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変異童話  作者: 偃月作
第一章、ヘンゼルとグレーテル
24/26

#24 クッキー

張り詰めた空気感の僕らを静めるように、元気を取り戻したグレーテルと魔女さんが帰ってきた。お菓子をお皿に沢山乗っけて、満足そうだ。

「ほら、二人ともお菓子持ってきたわよ!食べましょ!」

満面の笑みを浮かべたグレーテルに急かされて、クッキーで作られた椅子に座り、恐る恐るお菓子に手を伸ばす。

ボクが選んだのはアイシングクッキーと呼ばれる、クッキーに可愛らしい絵が描かれたものだ。

どういう意味を込めてかは分からないが、このクッキーには、カラスの絵が描かれていた。

サクッと一口噛むと、程よい甘さが口に拡がって、思わず口元が緩む。それはヘンゼルとグレーテルも同じようで、目を輝かせながらパクパクお菓子を口へと運んでいた。


そんな平和な空気が流れる家で、魔女さんがある質問をしてきた。

「君たち、一体どうやってここに辿り着いたの?人がここに来たのは初めてだよ」

魔女さんが心底不思議そうに僕らに聞いてくるが、ヘンゼル達も僕もなんと答えるのが正解か悩んでいるようだった。

「俺とグレーテルは親から森に捨てられて、途中からヒムロと会って、南に進んでたらここに着いたって感じだ」

流石は兄と言うべきか、戸惑っているグレーテルを見て、自分が率先して説明をした。あんなに喧嘩している二人だったが、やっぱり心から嫌いあっている訳ではなさそうだ。

「僕は、本当は一緒に旅をしてた友達…が居たんだけど、はぐれて森をさ迷ってたところをヘンゼルとグレーテルに見つけてもらったって感じかな」

そんな話を聞いたヘンゼルとグレーテルは、えぇっ!そうだったの!?と目を丸くしてびっくりしていた。


そういえば、この二人には言ってなかったか……と冷静に考えていると、二人ははぐれた子達が可哀想!探しに行こう!と僕を急かしてきた。でも、焦っている二人には悪いが、僕自身そこまで焦っていないのが本音だ。ヤンキー赤ずきんさんは、案外しっかりしているし、狼男は命の危険に晒されたとしても、野生の本能とやらで回避するだろう。ただ、僕が一番心配していると言えば、クラージュ君だろうか。

「たしかに、一人心配な子はいるけど、大丈夫だよ。それに、ヤンキー赤ずきんさん達がどこにいるかも分からないし……」

思わずヤンキー赤ずきんさんの言葉を口に出してしまった時、三人中二人は頭にハテナを浮かべ、残りの一人は何か思い当たる節があるような顔をした。

「赤ずきん……赤い…男の子……」

「?、魔女さん?何か……」

「今日、見たかも。その、赤ずきんさん」

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