#37 童話管理館
5時間前
ヤンキー赤ずきんさん視点
「め、メイベル…?」
「はい!メイベルです!」
目の前の人間とは思えない見た目の生物に目を丸くする。見た目からは考えられない元気な性格のようで、一つ一つの返事に熱意がこもっているように感じる。ここまで元気な電球は見たことがない。本当に、物理的にも眩しいほど光り輝いている。
「あー、えっと、人間……じゃないよな」
「はい!変異物体と言う呼ばれ方をよくされております。なにやら、豆電球と人間が合わさってしまったのだとか」
確かに、傍から聞けば意味の分からない言葉でも、目の前のこいつを見たら言ってる意味が分かる。
頭が豆電球で、その他の部分は人間。言葉通り、豆電球と人間が合わさったのだろう。……どんなことをしたかは分からないが、惨いことだけはわかる。
「それよりも、あなたは“赤ずきん”で合っていますか?」
唐突にそんなことを聞かれた。そして、それは俺の見た目を見て言われた質問でないのは分かっていた。
コイツは知っているのだ。
俺が“童話の登場人物”だと言うことに。
それを何故知っているのか。知っているとして、俺が赤ずきんと言うにも関わらず、違う童話の世界にいるのか。
まず、コイツはその事に疑問を持ったはずだ。
だから、俺を捕まえて、情報を吐かせようとしている。そう考えるのが妥当だろう。
「……無言は肯定と捉えますよ?」
表情の有無が無いせいで、メイベルが怒っているのか、はたまた面白がっているのか分からない。
「俺が赤ずきんだったらどうすんだよ」
「別に、取って食おうなんてしませんよ笑。少し、協力して欲しいのです」
「…協力?」
想像以上に話が早く進み、頭が追いつかない。まず、コイツの正体も何も知らないのだ。なのに、協力しろなんて……。
そんな俺の気持ちを察してか、メイベルは無駄に長い手足を使い、説明を始めた。
「まず、ワタクシが所属している団体、“童話管理館”は貴方方のような違反者を取り締まる為に存在しています。もちろん、初めは貴方や狼男も違反者として、それ相応の罰則を与えるつもりでした。
でも、状況が変わってしまったんです。あなたの所にいますよね?“読者”が」
読者、そう聞いて一番に浮かび上がったのは、アイツだった。突如、あのいわく付きの花畑に現れた、はじめ。ばあちゃんが言うには迷子らしいが、未だにアイツの事は分かっていない。
アイツがいることによって、俺らは罰則を与えられなかった。
でも、俺は、アイツにそんな力があるとは到底、思えなかった。




