#29 この旅の目的を
クラージュ君は気まづそうに顔を逸らし、魔女さんはこちらの反応を伺っている。ヘンゼルとグレーテルは、相変わらず心配そうな顔をしたまま。
正直、僕はどんな反応をすればいいのか分からなかった。きっと、クラージュ君を上手く慰めることは言えないだろうし、場を濁すことも出来ない。
分からないんだ、ヤンキー赤ずきんさんがさらわれたって聞いても、どんな反応をすればいいのか。
「あ…、えっと」
ヤンキー赤ずきんさんはまだ小さいから、年上の僕が守らなきゃって気持ちも、もちろんあった。でも、ヤンキー赤ずきんさんは見た目にそぐわず結構しっかりしているし、大丈夫ってどこかで思ってたんだ
「僕、ヤンキー赤ずきんさんなら大丈夫って思ってた。勝手に思って、いざ赤ずきんさんが攫われたって聞いたら、どうすればいいかわかんない。年上なのに…」
「……別に、それと年上ってこと、特に関係なくないですか?」
「え…?」
先程とは打って変わってケロッとした顔をしたクラージュ君は、僕にそう言い放った。
「だって、ボク別に貴方のこと年上として慕ったことないですよ?しっかりしていると思ったら、そこまでしてないし、いつもボーッとした顔してるし」
思わぬ所で馬鹿にされていたというか、失望されていたことに気づいて、なんとも言えない気持ちになる。
「貴方と赤ずきんの関係は?年上年下ってだけじゃないでしょ。
知り合いが攫われたなんて聞いたら、冷静でいられないのは当然のことです」
そんなふうに、しっかりと僕の目をとらえて、クラージュ君は言った。
僕と、ヤンキー赤ずきんさんの関係。少し僕は考える。
それって、一体なんなんだろう。初めは、用心棒と守られる人という関係だった。でも、今は?
一緒に旅をする仲間?それとも、知り合い?家族……は無いか。
難しい顔をして悩む僕を見て、クラージュ君はため息をついて、なんでそんなに簡単なことがわかんないかな…とバカにしたような目で見てくる。
「難しく考えすぎなんじゃないですか?たった一言、〝友達〟でいいじゃないですか」
今まであんなに悩んでいたのが馬鹿みたいに感じるほど、ストン…と心に落ちてきた、〝友達〟という言葉。自分でも単純だと思うが、僕とヤンキー赤ずきんさんが友達だと気づいたら、なんだか変に恥ずかしくなってきた。
「そっか。僕とヤンキー赤ずきんさん……友達って関係でいいんだね」
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「痛っ…!さっさと助けに来いよ、用心棒」
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「うわっ、ちょ、尻尾踏むなよ!お前!」
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「よーし。じゃあ、決まりだね。今回の旅の目的は━━━僕の友達の救出!」




