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変異童話  作者: 偃月作
第一章、ヘンゼルとグレーテル
27/32

#27 コレクト

「さて、行くよ」


あの後、魔女さんの素敵な魔法で元気を取り戻した二人は、僕と赤ずきんさんを探す旅に着いてきてくれることになった。魔女さんも案内役で着いて来てくれるようだ。

 


「ここが……その街?」

「うん。魔女が悪とされた街。その名も、〝コレクト〟。その名の通り、自分達が全て正しいと思い込んでる街だよ」

魔女さん先頭で森を抜けていき、開けたところに出たと思ったら、そこに広がるのは沢山の人と発展した街並み。社会の教科書で見た事のある、ヨーロッパ辺りの街並みにそっくりだった。

童話の中なんて、説明しても分からないだろう。それほどまでに、この街はいい意味で現実味を帯びていた。

「わあ!私、久しぶりに街に行くわ!お母さまが亡くなって、街になんて行けなかったから……」

人々が歩いていく街を見て、嬉しいという感情を全面にして、はしゃぎ回るグレーテル。

 

正直、僕もお店とか街並みももっと見て、普通に観光したいまである。でも、それは僕の中の真面目な気持ちが許さなかった。観光をしたり、楽しむのはヤンキー赤ずきんさん達を見つけてからだ。

「で、その、赤ずきんさん?がどこにいたかだけど……」

コレクトの街並みを歩きながら、魔女さんがヤンキー赤ずきんさんを見たという所を探す。

コレクトには、パイ系の食べ物や、アンティークな家具屋さん、少し怪しげなお店もある。僕の世界には無かったような物が沢山あって、それだけで心が踊った。

「ここだよ」

魔女さんがふと、その場で足を止め、無感情に言い放った。ここがヤンキー赤ずきんさんを見たというところらしい。何の変哲もない、先程から変わっていない街並みが続いている。


そこを練り歩く人々の姿に多少の変化はあれど、赤い頭巾を被ったヤンキー赤ずきんさんらしき人は見つからなかった。

「やっぱり、時間も経ってたしもう違うところに行っちゃったのかもね」

確かに、魔女さんの言う通りだ。


柄にもなくヤンキー赤ずきんさんと合流出来るかも!と嬉しくなり、時間が経っている事を、街への興奮と共に綺麗さっぱり忘れてしまっていた。

「……ねえ、もう少し街を探してみようよ!ひむろの言ってた……青ずきん?」

「赤ずきん、な」

「ぐ……分かってるわよ!でも、その赤ずきんも街を探せばいるかもしれないし、探してみましょうよ!」

確かに、グレーテルの言うことも一理ある。僕の事を気にしてか、あのグレーテルが言ってくれたんだ。その気持ちを素直に受け取る他ない。


「そうだね、もう少し探してみるよ」

そう言った瞬間、僕の耳へ〝聞いたことのある〟声が聞こえてきた。

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