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影追う者  作者: 星見流人
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第十話:人間爆弾

「そんな劣化コピーを集めて喜んでいるのか。だから貴様は負け犬なのさ」

 一瞬に放たれた四つの斬撃で四つの首が飛んだ。

 鮮血が飛び散る中、精悍な顔つきの青年が姿を表す。

「やあ、紫電。待っていたよ」

 アルベルトはにやにやとしながら客を出迎えた。

「悪趣味だな」

「よく言われるよ」

 緑色に輝く忍者刀をぶんと振る。

「茶番は仕舞いだ。貴様はここで死ね」

「いいのかね。君の師匠が蘇ったというのに」

「偽物に興味はない」

 紫電は作られた零を躊躇なく斬る。

 それは音を立てて、地面に仰向けに倒れた。

「貴様の手駒はこれで消えた」

 鋭い眼光をアルベルトに向ける。憎悪に歪んだ顔で狂った科学者を見上げた。

 ジョーカーは目を見開いて動かない。銃を握る手は少し震えていた。

「テメエ……」

 ジョーカーの小さな声が響く。

「人間はテメエの玩具じゃねえんだぞ!」

 右手の拳を振り上げ、アルベルトに殴りかかった。

 がつんと鈍い音がして、アルベルトは床に倒れる。

「何を言うかと思えば、そんなことかね」

 口なら出た血をぬぐって立ち上がった。

「彼らは二度目の生を与えられたのだ。私に感謝しているだろう」

「俺ならアンタをぶち殺してるね」

「その辺にしておけ」

 冷静な声がジョーカーの行動を制止する。

「けっ、相変わらず醒めてやがるな」

「落ち着け。そこの負け犬、貴様の素性は調査済みだ。大人しく国際司法裁判所へ出頭でもするんだな」

 アルベルトの顔色が変わった。

「君は何を掴んでいるのだ?」

「『ノア計画』……」

 ノア計画とは『クィーン』という超高性能電子頭脳が考案した世界掌握計画のことを指す。世界各地を占拠し、命令に従わなければそこを爆破すると宣告し、世界を人質にしようとしたのだ。

「何?」

「これだけいえば分かるだろう。あれに貴様も関与していた。地中に埋められた爆弾の調査をしていた俺には分かった。爆弾の材料が何であるか……」

 低い声で紫電は言の葉を紡ぐ。

「貴様は秘密裏に『クィーン』に協力していた。あの『爆弾』の材料は」

「人間だ」

 アルベルトは紫電を遮った。くくく、と腹をよじって笑う。

「そうだ、人間だ。生きた人間だ。画期的な発明だろう。素晴らしい発想だろう!」

 甲高い笑い声を上げた。

「狂ってやがる……」

 ジョーカーは顔をしかめて吐き捨てる。

「せっかく、ジュチ=ハルディアもいることだし、少し解説してやろうか。あれらは『第零機関』製作の過程で生まれた副産物なのだ。身体能力の飛躍的向上。だが、その刃が我々使役者に向けられぬような装置が欲しかった。歯止めとなるのはやはり命だろう。そこで考えたのが人間爆弾なのだ」

 にやにやとしたいやらしい笑みは崩さない。

「素晴らしいぞッ! かつての、旧日本軍の特攻隊のようにな。わずかの犠牲で大きな戦果をあげることが出来る。そして私は何一つ損をしない。本当に素晴らしいッ!」

「テメエ! ぶっ殺してやる!!」

 ショットガンを振り回すジョーカーを再び紫電が制した。

「何度も言わせるな。こんなクズ野郎はいつでも殺せる」

「しかし」

「黙れ。おい、負け犬。続きを聞かせてもらおうか」

 有無を言わせない。

「負け犬、か。私はまだ負けてはいないのだがね」

「そんなことはどうでもいい。貴様はいずれ死ぬのだからな。俺に殺されるか、ヤツに殺されるか。どちらかだ」

 そんな時に怪しげな全身タイツ姿の五人組が登場した。

「ボクの愛を見るがいいッ! 友愛はボクのソクラテスでそbgぁどbkldばlがb(理解不能)」

 紫電とジョーカーはそれを一瞥すると、視線をまたアルベルトに戻す。

「ボクを見ろッ! ボクはこの物語の主役、鳩川紀夫なんだぞ。ボクの愛があるからこそ、この物語は続くのだッ!」

「死ね」

「うぜえよアンタ」

「誰だね、このルーピー(狂った馬鹿)は?」

「貴様のパトロンだろ」

「ああ、そんなヤツもいたな。つまらない人間だった」

 五人のタイツ姿は一列に並ぶ。

「自己紹介をしてやるぞ。ボクの愛がみ・な・ぎ・るッ! 友愛レッド、座右の銘は『愛は世界お花畑計画』!」

 続いて青色のタイツがポーズをとる。

「国家転覆ッ! 国内政治破滅担当! 原田ブルー! 私の頭はヅラじゃないぞ!」

 次は黒。

「朝鮮大好き小川一郎・ザ・ブラック! 真の愛は売国にありッ!」

 次はピンク。

「第九条は神の声なんですぅ! 国防なんて知りません、みずぽ・ザ・ピンク! 愛の力で国を滅ぼしますぅ」

 最後はグリーン。

「子ども手当てで愛を実現! ジャパニーズ迫害&大増税決行ッ! 吾妻経済財政破滅担当・ザ・グリーン!」

 自己紹介が終わったらしい。全員が集まる。

「「「みんな揃って! 聖拳甲隊ッ! ジミンガー!」」」

 びしっと全員が思い思いのポーズを決めた。

「あー、何だね。この不細工で変態で救い様のない集団は?」

 アルベルトは頭を抱える。

「俺に聞くな。警察か医者を呼べ」

「もう既に手遅れと思うけどな」

 五人のタイツはポーズを崩した。

「ふははッ! ボクの愛が世界を変えるのだッ!」

「生まれてくる時代間違ったよな、アンタ」

 ジョーカーは必死に笑いを堪えている。

「何でもいいが、話の続きがしたい。と思ったのだが……」

 アルベルトは左手を上げた。

 見た目二十代半ばの青年が音を立てずに現れる。

「強風、あのルーピーを始末したまえ」

 『強風』と呼ばれた青年は腰に付けられた小太刀を抜く。

 無言で、表情を変えずに鳩川に襲い掛かった。灰色の短髪が揺れる。

「ひぃぃぃ! 愛が、愛が。ママ~~~!!!」

 紫電はその小太刀を横から切り払う。

「やめておけ。こんなキチガイを殺したところで意味は無いぞ、強風」

「紫電……」

 強風は視線を紫電に向ける。西欧人のようにくっきりした顔で、鷲のくちばしのような鼻を持つ。左目には眼帯をつけている。右目は蒼い。

「無口なのは相変わらずか。烈風に、兄貴に似ているな。そして……」

 紫電は一瞬目を閉じた。

「俺の記憶はあるようだな」

「ああ……俺は……蘇った……わけじゃ……ないから……な」

 言葉は抑揚が無い。表情も変わらない。

 眠たげな目はアルベルトに向いた。

「強風、もうよい」

 アルベルトは冷たく言った。

「退くぞ」

 強風は煙幕弾をばらまいて、数秒と経たないうちにその場から消えうせる。

「強風ごときはいつでも潰せる。問題は……」

「俺の仕事から片付けるか」

 紫電とジョーカーは鳩川を捕まえて日本政府に突き出すことにした。

こんばんは、Jokerです。

すみません、壊れてます。

鳩川じゃなくて私自身が(笑)


まさかこんな文章書く日がくるとは……


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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