熱いコーヒー
お化粧に手間取っている明日香。
さっき健一から「大事な話がある」との電話が来た。
喫茶店で待ち合わせ。
「プロポーズかも」と少しうきうき。付き合って三年になる。
約束の時間に遅刻してしまう。
健一は怒っているようで「別れ話かも?」と心配になる。
恐る恐る「遅れてゴメン」と謝り、コーヒーを注文する。
なかなか口の重い健一。
やっと「実は……」と喋り出した。
「俺、中国に転勤だって。一緒に付いて来てくれるかい?」
「そんな、危なくないの。どのくらい?」
「2、3年だろう。そばに居てほしい」
一瞬の沈黙。
そこにコーヒーがやって来た。飲むと強烈に熱かった。
「はぁっっい」
「ありがとう。必ず幸せにするから」
今の返事、もう一度やり直したい……。