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変異童話  作者: 偃月作
序章、赤ずきん
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13/62

#12 緊張

久しぶりの投稿です!

目の前に広がっているのは、美味しそうな料理。

焼きたてのパンに、ハンバーグ…。その他にも結構な量の料理が沢山並んでいた。


そんな料理を狼男はヨダレを垂らして見つめている。かく言う僕も例外では無い。


この世界に来てから、おばあさんのお菓子しか食べていないのだ。

それも、そこの狼男がほとんど食い尽くして僕はほとんど食べてないし…。


正直、お腹と背中がくっついてしまうと錯覚するほどお腹が減っている。

「あ、あの。これ、食べていいんすか?」

「勿論、どうぞ」

そのヤンキー赤ずきんさんのお母さんの言葉で、遠慮の心がどこかへ飛んでいったのか、いただきまーす!と元気よく言ってバクバクと食べ始めた。

僕とヤンキー赤ずきんさんもいただきます、と言ってから食べ始める。


「お、美味しい…」

「そう?それは良かった」

ハンバーグからは肉汁が溢れ出てくるし、ソースとの相性も抜群だ。パンだって外はカリッとしていて、中は凄くふわふわ。その上焼きたてときた。美味しくないわけが無い。

 

けれど、僕らとは対照的に食が進んでいないヤンキー赤ずきんさん。どのタイミングで言うのが良いか考えているのだろう。眉間に皺を寄せているせいで、目つきの悪さが際立っている。


「あ、あのさ…」

「ん?なあに」

話を切り出したはいいものの、そこから話が途切れてしまった。怪訝な目で見られながら、ヤンキー赤ずきんさんは、冷や汗をたらす。

「……もう、なによ。何も無いなら…」

「俺!旅に出るんだ!」

「……は」

空気が一瞬の内に凍ったのが分かった。ヤンキー赤ずきんさんは下を向いて、目をつぶったまま。

お母さんの方は固まって、目を見開いている。


さて、ここからだ。どんな反応をされるかで、これからの動きが変わっていく。

「な、なに急に。ドッキリとかやめてよ。ほんとにもう…」

「違う、ドッキリとか冗談じゃない」

お母さんは声色は明るいが、明らかに動揺している。そんなお母さんとは違い、ヤンキー赤ずきんさんは話をしてしまえば緊張も落ち着いてきたようだ。いつもの調子で話し続ける。


「……どういうこと?急にそんなこと言って……一人で行くの?」

「いや、こいつらと」

ビシッとこちらを指さして、顔はお母さんに向ねたまま、ヤンキー赤ずきんさんは言葉を続ける。

「すぐに納得してもらおうなんて思ってない。けど、なるべく早く納得して貰えるようにオレも頑張るから!」

そう言ったヤンキー赤ずきんさんの目には迷いがなく、なんだか頼もしく見えた。


けれど、ここから……ヤンキー赤ずきんさんとお母さんとの譲れない戦いが始まった。

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