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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第一章 Shall We Dance With Cannibalism?
22/121

まじないっ! Masaki Angle ×××××

誤字脱字などありましたら指摘お願いします。

 僕と姉が特別になった日。

 

 魔女になった姉は、最初に母、次に父を襲って、殺して、二人とも食べた。

 僕は運良く襲われなかった。姉は二人を食べ尽くして、もうお腹いっぱいだったらしい。二人を余す事なく食べ尽くした後、満腹で理性が戻った姉は、母と父の滓を見つけ、泣いていた。わんわんと泣いて、その自分がやった死を悲しんでいた。

 その時、僕は弱りきった獲物を見つけた肉食獣のように、今がチャンスだと思って行動したのだろう。

 特別になれるんだと。

 そして、ゆっくりと姉に手を差し伸べた。

 血に染まった弱りきった手をとって、僕から抱きしめた。体温もなくなって冷たく、返り血で服は血に染まって生臭く、姉の元の香りとはほど遠かったけど、すごく気分が良かったことを後悔するほど覚えている。

「……お姉ちゃんは魔女になって、お母さんとお父さんを殺して食べちゃったんだよ? マサは私が怖くないの?」

 かすれるような声で僕に訊いて来たのを覚えている。

「お姉ちゃんはどんな姿になっても、どんなことをしても、僕の大好きなお姉ちゃんだよ。だから、泣かないでよ」

 すると姉は僕をいつものように抱きしめて、ありがとうと顔を涙と鼻水と返り血で汚しながら、吐露し始めたの覚えている。


 僕は覚えてる。

 

 その時、自分がもう歯止めが利かない程、狂っていたことを。

 姉の好意を独占しきって、満足していたことを。

 

 それ以上を求めてしまったことも。

 

 それからすぐに姉もおかしくなっていた。

 当時の僕でも分かるくらいに、僕と話す時の口調が変わっていたからだ。それは姉弟愛というものではないものだと、直感で気づいた。

 きっとそれは吊り橋効果みたいなもので、好意も愛もすべて違うもので、ただその違うものを正しい、汚れていないものだと言いたかったのだ。そう思いたかった。そう思わなければ、辛くて耐えられなかった。

 その想う姉の心を。唯一残った姉の心を、

 

 僕は僕の快楽の為に、永遠に味が無くならない、チューインガムのように、何度も咀嚼し食べ尽くそうとした。

 

 その夜、僕と姉は、両親が死んだって言うのに、馬鹿みたいに、それこそ猿みたいに、溺れた。


 その時の僕と姉なら、それを『愛』とでも呼ぶのかな?

 

 どう考えても、偽りも無く、近親相姦という名の倫理に悖る行為で、ただ快楽に溺れたかっただけじゃんか。

 と今の僕は、スパッと素っ気なく言い放ち、それこそどっかの条例を定めた人たちよろしく、頭ごなしに嫌悪するけどね。

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