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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第一章 Shall We Dance With Cannibalism?
21/121

まじないっ! Hunters Angle 9/18 15:12

誤字脱字などありましたら指摘お願いします。

「ふう、いっちょ上がりですね」

 こならが道路の真ん中に転がっている魔女の首と持ち上げる。仮死状態なら能力もへっだくれもないので、気にも止めなかった。頭を失った体の方は、このまま道路のど真ん中に寝そべっててもらうのは色々と酷なので、丁度よく近くにいた魔女を引いた運転手二人に手伝ってもらい、邪魔にならないように歩道に運んでもらった。その間に鬼灯はバイクに括りつけていた鉄線を取って回収し、Uターンして戻ってきた。

「意外とうまくいくもんだな」

「今度からこうしましょうよ。楽にさらに怪我せずにできますから」

「ああ、確かにいいかもしれない。だが」

「え、なんですか? やっぱりバランス取るの難しかったですか?」

「いや、……人目に付きすぎだな」

 そう言われてこならは当たりを見渡した。

 野次馬の方々がこならと鬼灯を中心に囲むように集まり、携帯電話を片手に、この国では珍しいパパラッチ行為をしている。先ほどの手伝ってもらった二人はいつの間にか、車ごとどこかに行ってしまっていた。(あの車の状態で逃げたらひき逃げと間違われるのではないか?)それに、こならの手には首を持ったまま撮られていたので、かなり危ない人になっているに違いない。心霊写真よりも怖そうだ。

「……これ、また報道関係から叩かれますよね?」

「これで何回目だっけか……」

 二人ともこういうのには慣れているが、辛いものはやっぱり辛いらしい。帰ったら報告書、始末書等を十数枚も書かなければいけなくなるのかと、遠くを見て疲れた表情をしている鬼灯だった。

 そんな憂鬱気分の真ん中にさまよう鬼灯にこならは訊いた。

「それよりも、百合子さんはまだなんですか? 早くここから撤収したいですが」

「大丈夫だ。今回はあいつに任せないで、もう俺が回収班に連絡しておいたから、この付近で待機してくれているはずだ」

「さすがです。先輩。それにしても――」

「なんだ、晒し者みたいでイヤか?」

「いいえ。百合子さんの存在意義が薄れてきたような気が……」

「………………本人には絶対に言うなよ?」

 本人に言ったら二人は命と同じくらい、大切なものをいっぺんに失うのだろう。

 数分後、人混みをかき分けるように回収班の黒いワゴンが来た。鬼灯が指示して、魔女を回収し、野次馬は、野次馬自身が呼んだ警察に散らしてもらって、情報規制や交通整理をしてもらった。警察の方々からもっと穏便にできないのかと、どやされた捕獲員二人だが、愛想笑いですいませんと謝っていた。

「あと、何人魔女がいるんだね」

 鬼灯とこならは回収班の波多浦はたうらに訊かれた。数が多いと運ぶための車も多く手配しなければならないからだ。

 鬼灯が答える。

「あと最高で五人はいるじゃないかと百合子が言ってましたけど、そんなにはいないと思います。それから、この魔女の母親が言うには、人は食べていないと言ってました。身内の証言なので信憑性に欠けますが」

 鬼灯とこならは、今捕獲した魔女が匿われていた自宅から逃げたあと、魔女の両親に、あなたたちの娘は、いつ魔女になったのか、人を食べたのか、食べたなら何人、どこで食べたのかを業務的に訊きだした。

 魔女の両親は、この子は人ではなく、この家で飼っていたゴールデンレトリーバーのリウを殺して食べたんだと、涙を流しながら二人のこれから自分たちの娘を捕まえに行く捕獲員二人に訴えかけていた。玄関に飾られていた、リウを後ろから抱きしめている幸せそうな女の子の写真が、もの悲しく見えたのを思い返す。

 タイミング良く鬼灯の携帯がなった。誰かから電話のようで、鬼灯は携帯を取り出して画面を確認し、百合子からかと呟き、電話に出た。

『もしもし、そっちはもう終わった?』

「ああ、終わったよ。新しい情報でも入ったのか?」

『そうよ。いいのか悪いのかよくわからない情報が、ね』

「勿体ぶらないでさっさと教えろよ」

『そう焦らないの。さっき警察から、被害者たちの検死の結果を教えてもらったわ。詳しくは教えてもらえなかったけれど、被害者全員、同じ犯人による犯行のものと断定できるそうよ。それから、さっき別の場所で被害者が三人見つかったらしいわ。警察はそれも同じ犯人によるものと視野にいれて捜査しているって』

「……おい、それって」

『ここには、過去類を見ないほど、短時間に人を食べた魔女が彷徨いているってことになるわね。あの快楽人喰いの模倣の魔女よりも、危険な魔女ってなっているみたいだし。早速、機関から、その魔女の名前が決まったって、今さっき連絡が入ったわ。食べるペースも早いし、この子も快楽殺人も入っているんじゃないのかしら?』

「その魔女の名前はなんて名前になったんだ?」

 しびれを切らした鬼灯がその魔女の名前を訊いた。


『殺戮の魔女。全く、十代の乙女につける名前とは思えない程、皮肉で、最悪な名前ね』


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