あらすじっ! Yuriko Angle
長らくお待たせしました。三章です。
掲載は不定期になりますので気長にお待ちください。
どうも、元捕獲員、兼、魔女こと、わたし、有佐百合子が今回の語り部? らしきことをすることになったようなんだけど……。
入ったばかりのわたしを使うだなんて、本当に人手が足りないのかしら? 椿さんはしゃべれないからいいとして、あの忌々しい光の姉、杏さんや正真正銘の男の娘、八鳥ちゃんたちキワモノを差し置いてわたしが先にやちゃっていいのか甚だ疑問だわ。まあ、こんなことやりたくないってぐだぐだ言うだけの言い訳にしか聞こえないから葛君には言わないけど。
さて、本題に入るとしましょうか。あらすじって書いてあるから、前回までのお話をかいつまんでを言わなきゃいけないのかしらね。前のふきさんなんて愚痴っていただけで、一切あらすじらしき事していなかったから、その反動で、わたしは適当にやれないし。個人的には全身燃やされた時の記憶が鮮明に蘇るから話したくないのだけれど、一応、お仕事だからやらなきゃいけないのよね。少しだけトラウマに打ち勝って頑張ってみるわ。
えーと、この物語の主人公は――っていないじゃないの。ころころと変わるから面倒くさいわね。
気を取り直して、この物語は魔女と呼ばれる、サバドに心臓を奪われ、人喰いとなった少女たちとその魔女を捕獲、保護を生業とする心欠落障害捜査機関の捕獲員たちを巡る物語よ。
一章では自分の願望で、魔女した姉を、自分の能力によって焼き殺した過去を持つ雅樹君と、魔女になって十数人喰い殺した疑いがあり、機関から殺戮の魔女と言われるようになってしまったばにらちゃんが出会い、雅樹君が過去にした償いをするためにばにらちゃんを匿うの。そして、雅樹君に恋していた同級生の女の子、珠奈ちゃんがそのことを知ってしまい、ばにらちゃんが雅樹君を奪われたと勘違いしてしまうのね。珠奈ちゃんは雅樹君がばにらちゃんのことが好きだから危険を犯してまで匿おうとするんだ、自分もそう愛されたい、って絶望の底にいた珠奈ちゃんは、不思議な女性、サバドに出会ってしまう。何も疑わぬままに、心臓を渡して雅樹君に好かれるために魔女になってしまうんだけど、魔女になって雅樹君に会って、好きだって伝えたら、雅樹君も珠奈ちゃんのことが好きだっていうのよ。見事なすれ違いよね。好かれていたのに心臓を渡して魔女になっちゃったって珠奈ちゃんは当たり前に悔やむの。こんな体では愛してもらえないって。そこに心臓を奪ったサバドがやってくるのよね。まあ、どうせ知っていると思うからいうけど、このサバドはわたしね。数年前まではただの捕獲員だったんだけど、ある時、サバドに出会って心臓を奪われて魔女になっちゃってね。このままじゃ、捕獲員に捕まって魔女収容所に入れられてしまうと、手頃な人をおそって、能力で心臓だけを取り出して、自分の胸に移植して、何とかごまかしていたのよね。どうも最近心臓の調子が悪くなって来た頃だったから、替えたいと思っていた時に丁度いい子がいたから、騙して心臓を貰ったのよ。それが珠奈ちゃんだったってわけ。雅樹君の過去を知っているわたしは、どうしても、雅樹君を殺して起きたかったのよね。雅樹君の能力がふれた魔女を燃やすって能力なんだもの。魔女のわたしたちにとって危険な存在なの。だから殺そうとしたんだけど、珠奈ちゃんの妨害により、返り討ちにあって失敗。逃げた雅樹君は、珠奈ちゃんとちゃんとけじめをつけて、ばにらちゃんと魔女集団、魔女草の道化の魔女、真っ逆さまとくららっていう新顔(?)の魔女の手を借りて、逃亡するのよね。そして、何とか生き残ったわたしは葛君とか、ふきさんとが構成している裏組織に半ば強引にスカウトされちゃったわけ。
一章はこんなもんね。次は二章かしら。
二章は一章で魔女のばにらちゃんを追いつめて、後一歩のところで返り討ちに合い、殺された捕獲員、こならちゃんが死ぬ間際に見ていた走馬燈――片思いしている鬼灯君と初めて出会った時に起こった事件、そして、仲が良すぎてすれ違った二人の魔女のお話よ。中学二年のこならちゃんには親友の鞠藻ちゃんとつづじ君って男の子と何となくつき合っている男の子がいるの。つづじ君がこならちゃんに告白して、見事つき合うことになったんだけれど、実は鞠藻ちゃんはつづじ君のことが好きなのよ。それを知っていたこならちゃんは、隠すのよくないと思って、鞠藻ちゃんにつづじ君をつき合うことになったと報告するんだけど、鞠藻ちゃんは自分の気持ちを押し殺して、こならちゃんとつづじ君がつき合うことを祝福したの。そんな安定とした三角関係が続いたある日、放課後下校途中で鞠藻ちゃんはサバドにあって心臓を奪われて魔女にされて、情緒不安定になって自分の両親を殺してしまうのよ。そんなことも、知らないこならちゃんは、次の日、鞠藻ちゃんの家に行って、鞠藻ちゃんがしてしまったことを強制的に知ってしまう。こならちゃんは友達を助けようと思い、魔女になって両親を殺した鞠藻ちゃんを匿おうとすることにした。でも、その惨劇の跡にいることがつらくなって、気分が悪くなり、鞠藻ちゃんの食べ物が無くなってしまうからって言って、こならちゃんは肉――鞠藻ちゃんをご飯を買い行くことにするの。その途中で、つづじ君に偶然会い、遊ぶ流れになって、しょうがなく遊ぶことになった。そのことを鞠藻ちゃんに電話で説明するのだけれど、鞠藻ちゃんは、自分を見捨ててつづじ君と遊んでいると勘違いしてね。手当たりしだい、こならちゃんとの思い出をすべてを壊して、狂ってしまうの。そんなことを知らずにつづじ君と手短に遊んで、すぐにお肉を買って鞠藻ちゃんの家に向かったこならちゃんは、魔女捕獲のために付近をうろうろしていた鬼灯君に見つかってしまい、魔女を匿っているってことがばれてしまうのよね。一方、鞠藻ちゃんは、こならちゃんの家から帰ってきたつづじ君にばったり会って、何でわたしとじゃなくてこならちゃんに告白したのか訊くの。つづじ君は前に鞠藻ちゃんにフラれたからもう脈はないと思って諦めたんだっていうのよね。その告白を聞いた鞠藻ちゃんは全部自分がやったことだったって気づいて、耐えきれなくなってつづじ君を殺してしまうの。全部嘘だった、ってね。自分の最大の嘘、こならちゃんを殺しに向かうのよ。そして、こならちゃんはしばらく鬼灯君と一緒に行動している途中でつづじ君の死体を引きずった鞠藻ちゃんに会うの。鞠藻ちゃんの魔女の能力でこならちゃんは殺されそうになるんだけど、なんとか説得して、こならちゃんは鞠藻ちゃんが犯した罪を認めてあげたの。
ここで終わればよかったのにね。
鞠藻ちゃんがね、急に操られたように、またこならちゃんを喰い殺そうとするの。殺されそうになった時、あの憎たらしい光が乱入して、こならちゃんと鬼灯君の二人は間一髪助かって、こならちゃんはすぐに家に戻ることになる。だけど、その家の中には魔女がいて、家族全員を皆殺しにして、こならちゃんの帰りを待っていたのよね。その魔女はこならちゃんの能力が欲しくて、殺したっていうのよ。こならちゃんはまたも喰い殺されそうになるだけど、その魔女の友達が、これまた急に現れてね、その魔女にこならちゃんは連れられて、逃げることができたの。そして、危険を察知して戻ってきた鬼灯君に会って保護されて、そこで走馬燈は終わり――
こならちゃんは目が覚めると、天国でも地獄でも光に包まれた無でも暗闇の何にも見えない無でもない、部屋にいたのよ。
魔女になって生き返っていたの。
大切な、大切だった、鬼灯君のことだけ、忘れて。
これでいいかしら? 詳しいことを知りたいなら、読み返して確認して欲しいわね。
そうそう、魔女草の事とか、その二人の魔女の決別の事は知らない、というより、その時にどんな行動していたのか、わからないから話せないのよね。ごめんね。
まあ、これぐらいでいいわね? じゃあ始めましょうか。
幸せな物語を。
ん?
残酷で醜悪な、見るにも耐えない物語じゃなかったか、って?
別にいいじゃない。
少しくらいは、ね?