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変異童話  作者: 偃月作
第一章、ヘンゼルとグレーテル
37/39

#37 童話管理館

5時間前

 

 

ヤンキー赤ずきんさん視点


「め、メイベル…?」

「はい!メイベルです!」

目の前の人間とは思えない見た目の生物に目を丸くする。見た目からは考えられない元気な性格のようで、一つ一つの返事に熱意がこもっているように感じる。ここまで元気な電球は見たことがない。本当に、物理的にも眩しいほど光り輝いている。

「あー、えっと、人間……じゃないよな」

「はい!変異物体と言う呼ばれ方をよくされております。なにやら、豆電球と人間が合わさってしまったのだとか」

確かに、傍から聞けば意味の分からない言葉でも、目の前のこいつを見たら言ってる意味が分かる。

頭が豆電球で、その他の部分は人間。言葉通り、豆電球と人間が合わさったのだろう。……どんなことをしたかは分からないが、惨いことだけはわかる。


「それよりも、あなたは“赤ずきん”で合っていますか?」

唐突にそんなことを聞かれた。そして、それは俺の見た目を見て言われた質問でないのは分かっていた。

 

コイツは知っているのだ。

 

俺が“童話の登場人物”だと言うことに。

 

それを何故知っているのか。知っているとして、俺が赤ずきんと言うにも関わらず、違う童話の世界にいるのか。


まず、コイツはその事に疑問を持ったはずだ。

だから、俺を捕まえて、情報を吐かせようとしている。そう考えるのが妥当だろう。

 

「……無言は肯定と捉えますよ?」

表情の有無が無いせいで、メイベルが怒っているのか、はたまた面白がっているのか分からない。

「俺が赤ずきんだったらどうすんだよ」

「別に、取って食おうなんてしませんよ笑。少し、協力して欲しいのです」

「…協力?」

想像以上に話が早く進み、頭が追いつかない。まず、コイツの正体も何も知らないのだ。なのに、協力しろなんて……。


そんな俺の気持ちを察してか、メイベルは無駄に長い手足を使い、説明を始めた。

 

「まず、ワタクシが所属している団体、“童話管理館”は貴方方のような違反者を取り締まる為に存在しています。もちろん、初めは貴方や狼男も違反者として、それ相応の罰則を与えるつもりでした。

でも、状況が変わってしまったんです。あなたの所にいますよね?“読者”が」

読者、そう聞いて一番に浮かび上がったのは、アイツだった。突如、あのいわく付きの花畑に現れた、はじめ。ばあちゃんが言うには迷子らしいが、未だにアイツの事は分かっていない。


アイツがいることによって、俺らは罰則を与えられなかった。


でも、俺は、アイツにそんな力があるとは到底、思えなかった。

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