真美子(マミコ)①~チェイテ城が怪しい
ハンガリー=オーストリア帝国の首都ウィーンは華やかなキリスト教文化のハプスブルク家の中心である。
世界史の中世時代に版土拡大の大帝国ハプスブルク。
王朝貴族きらびやかなハプスブルク家である。
「皇帝さまに申し上げます。たった今しがた馭者が早馬にて参りました」
夜を走り宮廷に到着いたしました。
帝国ハプスブルク家は領地を拡大し今のオーストリアを中心に東欧諸国に発展をみる。
領地は東欧を中心に広く北から南から馬を仕掛けてウィーンに馭者はやってくる。
帝王は領地化した民族を虐待せず尊敬し"緩やかな統治・穏やかな為政"を施している。
「申し上げます。馭者はハンガリー南東部の辺境カルパチアではないかと」
ギクッ
平和を好むハプスブルク家の皇帝は温厚な顔を急変させた。
カルパチアだと!
一瞬目を剥く
「なにっ!東部辺境(現在ルーマニア)のカルパチアからだと」
聞いた場所が悪かった。
カルパチア山脈はハプスブルク家の生命線。
東部辺境の"領地"(国境)を守らねばならぬ
(現在ルーマニアの)カルパチア山脈の南下にはオスマン=トルコ帝国が戦々恐々と控えている。
世界史はスレイマンのオスマントルコとフランツ=ヨーゼフのハプスブルク家は良好な友好的な関係を結び争いはなかった。
第一次大戦には交戦をしてオスマントルコがあわや首都ウィーンを陥落かっという史実もある。(結果的にオーストリアもトルコも敗戦国)
「カルパチアの馭者はなんと申す!」
カルパチア使者からの伝達は"オスマン侵略"の軍事交戦ではないかと危惧である。
「はっ!皇帝さま」
馭者を宮廷に呼ぶ。
「チェイテについての通達でございます」
馬車から降りた馭者はチェイテ領地の近隣諸国からである。
「見識高き皇帝さまに申し上げます」
馭者は片膝を赤い絨毯につき最高の儀礼をみせた。
「その方の…」
皇帝はブルブル震えてしまう。
"もしも…"
早馬を駆り立てた
勇ましき馭者が
"オスマントルコ"
を語られたらば!
我が領土侵略である。
帝国たるオスマンに宣戦布告を覚悟せねばならぬ。
「はっ!お言葉に甘えまして」
馭者は一歩前に出た。
宮廷はとてつもない緊張感に包まれたのである。
チェイテ城の領地カルパチアは鳥も通わぬ険しき山岳である。
広大な山脈の奥地は異民族はまず踏み入れぬ聖地であった。
聖地というのは外敵がいないこと。
運よく
カルパチアの自然が要塞となりわずかな平野にチェイテ領の民族が酪農や林野の民として暮らした。「チェイテ城?…でございますか」
ウィーンは皇帝を警護する優秀な警察隊が組織されていた。
「チェイテとは?我がハプスブルクの東部辺境の領地でございますか」
警護警察にチェイテをよく知る者はいなかった。
「皇帝さまからの命なんだが」
皇帝からじきじきに命令を受けたのは警護頭。(日本では警視総監にあたる)
チェイテ城の女王エリザベートのようすがおかしい。
「おかしいというのはどのような?」
チェイテの山村娘たちがお城に奉公に出ていく。
だが誰ひとり"奉公あけ"で村に戻ったためしがない。
「さらにはそのお城の侍従は大半が娘っ」
娘だけがお城に奉公に出される。
「チェイテ領地の馭者が言うには…」
女王エリザベートは生娘たちがいたって好みである。
「チェイテの領地国王が亡きあとには数々の奇行や蛮行が噂をされてもいるのだ」
警護警察のポリスは真面目な顔でチェイテを聞いた。
「城奉公に出した娘は総勢500を越えるらしい」
ホォ~
それだけの人数ならば神隠しでございますかなっ
女王エリザベートの寵愛を生娘たちは夜な夜な受けているのではないか。
「あまりにも女王の待遇がよいから村に帰りたくなくなるのではないか」
そんなバカなっ!
「チェイテというのは(ルーマニアとハンガリーの)辺境の地であるわけだから」
都のウィーンから誰しもいかない。
未知の野獣や化け物が棲息しているやもしれぬ。
前人未到のカルパチア山脈
しかも奥地で山頂
欧州狼・熊・大猿・キングコング
「まさかでございますよ」
大怪獣ゴジラ現れる!
女王エリザベートは夜な夜な大怪獣に変身をして生娘を食べた。
「チェイテに妖怪が?エリザベートは怪獣?」
女王エリザベートは人喰いの大怪獣をチェイテのお城でこっそり飼育しているのではないか。
「例えばでございます。アフリカにいるライオンのごとき」
肉食獣をお城の中に番犬のように飼い従える。
「正直に言ってしまえば」
華の都ウィーンから見たらチェイテやカルパチア山脈など
魑魅魍魎
百鬼夜行
何がいても
何が現れたとしても
「不思議なことはないのだぞ」
エリートのウィーン警護頭はブツブツ小言を繰り返した。
「チェイテ派遣の人選をいたそうか」
皇帝からの厳命がある。
『チェイテの内偵をしっかりしてまいれ』
女王エリザベートはなにをしているのか
チェイテの秘密地下牢でなにをしでかしているのか
「チェイテの生娘が消え失せたというのは」
お城がキーワードになるらしい。
「チェイテ領は寒村たる酪農家と林野しかいない」
数千しかいない村の人口から生娘が500人も行方不明では
のんびりした牧歌的なチェイテたりとも落ち着いていられない。
「わかった!人選をいたそう」
ウィーンの警護から派遣の警官をピックアップする。