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怒鬼エリザベート~血を求めて 

時代は遡り1600年


王女エリザベート(40歳)のの夫は51歳でこの世を去る。


さあ~この時からチェイテ城の城主エリザベートの箍は弾けてしまう。


「国王は私!チェイテの領地はエリザベート女王のものなのよ」


エリザベート我が世の春であった。


おそらくだが


国王の葬儀の最中からエリザベートのヒステリックな笑いが止まらなくなった。

そして…


チェイテ城の独裁者たるには邪魔者はいらない。


"義母の始末"である。


夫が死ぬや否や


瞬く間に


その息の根は綺麗に断たれた。


顔を見たくもない憎き姑


速やかに


侍女を使い姑の食事に毒を忍ばせおこなわれた。


「国王の母体さまは高齢でございました」


このたびの不幸ら大変残念なことでございます


神妙なコメントだった。


だが本心はいかに?


"単にババァの寿命が尽きたのよ"


「義母は優しい方でございましたわ」


"安らかに眠る老婆の顔をつらつら眺める"


ペッ


名家から嫁いだ老婆に唾を吐きかけ侮蔑を与えた。


女王エリザベートは国王の母親の葬儀も出さない。


東欧諸国を連面と領地に従えた名家の王女でさえも


城に従える"下僕や飯炊き女扱い"で処理してしまう。


(墓地も作ったかどうか)


 今やチェイテ城内でエリザベートに逆らう者は誰もいないのである。


正真正銘の「チェイテの女王様」である。


城に領地に燦然と君臨し自由を手に入れる。


姑を葬れば…


膨大なチェイテ領域はエリザベートのもの


従順な臣民を支配する独裁者の地位を得たのである。

チェイテ領にある支配下の臣民


エリザベートは"生かす"臣民にて匙加減を与える。


『ご自由になさいませ。女王さま』


チェイテ支配下の賤しき臣民。華やかな世界が好きなエリザベートは気に食わず"好きに殺してしまう"


『お好きになさいませっ』

我々チェイテの臣民は女王さまの忠実な下部(しもべ)でございます。


チェイテ城に働く下僕らは"独裁者"女王エリザベートに戦々恐々の暮らしとなった。


古今東西の独裁者は常に我が儘であり短気な癇癪持ちと相場が決まっている。


チェイテ城に女王エリザベートにメイクアップを施す侍従にかわいい女の子がいた。


女の子はチェイテの寒村の賤しき身分。お城で働けるとは夢見心地だった。


高貴な生まれの女王さまを間近に見ることなど常識ではありえない。


「女王さまにソソウがないようにしなければいけない」


化粧の手伝いを申しつけられ侍従は緊張する。


触れてはいけない女王の素肌。


「女王さまに最高のメイクをしなければいけない」


櫛を梳す手はスルスルとはいかない。


高貴な女王の肌に触れたりしたら気分を害されるのではないかと心配である。


サラサラ


女王の自慢の金髪(ブロンド)を整髪にして伸びやかに仕上げる。


最初は櫛をうまく入れられず。テクニックがないなっと緊張する。


だが回数をこなしていけば馴れて楽になる。


テクニックが向上したら鏡を見て女王のきらびやかさを確認しさらに美しく仕上げたくなる。


手馴れた侍従。


櫛を入れたままからだを右へ左へと移動しようかとした。


「女王さま。(後ろ髪は)しなやかに梳れています」


次に…


前髪のオーナメント(飾り)を直してやりたくなった。

前髪を確認したい


鏡に女王の前髪があり


鏡に映らぬ後ろ髪に櫛を差したまま


グイッ~


うん?


バリッ


櫛がささくれ髪の毛を引っ張った。


ギイッ~


「あっしまった!女王さま申し訳ございません」


体位を変えたら櫛が髪にからまってしまったではないか。


すんなり櫛を抜いてやり直したい


ぎゅうぎゅう


さらに絡まり抜けない


「いっ痛い!なにをするんですか」


怒鳴られたらからまった櫛を力任せに引いてしまう。

バリッ


髪の毛は引っ張られ抜け落ちた。


「痛いって言っているでしょ」

女王はヒステリックに叫んだ。


ヒィ~ヒィ


「申し訳ありません」


痛い


痛い


抜けた髪の毛は数本。これを見て逆上してしまう。


「おまえという下僕は!なにをしでかすんだい」


バシッ!


短気な女王は怒りに任せて平手打ちを喰らわせた。


バシッ


平謝りに謝る女


許しはしない!


手短かにある鈍器を手にして頭をめがけた。


ガッツン!


みるみるうちに額から血が吹き出した!


ポカッポカッ


一撃は激しく血飛沫が飛び散る。


少女の謝罪の言葉はイライラ


殴りつけてしまわなければ気は収まらない。


鈍器によって息が絶えても

ポカポカ


さらにエスカレートし辺り一面血の海であった。


「ハァハァ」 


思う存分叩きに叩いてようやく満足を得たのである。

「ハァ~ハァ。この生意気な小娘め」


エリザベートは恍惚の表情を浮かべた。


ニヤリッ


血の気がサアッ~と引くのを感じる。


快感ね


嬉しいわっ


私は幸せ


浴びた返り血が美しいエリザベートを汚している。


ケッ!


「汚らわしいわね。貧民の下僕の穢らわしい血が私を冒涜するなんて」


エリザベートは血の海をかいくぐる。


化粧紙で顔についた血糊を拭き取る。


顔の美しさを取り戻したいと血を拭き取るのである。 

すると


どうしたことか。


血のついたエリザベートの頬。化粧をした前より白くなって張りがあるではないか!


大層な美貌の持ち主エリザベート。彼女自身も美しい女だと自惚れて誇らしく思っていた。


鏡の前に立ってみる。


ひとり自愛に耽るエリザベートはニンマリとして動けない。


「白昼夢?白い肌になる」

血糊をわざと塗りたくり白い肌になるか試してみる。

「美白の効用があるのかしら」


目の前に広がった血の海に服を脱ぎはだかでどっぷりと浸かってしまう。


鰯の頭も信心から~


「オホホ~オホホ」


狂気を見たエリザベート。血の滴りを口に含んでもみる。


4人の子供を産み落とした40歳のエリザベートは美貌の持ち主である。


いつまでも


若いエリザベート


中年過ぎて


美貌に磨きがかかって


初老の今も


熟女たる面をみせている


白い肌に"一日の(いちじつのちょう)"があり。


自慢の肌は少女のような血色を保っていた。

 

しかし


そんな若づくりなエリザベートもどうして年には勝てなかった。


小皺は増え


皮膚は弛み


肌もくすみを増していた。

老いたくないエリザベート

チェイテにいる下女や下僕は若い奴らばかり。身近に寄れば年齢差と老いをひしひし感じてしまう。


プライド高いエリザベートはツルコに指示し若返りの妙薬を探させた。


西洋の媚薬。ロシアの秘宝といろいろなものを試した。


このあたり。老いへの焦りはクレオパトラ7世に通じるものがある。


金に証せて若返りを狙うが…


今一つ美貌に変化はない。

そこへこの事件である。


「血っ。そうよ鮮血なのよね」


べっとりと素肌にまとわりつく血糊をゴックンと飲み干した。


「少女の血がいいわね。永遠の美貌剤であるわ。不老の妙薬だわ」


ニヤリッ


イヒヒッ~


激しく飛散する血の海を眺め興奮をしていく。


エリザベートのやぐるった狂気は老年期とともに全身を蝕んだのかもしれない。

この小娘の血が"呼び水"となり殺人に手を染めていくわけである。



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