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変異童話  作者: 偃月作
第一章、ヘンゼルとグレーテル
29/32

#29 この旅の目的を

クラージュ君は気まづそうに顔を逸らし、魔女さんはこちらの反応を伺っている。ヘンゼルとグレーテルは、相変わらず心配そうな顔をしたまま。

 

正直、僕はどんな反応をすればいいのか分からなかった。きっと、クラージュ君を上手く慰めることは言えないだろうし、場を濁すことも出来ない。


分からないんだ、ヤンキー赤ずきんさんがさらわれたって聞いても、どんな反応をすればいいのか。

「あ…、えっと」

ヤンキー赤ずきんさんはまだ小さいから、年上の僕が守らなきゃって気持ちも、もちろんあった。でも、ヤンキー赤ずきんさんは見た目にそぐわず結構しっかりしているし、大丈夫ってどこかで思ってたんだ


「僕、ヤンキー赤ずきんさんなら大丈夫って思ってた。勝手に思って、いざ赤ずきんさんが攫われたって聞いたら、どうすればいいかわかんない。年上なのに…」

「……別に、それと年上ってこと、特に関係なくないですか?」

「え…?」

先程とは打って変わってケロッとした顔をしたクラージュ君は、僕にそう言い放った。

「だって、ボク別に貴方のこと年上として慕ったことないですよ?しっかりしていると思ったら、そこまでしてないし、いつもボーッとした顔してるし」

思わぬ所で馬鹿にされていたというか、失望されていたことに気づいて、なんとも言えない気持ちになる。

「貴方と赤ずきんの関係は?年上年下ってだけじゃないでしょ。

知り合いが攫われたなんて聞いたら、冷静でいられないのは当然のことです」

そんなふうに、しっかりと僕の目をとらえて、クラージュ君は言った。


僕と、ヤンキー赤ずきんさんの関係。少し僕は考える。

それって、一体なんなんだろう。初めは、用心棒と守られる人という関係だった。でも、今は?

一緒に旅をする仲間?それとも、知り合い?家族……は無いか。

 

難しい顔をして悩む僕を見て、クラージュ君はため息をついて、なんでそんなに簡単なことがわかんないかな…とバカにしたような目で見てくる。

「難しく考えすぎなんじゃないですか?たった一言、〝友達〟でいいじゃないですか」

今まであんなに悩んでいたのが馬鹿みたいに感じるほど、ストン…と心に落ちてきた、〝友達〟という言葉。自分でも単純だと思うが、僕とヤンキー赤ずきんさんが友達だと気づいたら、なんだか変に恥ずかしくなってきた。

「そっか。僕とヤンキー赤ずきんさん……友達って関係でいいんだね」


_________

 

「痛っ…!さっさと助けに来いよ、用心棒」

 

_________

 

「うわっ、ちょ、尻尾踏むなよ!お前!」

 

_________

 

「よーし。じゃあ、決まりだね。今回の旅の目的は━━━僕の友達の救出!」

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