソンナトコロネ。ソレガモウ一人ノワタシノ魔女トシテノ能力ヨ」
「ふーん。敵味方関係無しに襲ったりはしないよな?」
「ワタシハ、モウ一人ワタシノ命ガ危険ニ晒サラサレタトキニ出テキテ、ワタシヲ殺ソウトシテイル、危険因子ヲ殺シ、必要ナラバ食ベル、ソンナ只ノ魔女トシテノ能力ノ一欠片ヨ。アナタガワタシヲ殺ソウトシナイ限リ、ワタシニアナタヲ襲ウ理由ハ無イ。ソコハ安心シテ」
本当ハ違ウンダケドネ、と真っ逆さまに聞こえないよう、小さく言った。
「そうかい。じゃあ、行くあてがないなら、うちに着いてきてくれ。もう一人の魔女草のやつと合流すっから。まったく、くららのやつはどこ行ったのか……」
くららが向かった場所の大体の方向は知っているのだが、どうやってそこまで行けばいいのか、この周辺に着たばかりの真っ逆さまには分からなかった。倒れているこの捕獲員が、何時目を覚ますか知らないので、ここから早く立ち去らなければ、面倒なことになる。
「オ言葉ニ甘エテ、アナタに着イテ行クコトニスルワ。ココニ居テモ危ナイシネ」
ばにらも同じ考えだったようで素直に真っ逆さまのあとを着いていった。
そして、気を失い敵討ちに失敗した鬼灯だけが虚しく取り残されたのだった。