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祝女エリザベート~お城の輿入れ

カルパチア(現ルーマニア)の名家の王女エリザベート。


伴侶となる許嫁(いいなずけ)。幼い頃に国王同士で決まっていた。


否!


許嫁や伴侶というよりも嫁ぐ「王家」が決まっていたのである。


その嫁ぎ先ナダスディ家も名家の誉れ高き王家。


900年にも渡り続いた高貴なる家柄。この縁組により新たなる名家が誕生することは確実だった。

 

1575年王女エリザベートは15の春。


バートリ家とナダスディ家「合併」の盛大なる祝言が催された。


許嫁のフェレンツと共にエリザベートは至福の時をかみしめ雛壇に登ったのであろうか。


名家フェレンツば大に小に所有する17を越える城の一つにチェイテ城があった。

新婦エリザベートがお城を見て気に入ったことから新居をチェイテに構えたのである。


時は戦国で殺伐とした時代であった。


夫は戦さに領地拡大に毎年奔走してしまい甘いようか新婚生活はないに等しかった。


幼妻たるエリザベートだが淫乱症や多淫症の()がみられることもある。


結婚しても欲求不満は募るばかりとなった。


偏頭痛の発作は環境の変化から頻発しチェイテ城に働く侍女を気に入らぬと鞭打ちで虐待することで凌いでいた。


「一体どうしたことだ」


幼妻としてチェイテ城に輿入れをしたエリザベート


瞬く間にヒステリックな口喧しいダメな王女と烙印を押されてしまう。


「私はチェイテ城が好きでございます。しかしお輿入れされたあの奥様にはついてはいけません」


カルパチア山脈のチェイテ城から暇をもらい下山してしまう侍女はあとを絶たなかった。

 

それもそのはず。


この頃のエリゼベートのストレス解消ときたら


弱いもの苛めばかり


下僕の下働きの虐待ぶりは少々度を越していた。


侍女の指と爪の間に針を差し込みギャア~という悲鳴聞いてウキウキと狂喜していたのである。


裸に侍女をさせてみる。


蜜を全身に塗りたくり蟻でいっぱいの地下牢に閉じ込めた。


ヒェ~


嫌っ嫌~


若い侍女の断末魔の叫びはいつまでも聞こえているのである。

 

新婚生活真っ只中のはずが夫不在の退屈な日々。


新妻エリザベートに新たなる"悪い趣味"を齎した。


悪魔を呼び寄せての黒魔術である。


下僕の下男ツルコはシャーマニズムに精通したと名乗りエリザベートの信頼を得る。


「王女さまに申し上げます。国王さまが不在の理由は悪魔でございます」


悪魔を退場しなければ国王はチェイテには戻らない。

ツルコはうまいことエリザベートの弱点をついた。


すっかり信用したエリザベート。共に地下室に籠っては極めて怪しげな儀式に熱中した。


生け贄に侍女を


若い女を悪魔に差し出しながら祈る。


ところがエリザベートは飽きぽい性格だったのか。


あれだけ黒魔術にのめり込んだというのに。


エリザベートの手に掛けられた侍女が浮かばれない。

悪夢から覚めてしまい生け贄の儀式に厭きたのである。


チェイテ城の宮廷では取立ててする事もないエリゼベート。


若い身空をもてあましてはいけないと有閑マダムを返上しなくなる。


思いついたことは…


淫らな幼妻が考えた


不倫である。


気がついて見渡せばチェイテ城に若い男(下僕)は常にいるではないか。


宮廷を好きに徘徊をしては好みの男を物色をする。


王女エリザベートに声を掛けられた下僕らは皆喜びの顔をした。


「王女さまに気に入られたら」


チェイテ城で下僕から軍人に出世を約束されるも同然ではないか。


エリザベートは常に男に不自由はしなかった。


そんな自由気儘なチェイテ城のエリザベート。


たまに戦勝から帰宅する国王と逢うのである。


「今帰ったぞ」


帰還した国王をチェイテ城の奉公人が門に出迎える。

しかし…


我が最愛なる王女エリザベートの姿はないのである。

「我が妻エリザベートはいかがした?我輩は凱旋したというのに」


問われた下僕はもじもじとして答えない。


まさか妻は昼間から間男(まおとこ)とランデブーとは言えまい。


だが…


寛容にも


度量の広き国王だった!


妻のエリザベートの不貞を許すのである。


許嫁エリザベートは政略結婚ではあれど


実際に美貌の妻エリザベートを愛してやまなかったのである。


「余は国王の前に軍人である」


些細な家庭の揉め事など気にもせず


さすが900年の歴史と伝統の名家たる国王ではないか。


自由放埒に暮らしていたチェイテ城。


エリザベートにはとんでもない悪いニュースがもたらされた。


国王の母親(義母)がチェイテ城に移り住むことになる。


17も城はあるのに嫁がいるチェイテにわざわざやってくるとは!


何不自由なくやってきたエリゼベートは生まれ初めて窮屈な生活に陥る。


その義母の監視下に置かれ自由を束縛される日々がやってくる。


太古からある永遠のテーマ

『嫁姑』


「なんであんなババァ~がチェイテにやってくるのよ」


チェイテ城は王女エリザベートのもの


いくら国王の母親だとはいえ好きにお城に来てもらってはたまらない。


嫁エリザベートと義母との"冷たい戦争"は陰惨を極めた。


目の上のたん瘤・姑


敵は姑にある


嫁姑戦争の勃発!


嫁は策略を練る。


乳母のヨー・イロナ


執事のヨハネス・ウィバリー


女魔術師ドロテア


森の魔女ダルヴァラ


海千山千の連中(彼らはみな後の大量殺人に加担する)を操り義母に義母の侍女らに様々な嫌がらせをした。


「チェイテにいるからいけないのよ。出ていけ~ババァは出ていけ」


毎晩毎夜姑を呪いの術で射止めてやりたくて仕方ない。


藁人形と5寸釘


国王の夫の前ではつとめて貞淑な妻エリザベートを演じてはいる。


しかし陰に回ると


義母のお付きの侍女を捕まえて地下室に閉じ込め拷問の末になぶり殺した。


姑はそんな嫌がらせには動じない。侍女がいなくなればなったで村から若い娘をチェイテに登らせた。


敵も去るモノひっかくモノ

こうした嫁姑戦争のやりとり。


義母との確執も夫のとりなしや4人の子供が生まれたことで普通にある家庭のような呈をどうにかなしていく。


嵐のような嫁姑戦争は時間とともに小康状態を保っていた。



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