まじないっ! Masaki Angle ×××××
誤字脱字などありましたら指摘お願いします。
僕と姉が特別になった日。
魔女になった姉は、最初に母、次に父を襲って、殺して、二人とも食べた。
僕は運良く襲われなかった。姉は二人を食べ尽くして、もうお腹いっぱいだったらしい。二人を余す事なく食べ尽くした後、満腹で理性が戻った姉は、母と父の滓を見つけ、泣いていた。わんわんと泣いて、その自分がやった死を悲しんでいた。
その時、僕は弱りきった獲物を見つけた肉食獣のように、今がチャンスだと思って行動したのだろう。
特別になれるんだと。
そして、ゆっくりと姉に手を差し伸べた。
血に染まった弱りきった手をとって、僕から抱きしめた。体温もなくなって冷たく、返り血で服は血に染まって生臭く、姉の元の香りとはほど遠かったけど、すごく気分が良かったことを後悔するほど覚えている。
「……お姉ちゃんは魔女になって、お母さんとお父さんを殺して食べちゃったんだよ? マサは私が怖くないの?」
かすれるような声で僕に訊いて来たのを覚えている。
「お姉ちゃんはどんな姿になっても、どんなことをしても、僕の大好きなお姉ちゃんだよ。だから、泣かないでよ」
すると姉は僕をいつものように抱きしめて、ありがとうと顔を涙と鼻水と返り血で汚しながら、吐露し始めたの覚えている。
僕は覚えてる。
その時、自分がもう歯止めが利かない程、狂っていたことを。
姉の好意を独占しきって、満足していたことを。
それ以上を求めてしまったことも。
それからすぐに姉もおかしくなっていた。
当時の僕でも分かるくらいに、僕と話す時の口調が変わっていたからだ。それは姉弟愛というものではないものだと、直感で気づいた。
きっとそれは吊り橋効果みたいなもので、好意も愛もすべて違うもので、ただその違うものを正しい、汚れていないものだと言いたかったのだ。そう思いたかった。そう思わなければ、辛くて耐えられなかった。
その想う姉の心を。唯一残った姉の心を、
僕は僕の快楽の為に、永遠に味が無くならない、チューインガムのように、何度も咀嚼し食べ尽くそうとした。
その夜、僕と姉は、両親が死んだって言うのに、馬鹿みたいに、それこそ猿みたいに、溺れた。
その時の僕と姉なら、それを『愛』とでも呼ぶのかな?
どう考えても、偽りも無く、近親相姦という名の倫理に悖る行為で、ただ快楽に溺れたかっただけじゃんか。
と今の僕は、スパッと素っ気なく言い放ち、それこそどっかの条例を定めた人たちよろしく、頭ごなしに嫌悪するけどね。