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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第一章 Shall We Dance With Cannibalism?
31/121

うたかたっ! Kazura Angle 9/18 16:40

誤字脱字などありましたら指摘お願いします。

 背の高い目つきのキツい女性、政府の魔女こと、ふきと中学生くらいの幼い顔立ちの男の子、能力者の葛が話している。

 そんな二人は、葛とふきは一人の少女の死体の前でだべっていた。

 遠藤雅樹という今回のターゲットが珍しいので一度見てみたい葛がいい、二人は接触だけする予定でこのマンションに来たのだが、マンションの入り口を探していた、その時にこの捕獲員の少女が喰い殺されて、放置されいるのを葛が発見して今に至る。

 葛が少女の死体を指で突っついて、楽しそうに観察している姿を見て、ふきは嫌そうに目をそらし、胸ポケットに入れていた煙草を取り出して火をつけずに口にくわえて、ずっとだべっている。

「やっと楽しくなってきたね?」

「どこがだ。死人が出ている時点で俺様は萎えるな」

「何言ってんのさ。こういうのは一人二人、死んだ方が面白いに決まっているのに。推理小説だってたった百ページ読めば一人くらい必ず死んでるよ」

「いや、その考えはあぶねーと思うぞ?」

「いやいや、正しいよ。全くの正論さ。誰も死なない推理小説なんて、つまらない、というか、スリルがないというか。どこか物足りないんだよね。ノックスの方だっけ? それともヴァン・ダインの方かな? 確かそんな感じの規則があったよ。それと同じさ」

「それはあくまでフィクションの話であってだな――」

「そこなんだよ。そこが面白くない。わざわざフィクションと現実って壁を作ちゃっているから、現実は面白くないんだよ。いや、箱に例えた方がいいかな? 現実の箱には、つまらない物が詰まっていて、合理的で人畜無害な物ばかりだからね。対局するフィクションの箱には、現実の箱に入れられない面白い物が捨てられるんだ。面白い物は有害であり、被害が及ぶものでもあるから求めないし、取り入れるとしても副作用の少ないものしか取り入れない。あとは無理だと決めつけている固定概念もあるね」

 ふきの頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。葛がうーんと考えて言う。

「うーん、簡単言えば、宇宙について研究するって壮大でロマンがあるけど、ぶっちゃけお金も時間かかるんだよねー。スペースシャトル打ち上げるのもお金掛かるし、打ち上げ失敗したら乗ってた優秀な人材も死んじゃうかもしれない。ぶっちゃけ見合った分返ってくるわけでもないから、この分のお金と時間と人材を別なもっと確実で利益になる仕事に回した方が効率的にいい。よし、止めてしまおう。ってこと。これは心底つまらないでしょ?」

代わりに莫大な利益がある人工衛星打ち上げるってのもあるねと付け足す。

「確かに……つまらないな」

「でしょ? みーんな、合理的に考えるんだよ。そんなのつまらないって。だから僕は強制的に面白くするんだ」

 胡散臭そうな話になってきたと、ふきはいつものように聞き流す体制になる。

「へえ、いったいどうやって?」

「誰かのエゴを使うんだよ。合理的に損得の判断をしないで私利私欲的に物事を進めてくれる。それも僕好みの面白い方向にね。それを僕は操る。というよりは、みんな同じ方向に並べて、誰か一人を最後に押し倒すんだ。あとは皆勝手にドミノ倒しみたいに倒れていく。それを傍観するのが楽しいんだ」

「へぇー。わっけわからね。で、これからどうすんだよ?」

 話題飽き、次に何するのか不機嫌そうにふきが訊く。

「んー。魔女草ストライガの魔女たちもやっとこっちに来たみたいだし、これからの下準備も終わったし。ターゲットには会えなかったのが心残りだけど、また機会を作ればいいし。てな訳で仕事の方はターゲットは殺せなかった、ということで終わらせて、あとはこの顛末でも傍観していますか」

「……おい、何のためにここまできたんだよ、俺様は……」

 ふきは疲れ果てたようにうなだれた。そんなふきを気遣いなどしない葛は言う。

「一旦ここから立ち去るよ。すぐに機関の回収班がこの子を回収しに集まってくるからね。はち合わせたら面倒だ」

「へいへい。分かったよ、おまえに何言っても無駄だしな」

 葛は立ち上がり、隣に立っていたふきをすたすたと追い抜き、立ち去る。その後ろをふきが着いていった。

「ところで、傍観って、そんなに面白いか? 俺様は、見てるよりは、実際に介入、やる方が面白いと思うぞ?」

「傍観だって面白いよ? それにふきが言った事のは全く違うことだ」

「どういう意味だ? それ?」

「それは、ふきが訊いたのは、極端に例えると蟻と鯨を比べてどちらが空高く羽ばたいて飛べるか訊いているのと同じで、全く問題として成り立っていないんだよ。つまり、どちらも面白いんだけど、全く別の種類の楽しみ方なのさ」


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