女王陛下①~チェイテ城主
現在の東欧諸国。
フィンランドからみて
バルト3国
バルトは旧ドイツ騎士団領地(ゲルマン民族支配)
ポーランド・ハンガリー・
旧ハプスブルク家
ルーマニア・ブルガリア
さらにバルカン半島を南下してはマケドニア・ギリシャとなる。
中世王朝貴族の時代は東欧には『ハンガリー=オーストリア帝国(ハプスブルク家)』と『オスマン=トルコ(スレイマン1世)』の二大勢力が覇者として君臨をしている。
当時の勢力地図は南ルーマニア(オスマン)とハンガリー(ハプスブルク)となりその領界地がチェイテである。
山頂にひっそりとあるのがエリザベート殺戮事件の舞台となった呪われたチェイテ城である。
当時のチェイテ領地は見渡す限りのカルパチア山脈。
広大な大自然を眼下にして絶対的なハプスブルク家王朝の支配で治めていた。
歴代チェイテ城主はハプスブルクの血筋を引く名君。
統治権だけでなく武術にも優れた軍人であった。
山頂に聳え立つお城。
異民族の侵害受けず
戦争に巻き込まれない
ハンガリー=オーストリア帝国のハプスブルク家の流れであることが大きな要素である。
時代背景として
ハプスブルク家が支配する以前の欧州諸国やロシア帝国は領地剥奪の戦争に躍起となり民族紛争も絶えることがない戦国絵巻であった。
だが…
大自然の広がるカルパチア山脈のチェイテという山の王朝。
時の軍隊附随の為政者はカルパチアの山々に魅力も強奪したい旨味も感じない。
単にルーマニアやハンガリーの山奥にある片田舎にしか見えないのである。
敵が侵略しなければ
カルパチアは平和な山村たる領地。牛や馬が牧草を食むまさに牧歌的で戦争とは無縁だった。
いさかいのないチェイテ城は鼓腹たる王国で…
いやいや違う
国王(女王)君臨すれど統治せず
外敵が来ない領地
ならば領地での暮らしはさぞかし豊か?
「我々チェイテに敵さんはいないのだ。軍人たる国王は逝去された」
女王エリザベートの臣下たる諸大臣らは国王亡きあとにフウッと息を抜く。
故人の国王は領地拡大と経済的発展を第一にやってきた。
それが一転女王の時代となれば
軍人は職場を失い山林従事に格下げされた。
内政たる経済も特に発展する可能性もなきチェイテとなる。
賢い腹心なる臣下は女王の本心を見抜いていた。
"民や百姓を統治する能力など微塵もない"
"情けない国王が女王エリザベートである"
「チェイテ城は王(KING)が不在なのだ。故人・国王の忘れ形見の王子はいまだ幼い」
王子が成人し国王に即位する時まで
無能で愚かしき
遊び好きなだけの
女王エリザベート
「今だけだぞ。しっかり羽を伸ばしてチェイテ領地を我が物顔で楽しもう」
やりたい放題な大臣各位とほくそ笑みな臣下だった。
ややこしい統治などやる気のない女王。
チェイテ領はやる気のない倦怠感が渦巻き政権は不在となる。
華々しきハプスブルクの歴史から『世界史』からチェイテは姿を消してしまう。
有能な臣下からは相手にされぬ女王陛下。
お城にいても暇潰しができない。
「チェイテの女王は常に美貌に恵まれなければならない」
誰もが羨む絶世の美女でなければならない!
"小人閑居して不全を為す"
オホホ~
チェイテ城の宮廷の間には女王エリザベートの高笑いが聞こえそうである。
チェイテの女城主は"美貌"という幻想を手にいれたいため猟奇的な趣味に走るのであった。
「私はいつまでも若くていたい。綺麗な女王は臣下のためにある」
この美貌を保つ義務がありますオホホ~
身勝手な初老
エリザベートの暴走は止められはしない
美貌を保つため?
若返りの媚薬
女王エリザベートでありたいがため手にいれたい
女王は夜な夜な活躍するのである。
「媚薬が欲しい。若返りのために」
エリザベートは次々にチェイテ領地に住む生娘を毒牙にかけていく。
媚薬?
生娘っが次々に殺される?
チェイテのお城の庭先は真紅の薔薇が一面鮮やか。
ところ狭しと咲き乱れ思わず息をハッとのむ絢爛豪華さであったという。
老境の域に達したエリザベート。
若い処女の生き血を若返りの媚薬と信じる。
猟奇的な殺人の動機付け!
「チェイテ領地のためですわ。この美貌を棄てることはできない」
さっそく女王の命令が下る。
チェイテの山村にある生娘をお城に奉公に出せっとお触れが出る。
「お城の女王さまはたいへんに綺麗なお方なのよ」
貧乏な山の村民が奉公人としてチェイテ城にいけば
「生娘は女王さまの教育に従い教養や躾が身につくわ」
女王さまの身の回りのお世話をするかもしれない。
「しっかり貴族階級の生活をみることもできるわ」
美貌のエリザベートは大変な評判であり若い娘らに憧れであった。
「親切で優しくしてくださる」
続々とカルパチアの山を生娘らは登りチェイテ城の門をくぐるのである。
チェイテの正門。
村の長に奨めらる生娘らがくぐるのはこの時だけである。
決して…
生きて正門から山道を歩む者はいなかった。
正門に立つ門番たち。
「ひぇ~どうしたこった!毎日毎日若い娘がお城にやってくる」
驚きの連続である。
「おいおい。番人長さまよ。いつから我がチェイテ城は女紅場になったんだ」
女王エリザベートは生娘ばかりを集めてなにをなさるおつもりだ。
「カルパチアに"AKB48"をお作りなさるつもりじゃあないか」
年の多い門番は盛んに首をひねってしまう。