まじないっ! Kazura Angle 9/18 14:27
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誰もいないオープンカフェで、魔女草の二人が出会いたくないと嫌悪していた二人組、政府の魔女のふきと能力者の葛が、休日の昼下がりのように一服していた。
「なあ、ところで、何で俺様はオープンカフェで一服してるんだ?」
「よくよく考えてみると、今回件を片づけちゃうと後先、つまらなくなるんだよね。だからゆっくりと行こう、ってなわけ」
それよりも個人的な別件の方が気になるんだけど、そっちは首を突っ込むなって、お父さんに言われてるしとつぶやいた。
ふきは不機嫌そうにただの水を一気に飲み干す。ふきはこれでも一応魔女なので生肉と水くらいしか飲み食いできるものが少ない。だからケーキやコーヒー等しかない、おしゃれなカフェで時間をつぶすのは苦手、というよりは無理があるのだ。外のテラスでも禁煙らしいので、唯一の気分転換の煙草すら吸えない。その一方で、葛はアイスコーヒーを飲みながら優雅に文庫を読んでいる。これもふきを不機嫌にさせる原因因子でもあった。
「この続きが気になって気になってね、仕方がなかったんだよ。あ、集中して読みたいから話しかけないでね」
視線をふきに向けず、文庫を読みながら葛は言う。ふきはあくびをして眠そうに言った。
「そんなに気になるんなら、移動中、車ん中で読めばよかったじゃねぇか?」
「僕、乗り物に弱いんだよね。一行読むだけで気持ち悪くなって吐きそうになるんだ。これって三半規管が弱いからかな?」
「そんなの子供だからじゃねぇか? 鍛えればどうにかなるって聞いたことあんだが、毎日くるくる回ってればいいんじゃねえか?」
「やっぱり辛いことしないと克服できないのかな」
「そういうもんだろ。それから、あと何分くらい暇つぶすんだ? 俺様はこの店じゃあ、飲み喰うするもんがねえから、暇で暇でしょうがない」
「んー、魔女が一人、捕獲員に捕まるのと、魔女草の魔女たちが勧誘にここに着いてからかなあ。僕たちはその頃に、間入した方が楽しくなりそうだね。その時まで一休み、ってところかな」
「あっそ。その方が面白くなるって、お前が言うなら俺様はなんだっていいさ。じゃあ、俺様は移動する時まで寝るから、そん時になったら起こしてくれ」
「おっけー」
ふきはポケットからiPodを取り出し、イヤフォンを両耳につっこんでふんぞり返り、瞼を閉じて寝る体制になる。
「おやすみ。ふき」
文庫から視線を離さないで葛が言った。
二人以外だれも客がいないオープンカフェにはクラシックのBGMが流れる音と葛が文庫のページをめくる音が聞こえるだけだった。
しばらくすると葛はふと、文庫から目を離し空を見上げる。昨日は雨が降っていたが今日は灰色の雲はなく、晴れ晴れとしたいい天気だった。
「雨が降らないといいんだけどね」
葛は青い空を見上げながら、ニヤリと笑みを浮かべて、視線を文庫へと向け、読書に没頭していった。