#27 コレクト
「さて、行くよ」
あの後、魔女さんの素敵な魔法で元気を取り戻した二人は、僕と赤ずきんさんを探す旅に着いてきてくれることになった。魔女さんも案内役で着いて来てくれるようだ。
「ここが……その街?」
「うん。魔女が悪とされた街。その名も、〝コレクト〟。その名の通り、自分達が全て正しいと思い込んでる街だよ」
魔女さん先頭で森を抜けていき、開けたところに出たと思ったら、そこに広がるのは沢山の人と発展した街並み。社会の教科書で見た事のある、ヨーロッパ辺りの街並みにそっくりだった。
童話の中なんて、説明しても分からないだろう。それほどまでに、この街はいい意味で現実味を帯びていた。
「わあ!私、久しぶりに街に行くわ!お母さまが亡くなって、街になんて行けなかったから……」
人々が歩いていく街を見て、嬉しいという感情を全面にして、はしゃぎ回るグレーテル。
正直、僕もお店とか街並みももっと見て、普通に観光したいまである。でも、それは僕の中の真面目な気持ちが許さなかった。観光をしたり、楽しむのはヤンキー赤ずきんさん達を見つけてからだ。
「で、その、赤ずきんさん?がどこにいたかだけど……」
コレクトの街並みを歩きながら、魔女さんがヤンキー赤ずきんさんを見たという所を探す。
コレクトには、パイ系の食べ物や、アンティークな家具屋さん、少し怪しげなお店もある。僕の世界には無かったような物が沢山あって、それだけで心が踊った。
「ここだよ」
魔女さんがふと、その場で足を止め、無感情に言い放った。ここがヤンキー赤ずきんさんを見たというところらしい。何の変哲もない、先程から変わっていない街並みが続いている。
そこを練り歩く人々の姿に多少の変化はあれど、赤い頭巾を被ったヤンキー赤ずきんさんらしき人は見つからなかった。
「やっぱり、時間も経ってたしもう違うところに行っちゃったのかもね」
確かに、魔女さんの言う通りだ。
柄にもなくヤンキー赤ずきんさんと合流出来るかも!と嬉しくなり、時間が経っている事を、街への興奮と共に綺麗さっぱり忘れてしまっていた。
「……ねえ、もう少し街を探してみようよ!ひむろの言ってた……青ずきん?」
「赤ずきん、な」
「ぐ……分かってるわよ!でも、その赤ずきんも街を探せばいるかもしれないし、探してみましょうよ!」
確かに、グレーテルの言うことも一理ある。僕の事を気にしてか、あのグレーテルが言ってくれたんだ。その気持ちを素直に受け取る他ない。
「そうだね、もう少し探してみるよ」
そう言った瞬間、僕の耳へ〝聞いたことのある〟声が聞こえてきた。




