#28 衝撃の事実
「助けて!誰かッ!」
劈くような叫び声が僕らに聞こえ、全員と目を見合わせ、声の元へ急ぐ。一体、この声はどこから?それに、この声……
「クラージュ君!」
「え…、はじめさん……?」
やっぱり、知らない男の人に腕を捕まれ、何処かに連れていかれそうになっていたのは、バラバラになった仲間の一人、〝クラージュ君〟だった。
目に涙を溜め、小さく震える体をどうにか守ろうとしている。
「…相変わらず、クソな大人が多いな」
魔女さんが怒りを露にして、魔法を唱え始める。その間に、標的にされそうなヘンゼルとグレーテルをその場から遠ざけて、僕も様子を伺う。
「ひっ、お……お前!魔女か!?」
「そう、あんたら大人が大っ嫌いな魔女だよ」
「くそ…オラァァッ!」
魔女と気づいた時、怯えたような顔をした男。
魔女さんに向けて男が腕を振りかぶるが、そんなのを諸共しない魔女さんは優雅に避けて、トンッと首の後ろを叩いた。
すると、さっきまで暴れていたのが嘘のように静かになり、その場に倒れた。
「はあ…。これだから、街は嫌いなんだよ。うるさい大人はいるし、冷ややかな目で見られるし……」
魔女さんは不満げに口を尖らせて、倒れている男を見た。目をつぶって、アホ面を晒している。
こんな奴が一体どんな理由でクラージュ君を攫おうとしていたのか……。
そう思った時、あ!クラージュ君!と連れ去られそうになっていた張本人、クラージュ君の存在を思い出した。
バッと首を大きく振り、クラージュ君の姿を探すと、ヘンゼルとグレーテルが心配そうに見ている少年が一人。
「クラージュ君、大丈夫?一体何があったの…?」
「何があったも何も、貴方達と別れてから大変だったんですよ!」
「お、おぉ……」
ご立腹らしいクラージュ君は、僕にグイグイ迫ってきて、大きな声で色々説明してくれる。僕に会うまでに、結構大変な思いをしてきたらしい。
「貴方たちと一緒に行ったはずなのに、この世界に来たらボク一人!しょうがないから貴方を探してたら、この街に辿り着いて、あの赤ずきんと会ったんです。あの人もこの状況に不満をいいながら、街を歩いてたら……」
途中でクラージュ君の口が止まった。苦虫を噛み潰したような顔をして、言っていいものか悩んでいるようだった。
でも、言おうと決意を固めて、勢いよくこちらを向く。
「あの人…、赤ずきんがボクを庇って、攫われました」
一瞬、世界の時間が止まったような気がした。雑音が全く聞こえなくなり、嫌な風が僕らの髪を揺らした。




