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まじょがりっ!  作者: ハクアキ
第一章 Shall We Dance With Cannibalism?
19/121

まじないっ! Striga Angle 9/18 14:52

誤字脱字などありましたら指摘お願いします。

 その一方、魔女草(ストライガ)の二人組はというと、

「いやー、流石ですよ。真っ逆さま(神)がこんな方法でヒッチハイクするなんて、わたくし考えもしませんでしたよ。もう感服です」

「はっ、今頃うちの能力の凄さを思い知ったか」

 自らの足で、魔女が匿われているマンションへと向かうのには遠すぎるため、早々にあきらめ、ヒッチハイク(?)紛いをし、どこかのマスコミのワゴンに勝手に乗り込んだのだった。この周辺でその町に向かおうとする車は、報道やマスコミ、警察の車くらいで、カメラや何に使うか見当もつかない機材が後ろの席に積んである。

 ワゴンの運転手とその助手席に座っている人は、バックミラーに映る後部座席に座っている魔女二人に一切気づいていなかった。

 くららはまだ真っ逆さまを誉め称えていた。

「真っ逆さま(凄)は、もっとこう、すごいえげつないことでもするのかと思っていましたよ。こう走っている救急車を止めて、破水して今にも赤ちゃんを出産しそうな妊婦を引きずり下ろして――」

 グロにはそれなりの耐久性があった真っ逆さまでも、くららの横道に逸れるどころか、えぐった腹グロカオスワールドには引いていた。

「……本当はな、もっとカッコいい車でも奪って行こうと思ったんだがな、あとで足が着くと、鈴や他のやつにも迷惑が掛かるからマスコミのワゴンにしたんだ」

 真っ逆さまは胸を張りながら威張った。本当の理由は車を運転できないからなんだが、そこは言わないらしい。

「わたくしはてっきり、下着姿でこんな淫乱な私をここまで送ってくれたら、今晩、私を食べて尽くしてもいいよ、ハートマーク。と書かれたプラカード持ちながら、ヒッチハイクするんだと思いましたよ。もちろん、真っ逆さま(処女)がっ!!」

「よし、お前だけ魔法を解いて、この車の運転手やらに見えるようにしてあげよう」

「うわ~ん。それだけは止めてくださいよ~。わたくしが代わりに、その役やりますから~」

「勝手にやってろよ。つーか自分がやりたいのかよっ!」

「下着姿なら、自信がありますっ! 少なくとも真っ逆様(貧)よりは!」

「首だけ見せないって、手もあるな」

「そっちの方がホラーなんでやーめーてーくーだーさーいー」

 くららに肩を掴まれ、真っ逆さまはがくがくと体を揺らされている。

「……もう、やめれ……」

 酔ったようだ。

「実はこの下着姿で、ヒッチハイク作戦、必ず車が止まってくれるようになっているんですよ?」

 すげー作戦名だなと真っ逆様はぼやき、さらに言った。

「世の中、それだけ腐っているってことなんだよ」 

 だから男はいやなんだよ、と人類の半分を罵り始める。

「ええ、そうですよね。本当に腐ってますよ。白と黒と赤の車に乗った男たちが必ずって言っていい程、乗せてくれるんですが、目的地に連れていかずに強制的におもちかえりし、個室で精神的に陵辱したあと、あまつ、金までせしめるんですよ?」

「ごめん。世の中意外と腐ってないわ。お前が腐っているんだわ。そんなことより、デメリットの方が大きいじゃねぇか下着姿でヒッチハイク作戦っ!」

「見事な三段突っ込みですね?。天丼にします?」

「しなくていいっ! 突っ込むの面倒だからっ!」

「いや、そこは、警察署だからカツ丼だろっ! って突っ込まなきゃ真っ逆さま(ウザッ)じゃないですよ?」

「ついに漢字じゃなくなったのな……」

 流石の真っ逆さまは、突っ込みに疲れたのか、まじめな話題を振る。

「今後、魔女草ストライガはどうなっていくんだろうな」

 今度はぼけることなくくららは答える。

「そんなの決まっているじゃないですか。機関の捕獲員達から逃げて、魔女の一般的な人権を取り戻すために活動していくんですよ。それに花木さんや真っ逆さま、鞠藻まりもさんみたいな強力な魔女だっていますし」

「それもそうなんだが、もし、鈴がいなくなったら、どうするんだよ? 今の魔女草ストライガは鈴がいるから、成立しているわけであって、その代わりに、うちや毬藻がやっていくことは不可能だ」

 鈴がやられたら真っ先に魔女草ストライガは簡単に潰されるなと苦笑しながら言う。

「…………」

 真っ逆さまが嫌々そうに話す。

「あと、もっと不安なのは、政府の魔女みたいな政府直々の魔女が出てくることだな。今は政府と協定結んでいるに近いから安心だが、もし、独自、独断にやられたら、こちらは太刀打ちできない。うちらの組織って何というか、同じ狢の穴だから入る時に、お互い過去とか詮索しないだろ? それが逆に墓穴を掘って、自滅に繋がるんだよ。こちらが一方的に相手を信じきっているからな。だから魔女のスパイとか送り込またら、うちらに勝ち目がない」

「――それは花木さんに伝えたのですか?」

「そんなの、うちが入ってからすぐに伝えたさ。そしたら鈴はなんて返したかわかるか?」

 にやりと笑いながらくららに訊いた。くららは首を竦めた。

「わかりませんよ。そのように訊く時点でわかりっこないですもの」

「つまんねーの。鈴は、魔女に悪い人はいませんよって返したんだ」

 くららは呆気に取られる。

「……花木さんって、時々、頭悪そうな発言しますよね」

「いや、その後が怖かったんだ」

「? なんて言ったんですか?」

 流石にくららも興味を持ったらしい。真っ逆さまは勿体ぶるように言った。

「わたしが生きている間はずっと、ね? って」

「……え?」

「つまり、鈴が生きている間中、うちら含め、生きている人間は、絶対に逆らえない鈴の手駒だってことさ」

 くららは一拍置いて話した。

「……なんだか嫌な空気になったような気がします」

「ああ、ごめんな。こんな話して」

「つまり、今さっきまでのわたくしの思考、妄想、狂言は、花木さんに植え付けられた人格がそうさせていることだということであって、本当のわたくしではないと」

「絶対に違う。お前の性格はそれで間違いなく合っている」

 真っ逆さまは、真顔で突っ込むのであった。 

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